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[空彦の話を聞いても、鈴の音に耳を傾けても、
狐も、鬼も、理解はできず。
する必要がある対象とも思えなかった。]
あの先生も吉野さんも、あたしは止められない…。
神様を憎むこと、
吉野さんを人身御供にすることに対して
正しいとか間違ってるとか……言えない。
出来ることは、二人を想って祈るだけ……。
[夢をみよう。
なぜかその一文が鮮明に浮かんだ。]
[石段を駆け上がって着いたところで身体を半分に折って息をする。
普段やらないことをするからなんだが、顔を上げれば人の輪があった。]
――――――……。
[先ほどの赤い木刀が降り下ろされようとしている。
見知った先生の手にも何かがあるように見えた。
白いワンピースの少女が飛び込んでいくようにも見えた。]
――――――…。
もう、理由なんてめんどくさい……。
隠したらダメなんてことは、幼稚園でも習うことじゃん…。
理由があればいいなんておかしいよ…。
[その騒ぎがどうなるか分からないが息を整えてゆっくり*近付いていく。*]
[また、『神隠し』にあった人が増えたようだ。
どこからともなく、そんな気配がした。
暫くふらふらとあちこちを見て周って、最後に神社へとたどり着く]
ま、神隠しってーのなら、ここにこないと始まらないんだろうけどな…
[神社の方からは、何かしら不穏な空気がする]
…どうしたもんかねぇ。
[気配に気おされたか、入り口で*戸惑っている*]
騒がしいですね。
[神社入口に佇むゾウサクに後ろから声をかけ、先に進む]
ねえ、バク君は「寂しい」って思ったことある?
[見上げて、少年の姿を*探した*]
うむ。
そうだったら、残された者が困るという事もないだろうな。
全て弾けて元に戻るのなら良いのだが。
[聞こえるか、というペケレに頷き]
ああ。私には、少々曖昧に聞こえるが……
バク、か。
[その呼び名を呟く。神社に行こうというのに、そうだな、と応え]
[神社の入口まで来ると、ゾウサクに一礼し]
先程ぶり、ですね。
[騒がしさが伝わってくる奥の方を見やる。それから、神社の中へ*向かったか*]
[躊躇いは無かった。
飛び込んできたプレーチェに気づくと小刀から手を離し、体をひねり、彼女の後ろに回ると、背中を突き飛ばした]
怪我をする。あなたに何かがあったら、教授は悲しむ。
それに…私は、プレーチェを消す覚悟なんて出来ていない。
[ヨシアキの木刀は避けきれず、右肩をしたたか打ち付けられる]
ごめんなさい…私は先生じゃない。
私は神の使いでもなんでもない、神様の言うとおりとも思わないし、神が滅びればいいなんて思わない。ただ、空の上から見ていればいい。
細い路地とつぎはぎだらけの町。
木なんて公園か神社にしかない。どんどん壊されて新しい物が作られる場所で育った…神様なんて見えない。聞こえない。
わがままで酷くずるくて身勝手な、どこにでも居る当たり前の人間。
私が今こうしているのも、誰かの為なんかじゃない。
そうしたいと思ったからそうしているだけ。
話し合いで、譲り合える、ことならばそうしていた。
[本人が選ぼうとしてたのはほとんど脅しだったが]
だけど、話し合いで済まないなら……痛みを感じなければ分からないなら、それを使うまで。
っ!
[背中を突き飛ばされて、前のめりに思い切り転んだ]
[膝を軽く擦って、痛みに顔を顰める]
……、老先生。
[教授の笑みが脳裏に過ぎる。
あの人は優しいから、きっと悲しむだろう。でも、]
私のこの体は、いつか消えなきゃいけないから。
……ううん、消えるんじゃない。戻るの。
“あやかし”がただの蛍に戻るだけ。
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