[1] [2] [3] [4] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
―学校―
[キーンコーンカーンコーン……
終業の時間を告げるチャイムが、校舎に鳴り響く]
はい、今日はここまで。
縦笛は貸し出すから、次の授業までには、全員「さくら」を吹けるようになっておくこと。
年長の子は下の子に教えてあげるように。いいね?
[はーい、と元気な返事が返ってきた。
満足そうに頷いて見せると、オルガンの前の椅子に座る。
和音を号令代わりにして、生徒たちは起立、礼、着席した]
解散。
[その一言を合図に、子供たちは一斉に席を立つ]
『せんせー、ありがとうございました!』
[声を揃えて礼を言うが早いか、生徒たちは教室を飛び出していった。
喧騒が遠ざかった所で、そっと溜息を吐く]
先生、だってさ……。
[独り言ちるその姿は、教師にしては随分と年若い。
とはいえ、既に働ける年齢には達していたし、何より学校備え付けのオルガンを弾ける者がこの村ではごく限られていた。
そのため、週に何回かは、こうして学校に赴き音楽を教える事になったのだ]
さて、そろそろ帰るか……。
夕飯の「料理」はどうなってるかな。
[今晩の食事に思いを巡らせながら、校舎の中をざっと見回る。
誰もいないのを確認すると、青年は帰途についた**]
―滝―
[村から少し離れた所にある滝つぼ。...は手した木桶たっぷりに水を掬うと、難儀そうに桶を持ち上げて]
はぁ…水汲みは面倒くさいな。
さて、急いで戻らないと…
[言葉とは裏腹にのんびりとした歩幅で村へと戻っていく]
[薄暗い森の中。
木の根や枯れ葉に足を取られる度に、母の白い手に引き上げられる。どのくらい歩いたのだろうか]
『まだ?』
[母は振り返ることなく歩き続ける]
『お母さん、どこに行くの?』
[母の白いうなじの後れ毛を見ながら、何度も口にした問いを重ね──
─小料理屋─
目を開けて、障子から注ぐ光りに薄目になる。
誰の気配も無い事に気付き、手を付き半身を起こし振り返る。するりと寝巻が肩から滑り落ちた]
起こしてくれればいいのに。
[小さく呟く。
頬に掛かる金髪を無意識に耳に掛けると、布団に視線を落とす。
しばらくの間そうしてぼんやりとして、ぺちりと頬を叩いて気合いを入れ、寝巻を直し、布団を上げる。
細々と動きまわり、金髪を纏め、身支度を整え、最後に日の当たる一角に置かれた折り鶴の隣に水を置く。正座をして線香を上げ、手を合わせ目を閉じた。経を唱えることもなく黙祷した後に目を開けて微笑む]
おはよう母さん。
[そうして毎朝の日課を終えると、ゆっくりと立ち上がる]
―帰り道―
[学校から自宅へと戻る途中、重たそうに桶を運ぶ人物を見掛けた。
村の中に知らない顔はない]
やあ、ダンケさん。
水汲みか? 大変そうだね。
[しかし手伝う程でもなさそうなので、隣に並んで歩いた]
ところで、今日の飯ってどうなったか知ってる?
誰か捌いてるのかな。
うん。
[手際よく出汁を取り終え、味見をして満足そうに頷く。
店の厨房で貯蔵庫をあけ、確認をしながらぽつり]
葉ものが無い……あと、冬瓜とかぼちゃがあるといいな。
[割烹着を肩から落とすと、籠を手に取り外へ]
─畑─
居ない。
[ダンケの畑にたどり着く。
水を汲みにでも行っているのか持ち主の姿はない]
貰いますねー。いいですよー。
[一人で受け答えをすると、『野菜頂きます。ポルテ』とメモを残し石で押さえる。
剪定用はさみで手際よく冬瓜とかぼちゃを収穫し、籠に収める]
ポルテさんの店かな?
……腹減ったな。
[ぽつりと呟く。
のんびりした歩調のダンケに合わせながら、ゆっくりと目的地へ向かった]
―畑への道―
やあ、清治くん。
ははは。まあ、大変だけど、添える野菜が無くちゃ料理するのも大変だろうしね。
君は今日も学校かい?偉いなぁ。
[畑に戻る途中、やってきた清治と言葉を交わしながら、相変らずゆっくりと歩いていく]
今日の飯?ああ、もうそんな時間か。僕は聞いてないけど、誰かが用意してるんじゃないかな?
…噂をすれば良い匂いが。
ああ、きっとポルテさんの所だろうね。
ははは、清治君は若いんだし、沢山食べないとね。
おっと、畑はこっちだ。それじゃあ。
[雑談を続けつつも、畑への分かれ道に来ると、清治と別れて畑へと戻った]
―畑―
よっこいしょっと。
ふー、重いなぁ……ん?
[桶を下ろすと、地面に置いてあったメモに気付き]
おやー、ポルテさん着てたのか。もうちょっと早く帰ってくるべきだったかな?
まあ、水を撒き終わったら一度お店の方に行ってみるか。
[メモを懐に仕舞うと、さっそく水撒きを始めた**]
─小料理屋─
[かぼちゃの煮付け、とうがんの煮付け、豆のふくめ煮などを次々と作り、その合間に米を炊く。
炊き上がった米をお櫃に移し、ふと何か違和感を感じる]
緑が無い……あ、葉もの。
[先ほど畑に行った時のことを思い出し、ため息をついた]
忘れてた。母さんに笑われるわね。
[胡瓜と紫蘇で和え物を作り、まだ足りないという顔で漬物も刻んで見るけれど、なんとなく納得のいかない*表情*]
―畑―
ふー。今日の仕事終了。
[木桶の水が空になると、満足げに伸びをして]
さて、ポルテさんの所に行こうかな。
トマトにナス、キャベツと大葉。南瓜は…減ってるから持って行ったかな?
[空になった木桶に採れたての夏野菜を詰めると、ゆっくりとポルテの店に向かった]
―自宅―
……ただいま。
[習慣になっているのでつい口に出すが、家の中に人気はない。
薄暗さに目を慣らしつつ、擦り切れた唱歌の本を片付けた]
飯は……今日も御馳走になればいいか。
[一人暮らしではあるものの、料理をする事は滅多にない。
学校に通う子供がいる家に頼めば、大抵お裾分けを貰えるし、料理屋だってある。
ただ、儀式の当番に当たった時は別で、この時ばかりは手伝わない訳にはいかなかった。
その代わり、この日は村人全員が豪勢な食事に在り付けるのだ]
でも、ポルテさんの腕に敵う人はいないよね。本職だし。
[呟いて、帰り道に漂っていた良い匂いを思い出し、いそいそとポルテの店に向かうのだった]
―小料理屋へ―
―ポルテの店―
こんばんはー。
よいしょっと…採れたての野菜持って来たよ。
[ポルテの店に付くと、野菜の入った木桶を見せて]
お腹すいちゃって。これで何か作ってくれない?
[ポルテに頼む]
―小料理屋―
[ポルテの店へ向かう途中、さっき別れたばかりのダンケとも出会っただろうか]
あ、こんにちは。
[店に到着すると、丁度家を出る所のポルテと出くわした。
金髪の女性の微笑みに、こちらも小さく笑みを返して]
今からお出掛け?
夕ご飯を頂きに来たんだけど、少し待った方がいいかな?
[割烹着を脱いだポルテに問い掛ける]
― 村の外れ ―
[家屋は途切れ、田も畑もなく、それ故に人通りも少ない、村の片隅。虫の声や葉擦れの音しかしない其処に、男が一人佇んでいた]
……
[地味な紫の着物を纏った男は、山の木々を、空を見つめ、そっと目を閉じる]
お、丁度良い。
良かったね。そんなに待たずに食べれそうだ。
[ご飯が炊けたところと聞くと、嬉しそうに来る途中で再び合流した清治に声を掛けて、席に座る]
お、冬瓜の煮付けか。いただきます。
[出された冬瓜の煮物に嬉しそうに手を合わせると、ゆっくりと食べ始めた]
はい。
[ポルテに促されるまま店内へ入り、カウンター席に着く。
目の前の卓には冬瓜の煮付けが置かれた]
頂きます。
[両手を合わせてから箸を手にとり、冬瓜を口に運ぶ]
うん、美味しい。
[前菜を腹に収めながら、ダンケの野菜に期待の眼差しを向けた]
[鰹節で出汁を取り、輪切りにした茄子を軽く炒め、出汁に入れる。
最後に味噌を溶かし、椀に盛り、小口切りにしたネギを散らして2人に差し出した]
はい。お待ちどうさま。
[木桶の野菜を流しの水に晒しながら、2人が食べる様子を眺めている]
最近天気が続くけど、畑の様子はどう?
子供たちも元気なのかしら?
……嗚呼。今日も、空が綺麗ですね。
[再び目を開き、呟く。向ける相手もなく、しかし語りかけるような丁寧な口調で。
語り。男は「語り部」だった。己が記憶する様々な話を、子供に語って聞かせたり、儀式などの際に演じ語ったりするのが男の村での仕事だった。
そして、村の時を――幾つも生み出されてきた虚偽や錯誤も含めて――語り継ぐのが]
……、
[熱を孕んだ風が吹く。男の髪が、着物の裾が、微かに揺れる。左の袖だけが大きくはためいた。右手でついと押さえるその下に、左手はない]
そんな事はないよ。
たまにはこう……あっさりしたものも、いいよね。
[米と野菜が中心の献立に、満足そうな表情を浮かべる。
ご飯の量は多かったが、漬物の塩味で食が進んだ]
あれ、夏ばて? 気を付けないとね。
うん、冷汁もまた今度食べさせて貰えると嬉しいな。
[目の前で作られた茄子の味噌汁を有り難く受け取って、一口啜る]
うん、美味しい。
……ああ、子供たちは元気だよ。
夏場はちょっと森に入れば虫が捕れるし、川遊びも出来るからはしゃぎ回ってるんだ。
ただ、授業中はもっと大人しくして欲しいかな?
[言って、苦笑する]
とは言え、こっちの言った通りに練習するばかりじゃ、あいつらも詰まらないんだろうな。
音楽って、何かの役に立てるための勉強でもないしね。
[笑顔には軽く自嘲も混ざっていた]
とっても美味しい。
ありがとう。ポルテさん。
いつも美味しく料理してくれるから、僕も仕事し甲斐があるよ。
うん。南瓜の煮付けも美味しい。
[出された料理にゆっくりと舌鼓をうつ]
大丈夫かい?最近暑いよねぇ。
僕も最近はよくぼんやりしちゃって、仕事が捗らないんだ。
[...の仕事が捗らないのには暑さはあまり関係がなかったりするのだが]
[ポルテの手際のよさに感心しつつも、茄子の味噌汁が出されれば、それも同じように絶賛したりして]
ウチの野菜たちも最近は暑さにやられてちょっと元気がないみたいなんだ。
ほんと、子供は元気だね。先生役も大変だ。
そんな事はないって、音楽だってほら、その…ま、まあ、覚えて無駄な事なんて無いよ。
[普段音楽と縁がない...は無理矢理ながらも清治を励ましてみる]
[1] [2] [3] [4] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ