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[遺体が湖から上がったと謂う話は、
クレストの部屋をすぐに出て聞きそびれたものの
思念が聲が、ミハイルに教えてくれた。
便利なものだ、本当に。]
――。
[バスローブを浴室で脱げば、代わりに調達した衣類を纏い。
黒を基調とした衣類は、民族模様を首繰りにあしらっていた。]
煙草が、……吸いてえな。
[残る数本の入ったパッケージを昨日の衣類から取り出す。
乾いた血が張り付いていたが、構わず。
一本取り出して口へ細巻きを咥えると、
上衣の胸についている浅めのポケットへ箱を押し込む。]
…そうか。
イルマも、トゥーリッキも幸せになれるさ。
老いも哀しみも、苦しみも無い所へ行ったのだから。
[クレストに先を生きる楽しみは無いのかと訊いた口で、
男は相反する言を思念に乗せ、受け答える。
――けれども]
[Рабиと裏に綴られた写真。
映るは今と変わらぬ外見だがおよそ古めかしい服を纏った男と
7歳の子の、白と黒しか存在しない、古いふるい一枚。
当時、写真を撮る事は高価であり、給料のひと月分を費やした。
それでも長く掛かりそうな敵地への進軍に赴くなら、と。
生きて帰る事を夢見て、存在を傍においておきたかった。
返り血は浴びずに済んだものの、
クレストの部屋に置きっぱなしの上衣。
その中にひっそりと写真は、或る。]
よく考えたら全然似てねえよなあ、
あの子が大人になってりゃ、好青年になってただろうに
[両親と、弟の記憶ばかりを追い、
途方も無い、孤独の時代を生きた男が
今脳裏に描くは、雨の日の記憶――>>66]
―十五年ほど前・雨に佇む水の精―
[10に届くか届かないかの頃の少年の足が、
泥混じりの水溜りを踏み、ズボンの裾を汚した。
傘もささず、ポケットに両手を突っ込んで歩く男の表情は、
気に入っていたスラックスを汚された事への苛立ちでは無く、
驚きで見開かれ、そうして固まっていた。
痩せぎすの少年の髪の色が、
雪のように、白く透けた肌が。
今は繋がりが写真一枚と成り果てた弟に、似ていたから。]
…… 名前は 、
[酒を飲んでいない男の口は回らず。
少年を見下ろして名を問うた。]
[それを切掛として、雨の降る日に同じ場所で出会う。
男は住処を語らない、少年の住処も聞かない。
ただ、傘を刺さない男と、本と傘を離さぬ少年との接触は続く。
何故傘を刺さないのかと問われれば、
雨が好きなのだと答えた。
少年の成長を見守りながら――、それから。
祖母が死んだと打ち明けた彼の髪を、初めて撫でる。
その日は、男も打ち明ける事があった。
別の国に赴任になったと、ただ一言。]
……俺と、一緒に行くか?
[水の精の気まぐれな言葉を、どう受け止めたのか。
沢山の本を持ってゆきたいと主張すれば、
それを許し、荷車の手配を*]
[響いた聲に、顔を上げた。
マティアスは死者と話が出来る。
これはほぼ確定と見ていい。
ミハイルの知る霊能者は其処までの力を持たなかったが、
恐らく或れは、盲である代わりに耳が良いのだろう。
そんな事は、『ドロテアと話をしていた』報告から、
簡単に察することが出来た筈だ。
――… 彼女だけではなくて
トゥーリッキもイルマも成仏せず、此処に居るのか。]
なら、あの話も筒抜けかも知れねえな。
[マティアスを偽物だとする証拠が無ければ、
それをでっち上げる事も、できなくはないかも知れない。
しかしならば何故告げたかという話になる。
きっと、俺は―――]
もう、
――役目を終えたんだろうな。
[神の使いごっこは、――飽きた。
だから、本来の姿に戻ろうとしている。
最早泥水に染まったその亡骸は、骨も残って居まいが。
世界の崩壊を告げる笛の音を聞いたあの日に
戻るべきなんだ]
[濡れた服を乾かそうとしているらしいクレストに歩み寄る。
目を合わそうとしないようであれば、そのまま。]
………また、遠くに行く事になりそうだ。
[今度は、赴任だとは告げずに。
共に生きてきたサーベルを、優しく撫でながら]
お前、どうする?
[あの日のように――、
共に来るか?という誘いは、うまく口に出せず。
頭を撫でるにも、触れる事を躊躇って。
ただ穏やかな声を息と共に吐きながら、瞳を伏せた。
身に残った煙草の匂いを漂わせた**]
[>>110>>111器をテーブルに置くクレストの返答に、
表情を変える事なく、静かに目を細める。
声でけぇよ、という文句は飲み込んで。]
今度は、本持っていけねえぞ。
傘もな
[十五年程前から今までの年月を思い出しながら、
腕を組んでいた手を解き、漸く髪に触れた。
その色を見る度に重ねていた弟のことではなく、
今は――
出会った時の、そして成長していくクレストの姿を。
彼と過ごした日々を、脳裏で振り返る。
こんなにも記憶と心の面積を占めている存在だったのだと、
改めて気付かされてしまえば、
目の前のガキに負けた気分になってしまう。]
[スープが届くまでの間、置いた侭になっているグラスを取る。
最後の一本である酒は、最早半分以下になっていた。
もう一つグラスを台所から持ってくると、
片方は水で薄め、それをクレストの前に置き。
透明の液体が満たされたグラスを掲げる。]
…За твою улыбку.
[笑え、と促しを籠めて乾杯の誘いを*]
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