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[大切なものを失う時、人は涙を流すだろう?では天が涙を流した時、一体何が失われるのだろうか。降り積もる雪。積もれば、天に帰ってしまう今の雪。天は泣いている。この世界が続く限り、永遠に。無限に。白い涙を流し続ける。]
お………マシロだ。
やっほー。って聞こえるわきゃねぇか。
風邪引くぞ、ちゃんと家にいろよ。
[たまたま見かけたそれに、一言声をかけて。そのまま歩く]
[イマリとの電話を切った後、携帯を握りしめたままうなだれていれば、服を掴まれる感触。
はっと我に返り、流れ落ちる涙を拭いながらデンゴの方を向く。]
デンゴ君…ごめんね…。
さっき何か言いかけてた?
[デンゴが呟く言葉。瞳を瞬く彼には何かが見えているようで]
ん…?何か見えるの…?
[自分もきょろきょろと周りを見回してみるも何も見えなくて、彼の目に映る物は何なんだろうと小首を傾げる。]
死者の想いを還せば…デンゴ君のお母さんもジュンタも本当に戻ってくるのかな?
[隣にいるこの子も母親がいなくなって辛いのには違いないのに、自分ばかりが泣いているわけにはいかない。と思いながら、ふと窓の外へ目をやれば、再び天から降り積もる雪。]
デンゴ君、疲れてない?
寝るなら一緒にいるから眠るといいよ?
[そう問い掛け、少年の頭を優しく撫でた。**]
さてさて、俺は何処へ行こうか。
美夏ちゃんの心配をしようか?
イマリとズイハラさんを覗きにいくか?
展開のある所へ行こうかな……
―回想・自宅―
[ずっと外にいたせいで身体はかなり冷えていた。
一度シャワーに入り、汚れを落とす。
時間の流れがどうなっているかは分からないが、シャワーはなんとか使えた。
11月1日の日に使わなかったせいなのか。]
雪は…昇ってるわね、普通に。
[これが普通だと思う自分に激しく吐き気がするが。]
この時間を普段から使えるなら、誰も受験に失敗しなくなるわね。
うん、でも、まぁ…。
馬鹿は馬鹿な風にしか使わないかもしれないけれど。
[バスタオルで頭を拭きながら、携帯を取った。]
[携帯には1通のメール。
最近はパタリと止まった迷惑メールでないことは分かっていた。]
美夏…、あの娘か…。
[メールの文字に目を滑らせていく。
残っている人間の数は6人。
そもそもこのメールを信用していいのかすら分からない。]
霊感ね…そんなもんあったら困らない。
[あの少年が人間だと分かったのは。
ビー玉が教えてくれた気がするから。
ただ、それだけ。
掲示板にそれらしきことは書いてあったけれど、信じてはいない。]
ま、バカ兄貴が何を教えてくれるのかは疑問だけど。
[視線の先。
白い歯を覗かせ笑う兄の遺影。]
[一番、疑問に感じているのは自分。
青のビー玉は己のビー玉。
白のビー玉は兄のビー玉。
それを、大事に持っているなんて恥ずかしいけれど。]
バイク事故で死亡なんて、どんだけ親不孝なんだか。
あんた、ホントに馬鹿じゃないの?
そんなんが双子の兄だなんてそれこそ吐き気がするわ。
[けれど。
死者絡みの都市伝説を見るとすぐに試してしまい。
今回のことも。
もしかして、兄が来ているのかもしれないと。
そう、思った。]
…ま、馬鹿兄だけど…そこまで馬鹿じゃないか。
死者は死者の役目を果たせばいい。
あんたのために泣いてあげたこの私に感謝すればいいわ。
その代わり、あんたのこと私は忘れずに泣いてあげるからさ。
[遺影で笑う兄。
血まみれで冷たくなったその頬を触れた時。
己の半身を失ったあの感覚。
きっと、それを忘れることは2度とできない。
熱を失ったその皮膚の冷たさを忘れることはできない。]
とりあえず…元に時間を戻さないと。
いっぱい勉強できても、センター試験を受けられないと意味がないもの。
[軽く伸びをしてもう1度確認をする。]
[ミナツからのメールにもう1度視線を落とす。]
5人のうちの1人の名前を件名に入れて…。
それから、本文は「雪に願いを」か。
死者の見当はさすがにつかないわね。
とりあえず、このデンゴって子供は違う、勘で。
ズイハラ…これは誰か知らない…。
この名前でもいいけれど…。
[ここ2、3日で出会った名前の主のことを思い出し、誰が死者なのか考えていく。]
クニモト…ってあの理科室にいた…。
私の名前知ってたよね、あいつ。
……勝手に呼び捨てにしてるし、何様?
本当かどうかも分からないし、とりあえず書いてみるか。
[携帯のボタンを押し始める。]
[本文に指定の文章を入力し。]
宛て先不明で…送れるわけ…、
[無機質な音と共に、送信完了を告げる画面。]
は…?
これで送れたっていうの…?
まさか…本当に…?
[テストとして送った文章。
けれど、彼がもし死者でなかったとしたら。
何が起こるのだろうか。
窓から外を見遣れば、雪が天から舞い散り始めていた。]
[再び舞い落ちる雪。
町はまた色を白へと染め上げていく。]
あの美夏って子…国本と一緒にいるのかしら…。
メール…すべき…?
でも、もし…。
[死者はこれで天に還る。
じゃあ、生者は?
天に間違えて連れられるなんてこと――――。]
あ…あるわけ…、ととと、とりあえず…。
[私服に着替えて、町へと飛び出していく。
携帯だけは忘れずに。]
―回想終了―
―道―
[街中を走り回った。
途中で少し休憩もはさんだけれど。
誰とも会うことはなかった。
道ですれ違った少年とも会わない。
"もう誰もいない―――――?"
そんな不安が脳裏を掠める。
息を吐けば白いもやが昇っていく。
走って息が切れ、顔も上げられない。
ただただ苦しい呼吸を繰り返して。
息が整うまでその場でそうしていた。
ジーパンに履き替えて正解だった。]
[兄がいなくなった日も雪だった。
不良生の兄。
優等生の妹。
両親の期待は自然と自分に向き。
兄は家にいなくなることが多くなった。
双子という特別な関係だったからだろか。
そうなってからの兄とも、己は仲は良かった。
兄にとっての家族としての居場所は己だけであり、過度の期待で押し潰されそうになっていた己にとっても兄は唯一の家族であった。]
――――ハァ、ハァ――……ハァハァ…。
[塾が終わってから外に出ると銀世界が広がっていた。
溜息をつき、兄に迎えにきてもらおうとメールを。
それの了承のメールの後、空を見上げながら待っていた。
突然鳴った携帯は兄の事故を告げるもの。]
[兄はなかなか来なかった。
こんな雪の日に迎えを頼むのはやめればよかったのか。
そんなことを思い始めたとき。
突然鳴った、その携帯の音は。]
―――――、ハァ、ハァ…。
[また息が切れて空を見上げる。
雪が顔にあたり、そこだけやけに熱く感じる。]
………………………。
[走って、走って、走って。
辿り付いた病院には変わり果てた兄の姿。
車との正面衝突。
白いビー玉のついた携帯が視界に入る。
ディスプレイはひび割れており、外側は血に塗れている。
真っ黒な画面は、何も映し出すことはなかった。
ただ、ビー玉だけが照明を反射し光って。
キレイに、キレイに、その存在を主張していた。]
[兄の命を奪ったのは他ならぬ家族なのだろう。
自分たちはその十字架を背負ったまま生きねばならない。
それは罰でも何でもなく、義務なのだ。]
…………………っ。
[携帯をぐっと握り締める。
その先に光漏れる1つの店。
通りの向こうから中を見れば人影が見える。
2人いるだろうか。]
―――――――ハァ、ハァッ…………。
[兄の声が聞こえる気がした。]
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