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[熱い手が背を叩く。
安堵を得るには高過ぎる温度。
それを意識し、緊張の糸を解かぬよう意識し続ける。
既に最重要器官を相手に差し出している矛盾には、その瞬間には気付いていない]
あ――ちょ……っと……
[ぐらついていた付け根が固まりつつあるのを感じながらも、その合間には違うものが羽根を擽る]
余計な事を……するんじゃないわよ……
[相手の息遣いが煤を広げぬためのそれだと思いもよらず。
身勝手に抗議する声は、羽根を銜える感触に封じられた。
清純なる天人は、その感覚を表す言葉を知らない]
[やがてその一時も終わり、芝生から身を起こした。
黒く固められた片翼。
目にした瞬間は硬直するも、両手を固く握るのみで、相手に感情をぶつけはしない]
あたしは――
あたしの名は、アイノ。
[地上に来てから一度も口にしていないそれを名乗ったは、礼の代わりか。
それに応えるかの如く、相手の名も返り――
少年の足音が聞こえたは、その一瞬後*]
―挿話 了―
[幾許か、また時は流れる。
――崩れた煉瓦階の落ちた先、
意識のないベルンハードが大の字に横たわる傍。
片鎖の切れた馬銜を深く噛む男の姿は、其処に。
俯いた肩へ、はら はら
淡くない紅の合歓の花が降ってくる*]
―現在 四辻上空―
[右翼を半ばまで夜の色に溶け込ませ、宙を翔ける。
鳥目とは言わずとも、闇に紛れた事などない天人には、高空から敵を探すだけの視力がない。
故に、通常より低い位置を、探り探り飛ぶしかない]
――いた……。
[敵は思っていた以上に接近していた。
異形の少年と行動を共にしていたのだから当然か。
怒りと憎悪に歪み掛ける顔を、必死に冷静へと保ちつつ、一本の矢を抜いた]
ここまでしたんだもの――絶対に仕留めてやる。
[右手の甲から指先を伝い、矢へ、そして弓全体へ。
眩い金色は、夜闇の中では余りにも目立ち、振り向かれたなら一瞬でそれと気付かれるだろう。
だが、それと引き換えに一撃は威力を増し、ある程度の指向性すら持つ。
手を離したならそれは、緩い螺旋を描き実験体の心臓を狙う]
[遠くから近づく羽ばたきの音。
ゆらり落とした手を、人差し指と中指が糸で吊られたかのように持ち上げれば、緩い渦巻き、硝子片と金属片、そして砂塵が、ぎちぎちと隙間なく組み合わさる音を立てながら、弓のような槍を形作る。弧を描く部分が片刃となる形状だ。]
[顔を、そして身体を焼く灼熱のコールタール。
かろうじて悲鳴を上げるのは堪えたけれども、その後の記憶はなかった。
誰かに、何かを問われたような気がするけれど、それは定かではなく。
白い靄の向こうに見える、微かな記憶]
[自らの放つ明かりで、異能者の動作がぼんやりと見える。
この距離でも彼の聴覚では気付かれるらしい]
暗闇はこっちの不利か――。
[舌を打ちつつ、放たれた矢の着弾を見る間もなく翼を上方に伸ばす。
限りなく抵抗を少なくし、翼で空気を切るように落下して弓状の槍を回避に入る]
[顔を焼かれた激痛から痙攣するように上下する胸の動きだけが、かろうじて女がまだ生きている事を伝えるだろうか]
――……。
[半開きの唇からは、ひゅーひゅーと呼吸が漏れる音がする。
焼き付き開かなくなった目蓋の隙間から覗く眸が、男を見上げて]
……ど、こ……へ?
[何処へ逃げれば良いと言うのか。
仮令此処じゃない何処かへ逃げたとしても、終わりに近づくこの惑星《ほし》にいる限り、変わりはしないのに]
[ドスリ、と地面に槍を突き刺す。]
[振り向けば迫り来る螺旋の矢。
黄金の光を周囲に放ち、流星の様に墜つる。]
[その残酷な程に美しい光こそ見えはしないが、
槍のもう片方先端近くを掴み、逆袈裟懸けをもって、矢を切り裂こうとした。]
[地面から槍が抜け、砂が周囲に弧を描く。]
……
[強かに打ちつけた乳房、ふたつの央に
ひたり 熱が点る触。
指先で触れただけの其れは雨滴の如く。]
[己の裡へ逃げ込めばいいと 想いは*密か*]
光の圧、
[灼熱を受け止めるような光のエネルギーと衝撃。
弾かれた光と矢が、周囲に飛び散る。
逡巡は赦されず。
酒瓶を放り出し、両手をそれぞれ長い柄にあたる部分へ添えながら、腰を落とす。]
[相手は槍を持って矢を迎撃する。
その軌道や眩い光に惑わされる相手ではない。
気付かれた以上急所は外れただろう]
――ちっ!
[相手の行動を読み違え、下降していたのが仇となった。
槍の届く範囲ではないものの、飛ばされた砂が周囲の風と入り混じる。
咄嗟に翼を大きく振るい上昇に転じるが、それは更に砂を巻き上げる結果となり]
――目が……。
[砂埃が飛び込み目が霞む。
そのまま上昇は続けられたが、次なる攻撃にすぐには転じられず]
[意識を失った女が再び取り戻した時、軽業師の姿は傍になく。
皮膚がひきつるような痛みと、爛れた肉が放つ異臭に焼け焦げた眉根が寄った]
顔……。
私の、顔――……。
[そっと。
手で触れる]
……… ………っ!?
[瞬間。
爛れた肉が発する痛みに、飲み込む悲鳴。
身体を支えるのも辛いと言う様に、両手をペタリ、床に付く]
あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″
[伏した女の唇からは、言葉にならない慟哭が床に落ちる。
慟哭を漏らす唇は、何時しか大きくその顎門を開いて。
粘膜の赤を誰に見せるでもなく覗かせる。
そして――…]
/*
変な確定避けするとわかりにくいようだし気を付けよう。
ただ、不意打ち狙撃は避けられないかもって思うと難しい。
バトル村だしその程度誰でもかわせる(少なくとも急所くらいは外せる)のかねぇ。
[メリっと嫌な音が一つすると、それを皮切りに唇が大きく裂ける。
裂けても尚、広がる顎門。
紅い噴水を撒き散らしながら、これ以上ないと言うほどに開いた其の口の中からにょきっと生える白い腕。
腕に続き、ずるりずるりと古い皮を脱ぎ捨てて新たな顔や身体が生まれ出でる姿は、まるで蛇が脱皮するかのよう]
…―――憶えているよ、レーメフト。
[砂塵が舞う中、
首を傾げた姿勢で音の出所を意識する。]
俺がお前の『炉』を起こし、
[ぐぐっと槍を後方へ。
そして助走、跳躍、『一閃』。
より後方に位置する柄先端から弧を描いた片刃部分の接合部が外れ、柄+型刃部分の薙刀状に長さが延びる。]
お前が俺の―――…
[その先の音は、聞こえず。]
[足の先まで、全てを傷つく前の姿を取り戻せば、はぁ……と大きく溜息をついた。
蝮の女と呼ばれる女の異能力の一つが、この脱皮による超再生である事を知る者は少ない。
だけど、今はもう滅んだはずのあの施設にいた頃と比べて、
生まれ直すのに酷く時間と力を要するようになってきたのは、命の灯火が付き掛けているからだろうか。
それでも――…]
まだ滅ぶ訳にはいかないわ。
あの子を……までは。
[掠れた声で一つ呟いて、今は消耗した体力を回復するために、ゆっくりと眸を*閉じた*]
下がれ……っ
[相手を視認出来ないながら、斜め下へ向け弓を構える。
相手の助走と跳躍は耳に届いていたが、弓は届き槍は届かぬ距離だと高を括った]
あ……っ
[しかし、予想だにしない一閃が。
腹を切り裂き、紅を散らす。
矢から手は離れていたが、狙いをつけぬ攻撃が何処へ飛んだかはわからない]
くそ……ッ!
[空いた右手で腹部を押さえ、上昇を続ける。
高さと距離を十分に離し、両眼のざらつきが消えるまではこちらから攻撃する事はない**]
[空中に投げ出す音。]
………2012年…
[ぽつり。
呟きと共に、有翼人との距離は見る見る開いてゆく。
地面に砂塵と共に落ちた男の周囲に、芥子の種のように小さな血の雨粒がぽたぽたと降った。]
[薙刀状のそれを元の形に戻す。]
…――――……
[空中に投げ出した音に有翼人は反応しただろうか。
放り出した酒瓶を再度抱き寄せると、四辻を後に瓦礫に身を寄せながらその場を去り始める。
明瞭な意識は容を崩し影を潜め、無意識が意識を凌駕する。**]
― 挿話・放浪する復讐者との舞踏 ―
[――砂塵の街に、つむじ風が舞う。
墨色の夜に僅かなりとも往来のある界隈が
途切れ、瓦礫の中へ折れた柱ばかり立つ道。
道化たなりの男は其処で相手を待っていた。]
……
( ― 早すぎたかな ― )
[眉の曇る面持ちで軽業師が向ける問い。
…如何にも、急いた取立てを詫びる態。]
[取りっぱぐればかりを危惧した、得手勝手。
取引を重ねた客に類似の記憶はないだろう。
サンテリの返答を待ち、砂上へ歩を出した。]
[先の死合と異なる幕開けは、軽業師が奔らず
宙返りからの高い跳躍で間合いを詰めたこと。
迎撃の抜刀、切っ先を蹴りつけて背後を――
――取らせぬ とばかりの
鋭い肘打ちに弾かれ、長身が砂上を転がる。
先手に妨げようとした、薬包の摂取を許す。]
[再度飛び込む懐の裡、打突は胸の央に深く。
拳を振り抜けずに、顔を上げる――目を瞠る。
既に彼の人の瞳は紅い。
途端跳ね上がる、復讐者の脚力。反射速度。
横薙ぎの一閃に半ば振り回され、跳び退る。
肩から緩く羽織っていた外套が斬られ――
爛れる毒を刮げた胸の疵が、露わになる。]
[血塞ぎの片目側へ身を舞わせ、腕を取る。
長身の発条(ばね)で――投げる。
裂けた外套を千切り捨てる。
投げられながらも、逆しまに飛んでくる斬撃。
軽業師の膝下に鮮血とコールタールが飛沫く。]
[鋭く闇へ散る紅と、重く影へ粘る黒の対比。
復讐者の感覚をより一層幻惑する物の正体。
前回より強い薬物を口にしただろう復讐者が
振るう剣の目測が時折、僅かだけずれ始める。
軽業師の男は馬銜をがりりと深く噛み直す。]
[自らを、サンテリがあてなく追い求める仇と
証だてるためにはたったひとつ問えばいい。
年はわかっている。
彼の大事なひとが、研究施設【プラント】の
見えるところで死んだかとだけ問えばいい。
否を証し立ててしまわないために銜を噛む。]
[浅く肉を潜る斬撃とすれ違いざま、
頭巾から覗く耳へ噛み付いて前へ引き千切る。
口唇の端へ爪を引っ掛け、鋭く視界を揺らす。
(…痛い?)
交わす視線、細める目元が違わず問うている。
復讐の刃が、爛れた胸板を捉える寸前も――]
が、はッ… !! !
[みしり、喰い込む刃が内壁を凹ませて
軽業師の身体が砂上へ叩きつけられる。]
――――〜〜ッ、…
[ヒュ、と喉笛が鳴る。
連続して長く、短く。]
[軽業師の男の意識が白く遠くなる。
サンテリが突きたてようとする刃。
断続的に、…喉笛。吹子の鳴く音。
銜は外れるのに、黒い煤煙は湧かず。]
[双方の記憶は今はここで途絶えている。
…白い。吐き出された塊と、*陽炎が*]
― 挿話・放浪する復讐者との舞踏 了 ―
[どれぐらい落下しただろうか?どれぐらい意識を失っていただろうか?
傷口から少しではあるが血が滲み出る。背中が痛い。意識が朦朧とする。
朦朧とした意識で感じたのは嗅ぎ覚えのある匂い、あまりいい感情はない。
気だるそうに目を開けると、傍らに男が一人。記憶の底にある、関わらない方がいい、という警鐘を無視してたずねる。]
あんた、誰?**
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