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[でもその代り、ルリの目はお姉さんの隣に向かいます。
大きなケース。いったいなんなのでしょう。ランドセル? ルリの知らないものです。
ルリは差出していた手を体の前で揃えて、それからお辞儀しました。『引っ越しのご挨拶』の最後とおんなじです。
そうして、少し慌てて、パタパタと。あっ車内は走っちゃいけませんでした。早足で自分のリュックサックのところへ戻ると、椅子には座らずにリュックサックに抱き着きました。やったよお婆ちゃん、ルリひとりでもあいさつできたよ――お婆ちゃんには届かない、ルリの無言の祝杯です**]
[屈んだ姿勢のまま、視線を上へ。
女子が座っていたんだっけ……? と思った通り、
捉えたのは眠りこける男子学生だった。
しかも寝言付きの男子学生だ。
手の中に携帯を収めながら、
弓道男子は少しだけ、
不自然でないくらいに、その姿勢のまま。]
[鞄にウサギ。
携帯にクマ。
さしたる接点ではないが、勝手に共感を覚えた。
趣味でつけてるのかどうなのか
それすらも窺い知れないが。
趣味だと良い。そしてベアーズにも手を出せばいい。
少しだけ可愛らしすぎるクマたちをぶら下げるのは、
年頃の男子学生にはちょっとだけ、きびしいものもあるのだ。]
[例えばコラボレーションベアーズがその一例だ。
日曜日朝の可愛らしいアニメ。
魔法使いの女の子
――だったか、小学生女子に人気の一品。
クマを集めると決めたその日から
分け隔てなく購入してきたが、
……購入してはいるけれど。
今現在魔法少女ベアーは、
折り重なるクマたちの奥の奥になるよう
工夫を凝らして携帯にぶら下げられている。]
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