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イマリさん、ンガムラさんは役職由来でソロールだったんですね。
いろいろ考えたのですが、おふたりとは出会えていませんし、
今からどなたかに絡んでもお邪魔でしょう。
初音はソロールして元の世界に帰るか、
帰れないなら死亡エンドにします。
先に結末を決めていただけると助かります。
─ 回想 ─
[北陸の古都にあった初音の実家は、ある日、なくなった。
家屋が、ではない。
家族が、初音を残して全員死亡したのだ。
一家毒殺事件として、一時期ずいぶん話題になった。
曾祖母の米寿の祝いと、祖父の還暦祝いは、悲惨な呪いの場所と化してしまった。
3か月後、自殺遺体で見つかった男が犯人とされて捜査は決着したけれども、
初音は今も疑っている。
母が示唆して男に実行させたのではないかと。]
[当時8歳だった初音に、事件の記憶はほとんどない。
ショックが大きすぎて、それ以前の記憶も消えていた。
ただ、何かのはずみで、断片的に、
思い出すことがあった。
母の歌や、母の声や、母の持ち物や、母の衣服の特徴を。
そして、幼い初音を何度も怯えさせた、
母の丸々とした指を、分厚い手のひらを、力強い腕を。]
─ 診療所 ─
[青い世界から波の上に出たような感覚だった。
白い。
明るい。
初音はのろのろと目を開ける。
天井扇が回っていた。
漆喰だろうか、診療所の天井も壁も確かに白い。
入り口の近くで意識を失い、倒れていたようだ。
起き上がろうとするだけで大変な力が必要だった。
どうにか立ち上がる。
ヴァイオリンケースを抱えたまま、よろろろと歩く。]
[歩くたびに頭が痛んだ。
倒れた際にどこかで後頭部をぶつけたのかもしれない。
初音は半開きになった診察室へのドアに近づく。
すのこが置かれ、下駄箱が並んでいるのは、ここで靴を脱げという意味なのだろう。
が……、
迷ったが、初音はそのまま上がった。
無人の町で靴を脱ぐのは怖い気がして。]
[短い廊下の先はカーテンで区切られていた。
手前から少し覗いてみたが、予想通り診察室がふたつ、処置室がひとつ。
奥のドアの向こうにはソファとローテーブルが並べられていた。
患者が途切れると、ここで医師や看護師たちが待機したのだろうか。
初音は冷蔵庫に近づいた。
天井扇が回っていたので、電気は通じているはずだ。]
─ 診療所 ─
[夢を見ていた。
海岸に立って波打ち際を見つめていると、
どこからか白い霧が立ち込めてきて、なぜか自分はこの海の上を歩けると確信する。
そして、波の上に足を乗せる……。
海の上から振り仰ぐと、崖と灯台と青空が眩しかった。
でも、自分はもうあの場所へは行けないのだと思った。
舞台やTVドラマのスモークの演出よろしく、初音は霧に包まれる。
白すぎて何も見えない。
そう思った瞬間、落下する感覚に全身が総毛立った。]
[海に落ちたのだ。
青、青、青。
叫ぼうとして、初音は気づいた。
自分が処置室のベッドで上半身を起こしていることに。
眠っていたのは数分か、数十分か、あるいはそれ以上だろうか。
動悸のおさまらない胸でヴァイオリンケースをぎゅっと抱え、背中を丸めた。**]
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