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[セイジとデンゴ、
向こうから気づくことはないかと眺めるが、
それまでの和装ではない。
サロンエプロンから扇子を出して、広げる。]
そうですね。
彼らには会いたいです。
[会う未来に頷いて、そちらに歩き出した。
その時、ソラの遺体も見る。グリタの横に。]
おはようございます。
ソラさんは死んだのですね。
[マシロとネギヤは無事なのだろうかと思うが、
今はそれを確認する事は無理な話で。
どうか生き延びててくれと願う事しか出来なかった。
日記に目を通す暇など無かった事を思い出し、
ポケットから日記を取り出して読もうとするが、
この暗闇では内容を読む事も出来ず。]
…どうか明るくなるまで命がありますように。
[日記をポケットに仕舞えば痛む腕を軽く庇う。
痛みはあるのだが気が緩んだせいでそのまま背中を丸めて瞼を閉じてしまった。
ネギヤとソラのその後を知るのはもう少し先の話**]
あー、ああ。そうだった!
[口ごもる様子に、ぽんと手を打ち]
セイジのにーちゃんは、オレ様のことどう思ってんだろ。
[悪戯を仕掛けるように、けらっと笑う]
あー…うん、次は…12thのおっちゃんかな。
[絵日記を開く。…――が、其処で戸惑ったような顔を浮かべた]
あ、れ??
…セイジのにーちゃんって、
そんなすげー世界に居たの??
んー、そっか。
でも、大事ならいいんじゃね。
どんな場所だって。
其処にしかない何かがあんだろ。たぶん!
えーとさ。
セイジのにーちゃんの世界の、一番自慢って、何?
[好奇心を瞳に煌かせて、空を見上げる背中に訊ねてみた]
余計なお世話って言われるかもな……。
僕だったら、こうはされたくないし……。
[7thについてはそんなことをぽつりといって]
なんか、やたら自由な子供……、
たまに大人みたいな顔もするなまいき。
[さらっと言ったが、怪訝な顔をする9thに、
なにかあったのかと同じく怪訝な顔をした]
[けれど、無邪気にも聞こえる声に問われれば背中を向けたまま目蓋を伏せた]
大事では、あるけど。
……僕の世界は一言で言えば、戦争しかなくて。
本当にそれだけの世界 でさ……、
ずっと憎しみみたいなのが連鎖してて僕らと人間とが殺しあって、それが当たり前で、その始まりもしらないし終わりも無い……。
他のたくさんの……こんなふうに、
穏やかな世界を滅ぼして、存続する価値は……、
――……、
[移り行く空の色、こんな風に暁の空をただ眺めたことなどなくて、なんだかとても眩しいような気がしてきつく目蓋を閉ざす。
指先がフェンスを捉えた、越えるのは簡単な境界線、カシャンと乾いた音が鳴った*]
…日記を取られた?12thに?
[困ったように告げられて、目を見開く。
少し考え込むような、間を置いてしまった。
謝るクルミに、首を横に振る。]
いや、謝ることはないさ。
日記を取っていった…ということは、
12thの狙いはゼンジさんかな。
その…、…壊すなら、もうやっているだろ。
[言いたくないように、その言葉を口から押し出す。]
[血に汚れたポールを拾い上げ、手に収める。
彼女に渡さなくてはと考えていた、動きが止まった。]
────…、な、に…?
[思いがけず、声が零れる。]
ソラ、が……、
[3Fで。ここで。
日記に新たな未来が書き加えられる。
”屋上でソラの遺体と対面する”
クルミを振り返った。
ただならぬ気配は伝わるだろう。]
[クルミへと日記越しの言葉を伝える。
足を踏み出したのはどちらが先だったろう。
駆け出した。
動かないエスカレーターを上り、フードコートを抜ける。
怪我にお互い足を時折縺れさせながら、
そんなことは感じていないように、ただ走った。
血に汚れたポールを片手について、屋上に立つ。
幾人かが振り向いたようだった。
けれど、それよりも目に留まるのは、]
[そして、ほどなく、ヨシアキとクルミがそこに現れる。ソラを呼ぶ悲痛な叫びは朝焼けに響き渡った。]
――……デンゴくん、ソラさんは誰に?
[強い人だったはず、だからそうデンゴに尋ねてながら、
風だけにではなく揺れるフェンスの元、セイジの傍に寄る。]
――……セイジさん、
どうしました?寒いですか?
[震えているようにも感じて、フェンスの横から顔を覗き込む。見えた表情には、眉を寄せた。]
――……
[そして、その手に手を伸ばす。
フェンスに絡んでいる指を一本一本剥がしながら、その背中を後ろから抱きフェンスから遠ざけた。
それから、落ち込んだ様子できっと俯いているだろうセイジの身体をそのまま支え、デンゴを見た。]
彼は、どうしたんですか?
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