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― コテージ・元自室 ―
[きょろりと周囲を見回して。
ミハイルが居るとすればどこだろうか、
一先ず自分が過ごしていた部屋へと。
――ふわり、風もないのにスカートが揺れる。]
[こんなことになるのなら、
ズボンまで身に着けておけばよかったと、
後悔してももう遅い。
白のパーカーの下に、小花柄のワンピース。
こんな格好がマティアスの目に映らなくて、
心底良かったと思う。]
此処にはいねえみたいだな、居るとすりゃ二階か?
[草臥れた軍服の詰襟のホックを外そうとしてみる。
成る程、脱げないわけでは無いらしい。
暑さも寒さも感じないが、なんとなく息苦しい気がする。
実際はなんとも無いのだが。]
あんたはどんな未練があって此処に?
[言ってみておいて思い当たる事は一つしかない。
相棒と呼んでいた蛇だ。]
スープの出汁にはなってなかったぜ、
良かったな。
[そう告げて広間を出て、階段を上がる。]
そうだ、朝食の支度、を。
[体に染み付いたルーティンワーク。
しかしこの状況で、誰か食事を欲するものは
いるのだろうか。
別に、いなくても良い。
それは人として過ごすために、
最初に入れるスイッチのようなものなのだから。]
―大広間―
>>+13
お褒めにあずかり光栄です。
[自分を死に追いやったミハイルの淡々とした口調に、皮肉とも本気ともとれる表情で、言葉を返す。
何の未練があって、と訊ねられた直後、スープの出汁にはなってなかったと言われ、>>+14一瞬何のことかわからなかったが、すぐにその意味を理解する。]
ええ、おかげさまで。
その点についてだけは感謝しますよ。
[そのままの表情で答えた。]
何のためにこんなことを?
[その問いに答えは返って来るのだろうか。]
………まるで泣いてるみたい。
[それは誰が?
──私が。
違う、私は泣いていないわ。
寂しくないもの。悲しくないもの。
このくらいの別れなんて、幾度もあったじゃない。]
え?ああ、ニルスさんと……。
殴り合うようなものではなかったので、大丈夫ですわ。
ご心配おかけしました。
[ユノラフはユノラフで、大変だったのだから、
こちらにまで構ってはいられないはずなのに。]
―回想・相棒との出会いE―
[次の日も、次の日も、その白蛇は現れた。
初日のこともあり、近づくのは避けていたので、噛みつかれることはなかったが、トゥーリッキに一定の距離まで近づき、じっと見つめ、時間が経つと去ってゆく。
その赤い目は、何かを訴えているように感じた。
しかし、何を訴えているのか。
それに気づいたのは、「その時」が訪れた、後のことだった。]
[いつものお人よしの言葉の途中に轟く雷鳴。]
あら。
…………大丈夫ですか?
[今度は、…が彼を心配する番になった。
笑うことはない、誰にだって苦手なものはあるのだから。]
[大きな雷鳴が止んだ後]
あの、こんなときにあれですけど、
朝食を作ろうと思ってまして。
ユノラフさんたちはいかがですか?
[ユノラフが一人のところを見ると、
マティアスはまだ起きていないのだろう。
これから起こしに行くのかは定かではないが、
必要ならばここにはいないマティアスの分も合わせて
一緒に作ると申し出た。]
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