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私は…私をさげすむものは許さない…
あんたなんかに殺されてやるほど、私は軽い女じゃ、ないのよ…!
[朦朧とした意識は戻らぬとも、伏し目がちな瞳は猫のように爛々と]
死ねばいい。あんたなんて死ねばいい死ねばいい…!
あぁ、貴方の顔をよりも赤は綺麗なんだもの、もっと赤くなればいい
[半分気違いのようにひらめく鉈と
雪原に舞い散る赤は異国のものが見れば梅花と呼ぼう]
…姉様。ごきげんよう?
[近づいてきた姉と慕う人を眼に留めて。手は止まるのが酷く物惜しげ。
ネジが外れたような、それでも小春のような、血にまみれた笑顔を向ける。
いつもどおりの、伏せ目がちの天使のような笑顔すらみえそうな]
[すかれた髪に心地よさげに眼が歪む]
マティアスが私を殺そうとしたのよ?
酷い人。私は姉様に殺してほしいのに。
だから、仕返しよ。
[奮い立つ子犬はしたいがままに。
赤くどろりと流れる血に、喉が鳴る。
一度は刃を突きつけたその喉に、次は歯を立て肉を食いちぎるように。
至福のときだったやもしれない。そうぼんやりと思うのは、その後のことを覚えていないから*]
[私に必要なのは空気なの。そばにいる人ではないの。そんなものは、いらないの。
姉様はそれをよくご存知でいらっしゃる。
私が貴女を手にかけても貴女はきっと恨みもしますまい。
だから私を殺して頂戴。人に殺されるのは嫌。空気のような、姉様がいい。
私を知っているようで、何も知ろうとなさらない、姉様だからこそ。私は好きなのよ]
姉様……?
[ゆっくり、ぞわりと顔を這う指をうっとり見詰め
次第に狭まる世界に惜し気は見せない
閉じた眼窩に広がる赤い世界は甘すぎるほどの傷みと恍惚 ]
私の世界なんて狭いのに そんなもの 美味しくないわ…?
[世界が彼女の口の中で蕩ける間、思いを馳せるのは……]
[たゆたう意識はそこで途切れる。
生死の狭間、聞こえる声に命を感じなくなったのは
残された半分の世界が色を失ったからか
赤だけを望んでも色亡き世界は灰色で]
あかぁい…あかぁい……
それ以外は、いら ない……
[自ら殺めた男の声も
杖に音色奏でる男の声も
赤恋うるを伝えた男の声も
秘密を語った女の声も*]
誰も、誰も私に赤をくれない
なら、もういらないわ
貴方達なんて、もうイラナイ
綺麗ゴトも世迷ゴトもこの村も
赤くないものは皆イラナイ
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