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[鼻先をつき合わせる紙一重、永遠が過る。]
… 痛かった、 よ ?
[瞬くひと駆けの終わり、僅かな対空時間――]
[掴みかかる手より、真上への腕がより疾い。]
[体ごとの旋風めいて襲い来る斧の刃を横殴る。
ゴ、と弾かれる斧身が傾いて降り注ぐ銃弾を弾く。
――跳弾の幾つかは、部屋中に火花を散らす――
掴まされる「鞘」へ、ずぶり 沈む五指は
其処から伸びる柄につながる刃をも掴んで。
軽業師の男は、抜いてもいいよとばかりに
刹那、薄うい笑みを広げた*]
―街の「中枢」―
[黒と紅、穢れた双翼で空を飛ぶことはあたわず。
周囲からの「歓迎」を受けながら、街を彷徨う事になった。
――その場所に辿り着いたのは、如何なるタイミングであったか]
あのぉ…… こんばんは?
[ドアを細く開け、隙間から覗き込むようにして控え目に声を掛ける。
その身体は既に白と呼べる場所がほとんどなく、中でも片翼の黒がより異彩を放っていた]
ご挨拶に伺ったんですけどぉ……。
[控え目に口元へ手をやる視線の先に、疾駆する見知った男の姿があった]
――そうかい。
[呟くように、問うように、
ふいごの先に落とされる言の葉に、三白眼は冷えて返す。
弾かれ傾く幼い子供たちのように、
情報屋は刹那の笑みを目前に、その刀身から手を離す。
『炉』より離れられるのは、人の身体におそらく数歩。
手馴れるままに、ポーチより抜いた3本の投げナイフが部屋の中を煌き舞い踊る。]
――あんたも。
[来たのか。と。
黒い翼を視界の端に、にたりと哂う中枢。
『目』や『耳』から、上がる情報は少なくなってきていたが。
この二体が、街の中、大きく暴れていたと報告の上がる二つが『ココ』にいるなら]
俺は今、俺の願いを叶えるしかないよな。
[ゆっくりと、情報屋の指先は、己のベルトに備え付けられる一つの装置へと伸びる。]
[
今までの街中の紛争の境に落ちるどれよりも
派手な爆発音が。
むき出しのコンクリートを揺らす。
]
[其れは、実験体0331号の人格の揺らぎとして最終的に研究施設に認識された。だが、事実は――――。]
[舞い踊る三本のナイフ。
ためらわず渦中へ差し出した腕は躍る。
カッ 肘で跳ね上げる
カッ 手首で捻り落とす
――ざくり。ひとつは二の腕を抉った。
視界掠める翼人の黒に目を瞠りながら男は、
倒れた双子の"実"を抱えに血飛沫く腕を伸ばす。
閃光が、奔る*]
[何時の間にか、
其れは周囲の景色を屈折させながら其処に居る。]
― とある二階建てのビル ―
[霊体とほぼ同義である其れは、
完全に純粋なる意思存在そのものだ。
その姿は、屈折率から、かろうじて分かるのみ。
誰かが気付けば、こう口火を切るだろう。]
『アス』と名乗っておこうか。
あの2012年の日、
全ての都市が沸騰し、
死が撒かれた日、『私達』は生まれた。
異形も人間も変わりない。
全ての命は、生と死の狭間でダンスを踊り、
生きぬけし《とびこえた》者こそが、この世界を生きるに相応しい。
それこそが、新たな世界の「いきもの」。
[見えない犬歯を舌で触ってから、朗らかにこう言った。]
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