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[曰く、]
違ってもいいから、
汚されてみたくなったら 俺と遊んで
[真白い羽を抜き取り損ねた空き手を、
ふらり揺らして 暗い窓へと姿を消した*]
やア、待たせたカイ――……?
[崩壊を僅か持ちこたえるビルの中。
待ち合わせる場所に居たモノに、特徴的な訛りを含む声で問いかける。
その表情は、歪な微笑み。
こちらに向けられる銃口は、待ち伏せた男の両手に二つ。
『カレワラの秘匿文書を渡してもらおうか』
脅しと言う名の歓迎の言葉に、ハッ、と息吐く嘲笑を返す。]
ンなもんねェよ、タコ。
アッたら俺が旨く利用シテやるっての。
[死を見せ付けられても、若い三白眼が動じる事は無く。]
[振り返った先、硝子を掴んだ手に滲む色が見え]
はっ。
気が向いたら遊んでやったっていいわ。
[揺らされる手に同じ動作を返すことはしない。
男の消えた暗い空間を、空中から睨んだまま]
でも汚されはしない。
――あたしが、浄化してやるのよ。
[呟く声は既に独言。
すう、と冷徹になった声は、恐らく誰にも届かなかっただろう]
[鳥のような何かを探して歩いてみたものの、建物だったようなものが邪魔して途中で見失ったようだ。
血で汚れた外套をずるずる引きずって、あてもなく歩き続ける。]
僕はここで何をしていたんだっけ?
ここはどこ?家に帰りたい。
なぜ、洋服が血で汚れているの?こんな服、格好悪いし、僕の趣味じゃないし…。
[瞳を潤ませて、あたりを見る。人の気配があれば、そこに走って行くだろう。]
[懐から するり と一対のナイフを取り出し、構える。
今度は待ち伏せる男が笑う番だった。]
ナニが可笑しいンだい?
[機械仕掛けの飛び道具と、短い刃物が対する。
二発の銃声は、どこまで響いたか。
その後に、立っていたのは待ち伏せ られた 側だけだった。]
銃……。
[少し距離はあるが、同じ街区内から聞こえてきた音]
その程度の武器はあるってことね、下界にも。
[舌打ち一つし、ビルの陰になるよう飛行高度を下げる]
[手向けの言葉は、静かに響く。
ピクピクと痙攣する普通の人間の頭に、ざっくりと刺さった一つのナイフを引き抜くと、それに付いた粘着質を温もりある相手の服で丁寧に拭い、腰につけたナイフポーチに仕舞いこんだ。
それから、当然のように手際よく、相手の持っていた金目のものを漁り始める。
ずしりと重みのある漆黒の二丁のハンドガン、それからそれの予備弾。綺麗な石が付いた指輪。
それらをポケットから取り出した布袋に突っ込んだ。]
儲けさせて貰ったゼ、アリガトよ。
[感謝の言葉は感謝の意味無く上辺だけ。
にやりと笑んで、赤くもう動かないものに背を向けた。]
[それ程遠くではない場所から聞こえた銃声に、しばしその場でうずくまる。
音は二発?]
もうやだ、おうちに帰りたい。
[半泣きになりながらも、銃声が聞こえた場所へ、吸い込まれる様に歩いて行くだろう。
何故なら、おいしい匂いー血の香りーがするから。]
…匂いがする……。
何処か、懐かしい、匂い、と血の匂い。
鉄錆た、……――――――…
[手を、ゆっくりと持ち上げ口元に這わせる。]
[その場を去ろうとしたその時、自分に向けられた視線を感じる]
……ん?
[振り返り、それは錯覚だと知った。
視線の先にいる男の、両眼は布で覆われ隠れている]
なーんだ、さっきの薄汚れたニンゲンね。
[こっちの声は聞こえていたか。
先程の嘲笑と同じ声とは気付かれただろうか。
翼はためかせ、ビルの隙間を縫うようにすると、男に確実に声の届く距離まで近付き]
どうしたの?
さっきの女の子の傍にいなくていいの?
[掛ける声にはからかいの響きがあった]
[大気の流動。小気味良い翼の羽ばたきの音が耳朶を打つ。起こした風か元から街に吹く風か、その双方かが前髪を揺らす。]
……何故?
[有翼人の嘲笑も、先の音>>22が遥か高みからだとしても――何らかの意識が向けられる切っ先を感じていただろう――、何処か自意識から遠い所で、間近の存在と同一のものであると感じられた。]
傍に、何故?
[問いに、問いを返す。有翼人の位置から、地べたを這う生き物の声は聞こえるのだろうか。]
[何故? と問い返す声。
かつては街燈だったであろう柱の上に足を乗せ、羽音を止めると、目隠しの男に向き直る]
べーーーっつにー。
あの子、イケニエでしょ? 死んじゃうんでしょ?
可哀想に思うなら、見送ってあげればいいのにーって。
[男と供犠の娘がどんな関係なのかは知らない。
からかいの種さえあればいいのだ]
それとも、あんたも「救い」とか信じて彼女を捧げたクチだったりする?
[にたにた、と口の端を上げ意地悪く笑う。
相手には見えぬだろうが、口調から伝わるものはあるだろうか]
[>>54 何だと問われ、身体をビクンとさせる。]
あ…、あの。その人たち、死んでいるの?
あなたが殺したの?
[泣きそうな表情で、相手を見る。怖い目、訛りの強い喋り方、すごく怖い。]
[既に口元のそれは会話により消えている。]
見送る。 [否] 送る
[音をリピート。胸中の容にならないものが型をとる。残りのもの>>46全てが、この型ではなかったが]
……――――
[沈黙は一拍、二拍、そして三拍目の合間。]
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