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[男の背中にかける言葉なんか思い浮かばなかったから。
困って困って、困った顔で相棒を振り返ったら]
……。
[あんまり見ない不満そうな顔がねるねるねるねをすすめてきた]
食べる。
あと……ごめんね?
[長靴てくてく近寄って、相棒を見上げた]
[しかし、あれ以来ゼンジとクルミの姿を
見る事はなかった。
客としてではなく、通りで会うことさえない。
他の客が相変わらず色々な噂話をしてきたが
モミジはそれらを出来るだけ聞き流した]
不思議ですよね……って
はい、鯖の生クリーム丼できましたよ。どうぞ。
[彼女が弁当と代金のやり取りをしている裏で
優しく勇気ある少女と飄々としているが芯の強い会社員、
そして失われたひとを思い続ける骨董屋の主人が
「だいじなもの」のやり取りをしていたなど
知る由もない]
[噂話を聞きながら思う。
一応は丸く収まったように見えても
実際はそうじゃないんじゃないかと。
客の波が引いたところで
そんな思考を巡らせていると奥から声がかかる]
「そろそろ配達行ってもらっていいか?」
分かりましたー。
[二つ返事で自転車に乗りこみ、
配達先の駐在所へと*向かった*]
― 28日 ―
[夜が明けた翌日。
夢美堂から、店主の姿は忽然と消えていた。
同日朝、派出所のポストには、
差出人不明の紙が投げ込まれていた。
それは、行方不明の2人がいる場所を仄めかすもの。
もっとも、それが発見される以前に、
彼らは解放されていたわけだが。]
[夢美堂では、変わらず白猫が日向で丸くなり、
タケさんがこっくりと居眠りをしている。
消えたのは、店主と、人形と、
届けられた写真だけ。
店主の失踪は、少しの間噂になるだろう。
でも、結局それっきりで。
ただ。時折、夢美堂の軒先に、
花束が届けられた…かもしれない**]
―― 駐在所 ――
すみませーん。
これ、そこの空き地で拾ったんですけど。
[[詰め替え用インク]を手に扉を開く。
中に居たのはいつもの巡査]
あ、聞きましたよ。
娘さんでしたっけ? おめでとうございます。
[>>118相棒を見上げていると、静かに静かに言葉が振ってきた。
まるで無垢な、真っ白な言葉は、額に当たって溶けていって、少女はぱちりと瞬きする。
宙でゆらりと揺れる相棒の手がやがて髪に触れるときには、相棒の顔は手に隠れて見えなかったけれど。
にこり、と。笑った**]
[万年筆の詰め替え用インクを乗せた手のひらを見ている]
そうだ、俺原稿取りに行かないと。
[フユキ先生の次回作にご期待下さい]
―― 駐在所 ――
お届け有難うございます、グリタさん。
でも空き地は立ち入り禁止ですよ。
[ノギ巡査、大人にも子供にも分け隔てない男。]
ェヘヘ、そうなんですよ。
娘です。
生まれてすぐに此方へ戻ったんですが、
とりあえず娘のファーストキスは
奪ってきたので強く生きていけます。
ごまかされませんよ。
グリタさん、
ちょっとそこに座りましょうか。
[ノギ巡査、拾得物届出の書類を出しながら
説教モードの笑顔でグリタの腕を掴んだ*。]
[のんびり話をしていると、大家がそう言えば、と何か思いついた風]
……どーしました?
[こて、と首を傾げて問えば、編集さんが来る頃じゃないのかね、と問われ。
……表情が一瞬、へにゃ、と崩れた]
ああ、まあ、そーですが。
……まあ、気分転換も大事、ってことで、ちょっと散歩してきますわ。
[が、それも一瞬、すぐにけらりと笑って歩き出す。
紫煙がふわり、風に乗って、漂った**]
―― ある日の編集部 ――
フユキ先生、次回作はこういうのどうでしょう?
猫耳メガネの美人が、壷の中から6人出てくるんです。
それぞれに得手不得手があって、あ、ちょっと待って下さい、電話切らないでー!
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