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運命なんかに命はかけない。
俺は、自分が選んだ未来に命をかけるから。
そうだな、もし全部思い出して。
全ての色を思い出したなら。
黒になるんじゃないかな。
全てを重ねたら、黒になるもの。
ライデン、起きろ。
お前みたいに大きな奴が、廊下で寝てたらビビるだろ。
寝るなら、部屋に帰って寝ろ。
[ライデンの前に座り込んで、おでこ辺りをつついてみる。それでも起きないから、胸元から一本のマジックを取り出して]
起きないと、額に内って書くぞ。
[微妙に脅してみる。]
かんせいしつ?
[奥まったその一室は扉が開く気配がない。
プレートを見上げていたが、一歩後ずさってすとんと腰を下ろした。
病院の待合室にあるような椅子の上、やがてまどろみ丸くなる。
上着の下に半ば隠れて、穏やかな寝息を*立て始めた*]
箱入り娘 プレーチェは、ここまで読んだつもりになった。[栞]
[幾許かの後――
亡霊の姿は、黒い上着に包まって眠るプレーチェの傍に。
長椅子の端へ座る影は、彼女の目元へてのひらを乗せる。
蒼褪めてつめたい死人の手は、光も遮らないはずだった。
然し自らの僅かな眠りを分けるかの如く…その目元へ。]
…開かずの扉です。 今はまだ…
[管制室の扉。先刻、ペケレが操作していたタッチパネルは、
プレーチェが触れても鈍く光るだけでやはり沈黙していた。
墨色に透ける亡霊は、その扉を見詰め…とろり*瞬き居て*]
うむ、すまない。
次からは部屋に戻って寝るように心がけよう。
[少し身体を起こして一旦座り直しつつ。バクの問いかけには、やや考えるような間を置いて]
そうだな、……
何か見たような気もするが……
ただの気のせいかもしれない。
だが、……いや。
[口元を押さえ、一度、横に首を振り]
恐らく何も見なかった、のだろう。
……君はまだ、夢は喰われたままかね?
そうか、見なかったのか。
[ぺたり、ライデンの前に座り込んで]
俺の夢は、まだ見つからない。
ただ、夢の登場人物は、見つかった気がする。
…そんなところで眠らんでくれ、クランケ。
頭を打った後遺症で意識障害が出たかと心配になったぞ?
[ようやく目覚めたライデンに苦笑い。]
夢というのはね、覚えていない方が正常なんだ。
脳内の整理整頓をするために、睡眠中に頭の中で広げた記憶の断片。
それが夢だからね。
必要なものをきちんと棚に仕舞ったら、残りかすは獏がきちんと掃除して、すっきり目覚める。
その作業の途中で目が覚めるから、頭の中がちらかりっぱなしのまま。
それが夢だと学術論文にはあるね。
[ふ、と思い]
忘れているのは、夢の途中で散らかったものをちゃんと片付けられてないからかな?
[物理とわかたれた、蒼の世界。
カメラのファインダーに赤が映された頃、
墓碑の間にゆらめきだした影、
遠巻きに、別の薄墨色のが、迎える態で現れ。
さらに向こう、
ひとつの墓碑の前に佇む、淡く暖かな色の影もあった*]
何を聞こうとしたのかは知りませんが、
[カナメのたしなめるような声が聞こえる]
くれぐれも、気付かれないように。
[ああ、わかっている。ほとんど口内で呟いた言葉は、カナメには伝わっただろうか]
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