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[男はキャンバスに色を乗せていった。
幾つも幾つも、いつものように極彩色に。
これもいつものように、目のない笑った人間を、白の絵の具で中央に描き――]
[――黒色で、塗り潰した]
[人型の内を埋めるわけでもなく。筆記具でそのの書き損じを葬るように、ぐしゃぐしゃと]
…… もう、 好きにはさせない。
消して、……
消えて、やる。
[その残骸たる黒を睨み付けるように見据え、呟いた。筆を水入れに付け、そのまま手を離す。筆は一度僅かに沈んでから其処に浮いた。筆先から滲み出す黒が、水の色彩を呑み込んでいき]
[そのキャンバスとイーゼルを中央に配置してから、男は窓際に寄った。珍しくカーテンを開き放していた、その窓をがらりといっぱいに開く。
吹き込んできたそよ風が、壁に貼られた絵の端をひらひらと揺らした。
それから、男は修理した時計を手に取った。ベッドのサイドテーブルに丁寧に畳んだハンカチと並べてそれを置き、一枚のメモを書いて脇に添えた]
[そのメモには、
――「誰か」に渡して下さい――
そう一文だけが書かれていて]
[その後、男は部屋を後にした]
[かつり。ぺたり。
松葉杖を伴う足音を響かせながら、男は廊下を歩いていった。そして、廊下の端、周囲に部屋もない行き止まりで、人通りの少ない場所で足を止め]
……、
[窓際に立ち、硝子の向こうに広がる空を、橙が混じりつつある、鮮やかな、綺麗な空を、*眺めた*]
午後:五階廊下
[ぼんやりとした僅かな時間を屋上で過ごした後、午後は入院患者の治療処置を行った。
前回よりも目に見えて回復している患者もいれば、治療自体が無意味なレベルまで進行している患者も存在する。常であればその結果に一喜一憂し、励ましの言葉を送るところであったけれど。
言葉はただ、機械的に音と成していくだけだった。
その後、5階のナースセンターへ足を運び、看護師へ担当患者の指示を行った。
散々思案した挙句、やはり柏木に声を掛けていこうと、531号室へ向かう途中、窓辺にて彼の姿を捉えた。]
[青と白と橙のグラデーション。柏木の描く絵よりも明度が暗いかもしれないけれど、何処か似ているその風景。その中心に佇む柏木の姿は翳りを帯びて、浮世離れした荘厳さが滲んでいる。
掛ける言葉を見失い、離れた位置から動けなかった**]
ー回想ー
何かを探し出すこと。
それは、楽しいこと。
数学と音楽...音楽の中にだって、数学は隠れているから。
そういうのを考えてみるのもいいと思うよ。
誰だってやれば、まだ世界で誰も見つけていないことも見つけられる。
それも、とってもすごいことでもあるんだと思うんだ。
夜・303号室
...思っていたよりも色々話したな。
まぁ、そんなに普段話さないからなのかもしれないけど。
...楽しかった。
明日はお父さんが来るんだろ...いいな...。
[そんなことを言いつつ寝る準備を済ませていき。
夕食を食べて程なく眠ってしまった]
[よその病棟に入って怒られないのだろうか、と思ったが、お婆さんは師長や医師たちよりもずっと年上なのだから、怒られないのかもしれない、と思った。]
えへへ。お誕生日に、もらったんです。
おばあちゃんのお人形さんも、かわいい。
[羊を口元に掲げて、笑う。
それから、人形に羊の鼻先を近づけて]
「こんにちは。おなまえはなんていうの?」
おやまァ、それならさぞかし大事なお人形さんだァ
その子もお嬢ちゃんのこと大分好きなんだろうねェ
[誕生日にもらったと紹介される羊は掲げられ、姿勢が伸び、心なしか胸を張っているかのようだった。老婆の腕に抱かれた人形は、その鼻先に自身の鼻を触れ合わせるように――そう、老婆の腕が動いた。セルロイドの顔面に描かれた瞳に白がいっぱいに映る。]
ンフフ、この子ァね。
ずぅいぶん長く眠ってたから自分の名前も忘れっちまってェ……
御船での旅はネェ 昔ァそれはそれは長かったから……笑わないでやっておくれよぅ
もしかしたァら、
羊さんの名前をきけりゃあ思い出すかも
[くしゃくしゃと顔を縮めるようにしながら笑い、言葉にするのは相手の見た目の年齢よりも聊か下の子を相手にするような人形遊び。]
朝・303号室
...虹か。
[翌朝、起きてカーテンを開けたところ、窓からは虹が見えていた。
その色は...には7色には見えるが。
それは日本人が色に対する造形が民族的に深いからなのだろうか。
5色だったり、2色と言われているところもあるのだから。
でも、それを7色と思えることを。
ありがたいと感じた。]
[ふと、老婆は談話室の窓から外を見た。そこにはもう、虹の欠片さえもない青空が広がるばかりだった。]
奈緒ちゃんやァ、小春ちゃんも、
見たのかねェ……
そうそ、お嬢ちゃん、小春ちゃんってェ知ってるかい。
お嬢ちゃんよりかァちょいと御嬢さんだけどね、
その子ァ病院で退屈してそうなのさ
[皺の中にある黒目はゆっくり戻り、羊と、それから持ち主の女の子を見る。彼女が小春のことを知っているならばそれ以上言及はせずににこりと笑うくらいなのだが、もし、知らなかったとしたら。お友達誘っていってみるといいよ などと唇をすぼませながら言った。]
3階・談話室
あ、ボタンさん。
[相変わらず今日も暇だったので談話室に来てみると、ボタンさんと、千夏乃がいた。
ボタンさんとは今までも何度も話したこともあってか、少し嬉しそうである。]
[それは田中老人特有のお節介でしかなかった。
小春が同年代ほどの女学生が見舞いに訪れて喜ぶか――というのは、まだ数十分しか過ごしていない彼女には計り知れるところではなく。]
御嬢さんよりかぁ、御嬢さん ……ありゃァ何か違う……?
お姉さんよりか御嬢さん これでもなくて、えェとぅ――
あらァ。孝治くんじゃないの。
こんにちは。……あら、もしかして。二人はお友達?
[現れた後藤と、羊連れた女の子との間で視線は泳ぐ。
彼と話したことは幾度もあった。彼の話ぶりにも、また、彼の読む本にも、頭が良いんだねェと孫に向けるような視線と共に褒め言葉を向けることも。]
[5階を抜け、ぺたりぺたりと靴音を鳴らしながら検査に向かった。眼鏡を外して台の上に横になり、目を閉じた。
一つ検査を終え、次の部屋へ向かう。
途中技師の都合や、再検査などもあり、全ての検査が終わったのは、予定の時刻を越えた、夕食寸前の時間だった]
[己が見えるところまで来た結城の存在に、すぐに気が付く事はなく。僅かにふら付きながらも、男は松葉杖を持った片手で窓を開け放った。夕方の冷えた風が吹き込み、帽子から漏れた髪を揺らす]
……
[落ちるような青。焼けるような橙。散りばめられた白。重なって浮かぶのは、淡い緑に、銀混じりの紫に。奈落のような、暗い藍に]
……、
[あの時とは違う、と思った。
此処に入院する要因が作られた、時。
あの日は、空は暗く曇っていた。
冷たい雨が降っていた]
僕がそう思われているなら、ね。
5階の...無菌室の人かな?
会ったことはまだないな。でも、僕達とは同年代なんですね。知らなかった。
...僕は時間があるので大丈夫ですけど...千夏乃はお父さんが来るのだったよね、今日。
時間とかが大丈夫ならいいけど。
ところで、最近は体調大丈夫ですか?
あ...この娘、スカート変えました?
前は黒かったっけ...?
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