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いぇん、に?
[ただユノラフが何かしただけで、ユノラフをうそつき呼ばわりするとは、時折相談にも訪れた男にはにわかに信じがたかった。
ドロテアを愛するが故に暴走することもあれども、思慮のあるものでなければできないことを彼女がしていたから]
……どういう、こと……?
[わからない]
[クレストの怪我が心配だったが、内臓に達するような大怪我がないことに安堵した]
[友が自分の荷物を漁るところを自分もじっくり見る。
何せ、何が入っているのか正しく知るのは初めてなのだ]
じい、ちゃん…
[だから、友から貰ったふくろうが出てきた時は、驚いた]
[ずっと大事に家に飾っていた木の細工]
[家の老人は、字がかけない。だからこそ――そこにある祖父の意思が見えた]
ごめん、じいちゃん…
[友をもう、大事にすることすらできないこの身が歯がゆい。
どうか、魔よけのふくろうが。友の身を守ってくれればと願う]
[友の唇を読む。
言葉と同じく、丁寧な――]
おれの、ことなんか、どうでもいいんだ
クレスト……
[少し、が長いことになることを知っているから。願うのは、生きているものの幸せだ]
どうか、無事で…**
― 翌朝 ―
[幽霊になって寝る、とはいうのは可笑しいが。
気がつけば意識が途切れていて、居間にいた]
……
ドロ、テア?
[死の気配を感じ、声をかける。
だが――返事はない]
アイノ? レイ、ヨ?
[誰だろう、と思いながら、階段をあがる。]
[ふと見かけるのは、親友の後ろ姿。
幽霊となった今、臭いを知覚するのは難しい。
それでも――嗚呼、いってはならない、と血の苦手な親友を止めようとしても手がすけてしまうのだ]
[それに、親友がいつも。彼女がいれば、彼女のことを目で追っているのには気付いていた。
彼女に好意を抱いていることも。
だから彼女を見かけたときはいつもそれとなく二人っきりになるように計らったりもしたが――だいたい体が大きいわりに鈍いので失敗した――まさか、こんな]
うる、すら……
[嗚咽を噛み切られて絶命している姿を、見下ろした]
― 回想・レイヨの死後―
……レイ、ヨ。
[何故笑っていられるのか理解を超越していた]
どうして、あんなことを?
[漠然とした問いかけを]
アイノのことを、人狼っていったんだ?
[ぽつり、と。
だが――その答は、アイノに語りかける内容こそが雄弁だった]
お前は、何者、なんだ…
たのし、そう…?
アイノを、だまして、クレストを陥れようとして、ウルスラを、うそつき呼ばわりすること、が…?
[声が自然と低くなった]
声が聞こえる、人間……
[そもそも声とは何なのか。
昔話で聞く、人狼が仲間内でやり取りできる遠吠えというものだろうか。
それを聞ける人間が、彼らの毒にあてられたのか、それとも――レイヨがもともとそういう人間なのか。
男には判断つかなかった。
ただ、男が忌むべきものを、全てこの子が楽しんでいた。
それを、今――どう受け止めていいのか、戸惑っているのだ]
クレストは、話が不得手なだけで…
しんはしっかりしてるから。
[都会のものが田舎で暮らす。しかも喋られないものが、だ。
その努力をずっと見てきたからこその言葉]
そうだな、クレスト、は、きっと1回目の投票は、白を入れただろう、な。
ウルスラは……わからない。でも、クレストに入れる、彼女じゃないから――そうなるの、か。
うん。
でも、嘘をつく理由にも、だます理由にも、ならない、な。違う、か?
そうだ、な。
正直、とほうにくれている。
まんま、とレイヨの、もくろみ通り。
[頭をかいて]
人狼が生き残った、ら。
最悪、村が滅びる、らしい。
それも、レイヨ。
お前、の望み、なのか?
ここの宿に呼ばれていないものたちも、酷い目に、あう。
家族も、みんな。
[消えた姿を目で追い――]
ウルスラが……?
[人の死は、生きているものを憔悴させる。
引き上げていく皆の姿を見――
ウルスラを、一人にしてはいけないと、耳元で囁けども。
誰にも、聞こえない]
[その中には、部屋に引き上げるイェンニもいた]
― ウルスラの部屋 ―
イェンニ、が人狼…
[ユノラフが嘘をいうわけではないとは思う。
しかし、イェンニが…]
あんなに、慕っていた、ドロテアを?
それに、ウルスラ、を……
[にわかに信じがたいのは確か、だ]
ドロテア…
[彼女なら何かを知っているのかもしれない。
そうは思えど―― いまだ、死後の彼女の姿を見たことがなかった]
[そして、皆が居間へといくのについていく]
[アイノが一人ドロテアの部屋の前で佇んでいるのが見えたが――]
[声をかけなかった。
今、彼女に必要なのは、整理する為の時間のように思えたから]
イェンニ……。
本当に、あんたが、人狼、なの、か……
[人狼はある日突然目覚めるものなのかもしれないといったのは誰だったのか。
数日前。
その言葉が――いやな予感しかしなかった]
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