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>>46
え!?
[スイはちかの剣幕に気圧される。
一生懸命に自分の分の丸を描いてくれている姿を見て、なんとも言えない表情になり、ぽろぽろと泣き始めた]
あ、あ、ありがとう。ちか。
[出来上がった短冊をまぶしそうに見つめた]
[スイはちかに抱きつかれ、びくっと震えた]
だ、だだだだだ、だいじょうぶ。
嬉しくて、涙が出ちゃっただけなんだ。
[体は小刻みに震えている。
何度も深呼吸をして、ギンを見た。
頷いて、手が触れるか触れない程度の慎重な手つきで、ゆっくりとちかを抱きしめる]
ちか、あったかいね。
[すんと*鼻を鳴らした*]
-ギン-
[からりと開いたふすまに転がり込むと、アンにぎゅうっと抱きしめられた。
アンの強ばった表情を心配しているのか締め付けられすぎて苦しいのか、にゃあにゃあと鳴く。
やがて腕の力がゆるむと、アンの頬に頭をすり寄せてごろごろと喉を鳴らす。
抱っこされたまま一緒に居間に行き。
もりもりとご飯を食べるアンの膝の上で丸くなった]
-スイ-
[>>55 撫でられる薄い背中も、ちかの背に回された指先もかすかに震えている。
こくこくと頷いて、笑おうとするがうまく行かない]
うん。嬉しいときも、涙出るみたいだね。
あったかい……。
[袖で涙を拭こうとして──シャツはミナツに渡したままなのに気が付いた。
あばらの浮いた白く細い上半身。
真っ赤になってちかから離れる]
ご、ごごめん!
おいら、着替えてくる。
[別の意味で涙目になりながら、自分の部屋に*走っていった*]
ありがとうとーさん。
夢みたいに幸せでどきどきする。
でも、ちょっと怖いんだ。
大好きな人を食べたりしないかな。触れた人を傷付けたりしないかな。
[白い手を見ながらぽつり*]
-自室・スイ-
[ぴしゃりと音を立ててふすまを閉めて、そのままふすまに寄りかかり、ずるずると座り込み、膝を抱えて丸くなった。がたがたと震えている]
怖い。
あんなに小さくて細くてやわらかいから──おいらまた、壊しちゃうかと思った。
[膝を抱える手の関節は力を込めすぎて白っぽくなっているが、痛みを感じている様子は無い]
ちかはみんなが居なくなって、不安そうだった。
おいらが、ちかを傷つける前に、みんなのところに行った方が幸せなのかな。
……ちかが居なくなったら、じーちゃんもとーさんもかーさんもにーさんたちも、ねーさんも悲しむのかな。でも、みんな行くから寂しくないよね?
そうだよね……?
[誰かに聞かれないようになどという用心はなく、ぽろぽろと涙をこぼしながら*自分に言い聞かせていた*]
[涙の引いた顔を上げて、自分の手のひらをじっと見下ろしている]
おいらが、この紙幣を渡すことで、みんなが次の生で幸せになれるんだよね。
新しい自分かぁ。先にいけるのかな?
送ってからじゃなくていいのかな………。
とーさんも怖いんだ。……ほっとした。
-自室・スイ-
[どれくらい泣いていただろうか、のろのろと部屋の隅においてあった白いシャツを着て、居間に向かう]
こんばんはー……じゃないや。
ええと、おはようじゃなくておそようじゃなくて……。
……ただいま?
[はれぼったいまぶたのまま、釈然としない表情]
-スイ-
[>>86 照れたように笑う]
わぁ今日のご飯は手巻き寿司なんだね。
澄まし汁美味しそうだね。いただきまーす。
[澄まし汁を一口飲んでにこりと笑う。
てきぱきと鉄火巻きやらエビ巻きやらを作り、ベックやアンやちかの前のさらに乗せていく]
ちか食べないの?
え? おいら……顔いじけてる?
[びっくりした顔で目をこしこしと擦った。
自覚していなかったようだ]
え。うん。
おいら、いくらでもちかに料理教えるよ。
……あ。でも……。
[しばし言い淀んだみ、スイはポケットの後ろから、皺の着いた紙幣を取り出して、ちかに手渡した]
ちかさ、みんなが居なくなって寂しそうだから。
これ持ってミツキちゃんとか、パオリンのところに行った方が幸せかなって思ったんだけど。
[まるで準備してきたせりふのように一気に言って、間の悪さに気づいたようだった。
慌てて話題を逸らす]
目、赤いかな……。少し泣いてたから。
あ、え、と、あの……悲しくて泣いてたとかじゃないよ!
[全然ごまかせていない]
そうか。ちかは庄屋さんにお婿さんを紹介してもらうのか。
[ここに居ては、そんな未来など来ないことを告げるべきなのか躊躇った。
ちかが"お婿さん"と告げたときに幸せな笑顔ではないことに気づいているのかどうか]
うん。嬉しくて泣いたんだよ。
[全然嬉しくなさそうな笑顔で答えた]
あ、じーちゃん。
おいら、手巻き作っておいたからたくさん食べてね。
ねーちゃん。
婿って……おいら、ねーちゃんやちかが嫁に行かないと安心して婿になんか行けないよ。
スグルにーちゃんの腕力にかなうかーさんみたいな強い人が居るかも心配だし。
[軽い口調で話しながらも表情は曇っている]
あ!
ちか全然悪くないよ!!!!
悪いのおいらだから……うん。おいらだ。
ごめんねちか。おいらが変なこと言ったから。
[ゆっくりと深呼吸をした]
おいらね。ちかがお嫁に行きたくないなら、ずっと家に居ればいいよ。
行かなきゃ行けなくても、どこかにいっても、いつでも帰っておいで。
おいら。待ってるから。
家族思いって言うか……のこしたものが、たくさんあるから。
[後半は小さくなっていく]
にーちゃんは、やり残したことがあるの?
おいらに出来ることってある?
そうだよね。幸せになれる可能性だね。
先が見えなくて、不安だね。
ちかはまだここに居たいみたいだし、誰に紙幣を贈ろうかな……。
あえ、と。
ちかはわがままじゃないよ!
おいらも、おいらも……家族欲しかったんだ。ずっと一緒に居られる人たちが。
でも、ええと……あの……。
[上手く言葉がでない。
酷くもどかしそうに続ける]
大人になると、家を出るよね。
でも、家族だからいつでも帰ってこれるんだ。
おいら、そういう家になりたかったんだ。
おいらね、家を出ても離れても、ここのみんなとずっと家族だと思うんだ。
>>111
家族?
……そうだね。家族いると幸せだよね。
[泣きそうな顔で繰り返した]
>>109
そんなこと無いよ。おいらにとって、今、こんな風にみんなといることはすごいすごい我侭なんだよ!
そうだね。
ヌイは寂しそう……待ち人来たらずだものね。
スグル兄さんは家族がいて見つかったみたいだし、兄さんとヌイに送ろうかなって思う。
[ふぅとため息をついた]
[>>120 スグルの言葉に、泣きそうな笑顔になる]
そうかな。おいら。そんな家になれてるかな。
だったら、すごくすごくすごく……嬉しいな。
おいら、この家で、みんなのこと待ってるね。
[穏やかな表情でちかの頭を撫でた]
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