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[目を開けると、ひろくんがいました
隣で眠っています
そういえば、昨日も泊まってくれたのでした
ひろくんはぐっすり眠っているようで、静かな寝息が聞こえます
わたしもまた眠たくなってきたので、ゆっくり目を閉じました
あったかい。]
[あのあと、起きたひろくんはお仕事に行きました
別れぎわには、優しく頭をなでてくれました
また来るよ、そう言って。
わたしはしばらく自分の書いた日記を読んでいました
覚えていること、いないこと、たくさん書いてありました
やがてわたしは日記を閉じました
そうして、いつものように屋上へ向かいました
煙草を吸うために
夢の中のかみさまも、たばこを吸っていました。]
―屋上―
[屋上に行くと、だれかがいました
ここの患者さんでしょうか
わたしはそのひとの邪魔をしないように、端の方へいきました
そうして、ハイライトに火をつけます
風に揺られながら空たかくのぼる煙を、わたしは眺めていました**]
‥‥?
[「風に、拐われるよ。」
聞こえた声に、わたしは振り返ります
そこにはマフラーをした、女の人がいたのでした]
こんにちは。
[わたしはたばこを口から離して、にっこり笑ってそう言いました]
[この人が乗っているものを、わたしは知っています
車いすと言うのです
そがさんが乗っていたから、わかります]
わたしは、すきです。
かみさまが好きだったから。
[美味しいものかどうか、考えてみました
おいしい、よりは、好き、かなぁと思いました]
かみさまがいなかったら、わたしは今、ここにはいられなかったから。
[「神様は、あなたを救ってくれる?」
そう訊ねられて、わたしは頷きました
かみさまが、みつけてくれたから
かみさまに、ロッカと呼んでもらえたから
だから、わたしは今ここにいられるのです]
‥‥でも、かみさまは、いっちゃったんです
わたしを置いて。
[わたしはもういちどたばこを咥えて、すうと大きく息を吸いました
重たいけむりがいっぱい溜まって、かみさまがいないさみしさをほんとうに埋めてくれたらいいのに、と思いました
それからふうと吐き出した煙、真っ白です
わたしはその煙がのぼっていく空を見あげました
かみさま、かみさま、
わたしのことが見えていますか。]
「…いつもキミの中に居るから
神様と呼ぶのではないの?
離れていても傍に居るというやつ。」
‥‥。
[女の人の言葉に、わたしはうつむいて、たばこを灰皿に落とし、ポケットに手をやりました
そこには、煙草の箱と、ジッポと、
それから、石が入っています
かみさまの、お墓の石です
お守りみたいに持っていたものです
これがあると、かみさまが傍にいてくれるような気も、時々はするのです
けれど、きっと、そんなわたしをかみさまは笑うでしょう
そんなただの石ッコロを後生大事にしてどうすんだ、と。]
[きぃ、と、車輪が音をたてました
顔をあげると、女の人はこちらに近づいてきていました
巻いていたマフラーが、今は外されています
わたしは、不思議に思って、彼女の目線の高さまでかがみました]
「…あげる。」
[そう言って、彼女は、わたしの首にマフラーを巻いてくれたのでした
それはほんわりとあたたかくて、なんだかあったかい気持ちになりました]
‥‥ありがとう、ございます
[でも、どうしてこれをくれたのでしょう?
お礼を言いながら、わたしは首をかしげました]
「…私は神様にはなれないけど、
寒そうな首筋にマフラーは巻けるの。
どう、すごいでしょう。」
[彼女の言葉に、わたしは少しだけ、きょとんとしました
おどろいたのです
それから、嬉しくなって、ふにゃ、と笑いました]
‥‥ロッカ。
ロッカです、わたし。
むっつの花で、ロッカ。
[屋内に戻るのでしょう、女の人に、わたしは名乗りました
きれいな色のマフラー、ほんのり暖かいそれをきゅうと小さく握ります
この人のことも、わたしはかかえていきたいと思いました]
クルミ
クルミ、さん
[わすれないように、彼女の名前を呟きます
顔も、しっかり見ました
大丈夫です、たぶん]
こんど、会うときには、
アネモネ、用意します、ね
[アネモネがどんな花なのか、わたしにはわかりません
でもきっと、ひろくんは知っているでしょう
ひろくんは物知りですから
次に来てくれたときに、お願いしてみようと思いました]
[それからわたしは、もう一本、ハイライトを取り出しました
もらったマフラーを汚さないように気をつけながら、そうっと吸います
綺麗な淡い朱色のマフラー、触るとふわふわしていてとても気持ちがいいのです
きっと、クルミさんが優しい人だから、このマフラーも優しい手触りなのでしょう]
‥‥くしゅっ
[どれほどそうしていたのでしょうか
くしゃみが出る頃には、手に持ったたばこはすっかり灰になっていました
わたしは部屋に戻ろうと思いました
なんだか人が慌ただしく動いていて、誰かが落ちたとか、何だとか、言っていましたが、
わたしには、何の事だかわかりませんでした]
[部屋で日記を書いていると、扉があきました
傷のにいさまと、さわださんが来てくれたのでした
傷のにいさまは、わたしの首にあるマフラーを見て訊ねます
そいつはどうしたんだ、って
わたしは答えます
クルミさんがくれました、って
そうして、こう続けます
にいさまは、アネモネってお花、ご存知ですか、って]
[傷のにいさまは、知っているような、知らないような、煮えきらない様子でした
きっと、お花のことは詳しくないのでしょう
さわださんが笑いながら、アネモネがどうしたのかと訊いてきます
わたしは答えました
クルミさんが好きだと言っていました、
マフラーのお礼をしたいんです。]
[傷のにいさまはわかったと言って、明日までに必ず用意してくれると約束してくれました
わたしは傷のにいさまにお礼を言って、ぎゅっと抱きしめました
傷のにいさまは大きくて、温かくて、わたしはすきです
かみさまと、ひろくんの、次に好きです
さわださんが、小さく笑いました
わたしも、つられてふふっと笑いました**]
/*
いちにち、ひとり
ひとりずつです、お喋りできるのは
わたしと時間が合わないから、仕方ありません
わたしがわたしの世界に引きこもっているのも、その一因でしょうけれど
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