[集会場の扉を叩く。
かじかんだ手で、微かな音で]
あの、
[ゆっくりと扉を開けると中を覗く。
見えた人たちに目を見開いた]
……ああ、みなさん。
[僅かに眉尻が下がる。
息混じりに言葉を*漏らした*]
まったく、こんな日に呼び出すなんてどうかしてるでしょ。
[雪の中を歩く。
寒くても縮こまらず、背筋はまっすぐ伸びている。
さくさくと雪が鳴る音は、集会所の前で止まった]
ごきげんよう。
[扉を開けて、その場にいる者に挨拶をする]
皆さんお揃いですのね。
これで全員……?
[問いかけるが、空腹からか
気持ちはすぐに食べ物の方に向いたようで]
バロンは……あれはマリネにすると
旨しなのですわ。
そういえば食事とかはまだなのでしょうか?
[ふと思いついた疑問を誰にともなく*問いかける*]
夜、屋敷を抜け出すことは珍しい事ではありませんでした。好奇心に溢れたお嬢様の「お願い」で私がお伴をする。ご両親に知られれば私おとがめをくうでしょうが、それでもこんな村です。お嬢様が逢い引きをなさるわけでもないし……おとがめだってたいしたことはないと、そう、思っていたのです。
あの日は月のまあるい晩でした。
いつもと変わらぬお嬢様のお伴、いつもとかわらず楽しげなお嬢様に手を引かれて……ああ、私はいつも、何が楽しいのか解らずについていくのです。曖昧に笑い、遅れぬようについていくのです。
あの夜も、いつも通り。
いつもとなにも、変わらなかったのです。
変わりがあったのは、今朝。
自警団の団長であるアーヴァインさんが屋敷を訪れたのです。そして、集会場に集まるようにと、私が、名指しで呼び出されたのです。
何故かと問う私に返ったのは、
あの満月の夜、大きな獣の姿を見たという報告があったこと。それが人狼という生き物の疑いがあるということ。
そして、私の姿を見かけた者がいるということ。
そんな、言葉でした。
私はそのまま、集会場に向かうことになりました。ご主人様や奥様の視線を思えば、屋敷に留まることなど出来ませんでした。
けれど集会場に向かう気にはどうしてもなれず、雪の中をずいぶんと歩きました。出会う人は皆、私が呼び出されたことなど知らぬ風でしたが……いずれ知れる事でしょう。
そうなれば私に向けられる視線は変わってしまうのでしょう。
人狼。
声に出しても何の感情も湧きません。
何かを想像しようとしても、出てくるのはせいぜい山に住む狼くらいのもので、自分にその嫌疑がかけられているなどといわれても、怒って良いのか笑い飛ばして良いのかわかりません。
人狼。
人と狼の姿を行き来する生き物。
雪道を歩く間に考えて、考えて、ふと気づいたのはその生き物についてのことではありませんでした。
そうであれば、どれだけ良かったことか。
え、あ……
[オードリーの声に我に返る。
身震いすれば溶けかけた雪が僅かな水滴と共に床に落ちた]
私、何か作りましょうか。
料理人のようにはできませんけど。
[答えを待つ間もなく奥の炊事場へと向かう。
集会場は宿泊にも対応出来るよう、簡易の炊事場があることは知っていた]
……。よし。
[味見をして、頷く。
お嬢様の料理よりははるかにマシだ。まちがいない。
暖炉のある部屋に戻ってくると、部屋にいる人たちに声をかける]
お食事できました。
といってもバロンのスープとパンくらいですけど。
? グレンさんは?
[見回せば誰か、釈放されたらしい事(>>21)教えてくれる者もいたろうか。
そうでなくてもこの場にいないという事の意味くらいは、想像がつく]
誰か、疑いを晴らしてくださる方がいらしゃったのですね。グレンさんには。
[笑顔を作って、呟いた]
[所望の声があれば、その分の食事を用意する。
ローズマリーが覗いていた窓を見れば、白い物は降り続いていた]
雪、止みそうにありませんね。
[長い髪の人に向けるのは、当たり障りのない話代表の天気のこと]
暖かい物を食べて……あ!
[はっとして、声を高くする。
すっかり名乗っていないことに気づいて、慌てて*自己紹介した*]
んもう。
イザベラ先生ったら、どうしてもっと早くに教えてくれなかったのよっ。
[ぶつぶつとぼやきながら走る道すがら。
しんどい訳ではない。もう何年も前、家族が全ていなくなって、今の学校の寄宿舎に引き取られてからというもの、毎日折を見ては、走る練習をしているのだから。]
──あ、灯りがついてる?
[先ほど、舎監に行くように言われた建物が見えてきた。**]
[集会場への道は白い。
――濃淡いくつかの足跡が残る道筋を、
破落戸(ごろつき)の男が背を丸め歩む。]
ちっ。
[破落戸はひとり、目を眇める。]
[振り返る視界、後方の広場には
自警団長アーヴァインの姿があり。
破落戸の背を見張るごとき仁王立ちに、
舌打ちをひとつ。男は逸れず道を行く。]
けったくそ悪ぃ。
[教会の鐘が鳴る。
顔を上げると、女学生のメイが先立って
集会場へと軽快に駆け行くのが見えて。]
……
[彼女が開く扉から、ふわりとできたての
バロンスープの匂いなど香るものだから、
不機嫌な破落戸はますます目を眇める。]
[振り向いたときには、既に農夫の姿は無かった。
その分増えた人影と、バロンのスープ]
塩揉みするのがポイントなのよ。
[マスターの口真似をしながら、テーブルへと近づいてゆく]
/*
うーむ、グレンの人や、コーネの人は、もしかすると自動放出なし設定と勘違いしてはったのではないかしら。
いや、違う事情かも知らんけど。
*/
……年寄り。
[悪態が飛び込めば、微かに眉を顰める。
ちら、と視線をやるのはローズマリーの方。
自分のレシピはマスターの直伝とはいかないが、いくらかコツを教えてもらったのものだ]
……あ、コーネリアスさん。
[旅人の「釈放」を告げられたのも、そんなときか]
[勢いよく吹く寒風に視線を上げると]
なんだ、具合のいい人が見つかったなら、もう此処にいる必要ないよね。
[訪問者に口許を緩めた彼は、*帰路へ*]
遅くなりましたぁ!
[集会所の扉を開いて、先客に声をかける。]
……。バロン、あたしは大好きですよ?
[柄のあまりよろしくない男の悪態に真顔で答えた。]
こんな夜は暖かい物に限ります。
メイさんもいかがですか。……ノーマンさんも。
[オードリーの礼(>>31)に微笑んだ]