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[やがて明るみに出る一族の不正が
友人の情深さからきたものかどうか、
――――今となっては知る由もない。
内偵官から聴取り調査の要請があった夜、
死刑執行人はためらわず己の胸を突いた。]
― 廃教会 ―
[死肉を食らう男の腕をねじり上げ、手荒と言われたことには笑みを返すが、目も口も布や轡に覆われているので彼には見えないかもしれず、
ただ、ひょろながい、のだけれども、鍛えられた体躯。掴む腕、指の力は、その身体をいともたやすく、ボロのスーツの紳士を地べたへ這い蹲らせる。]
ヒヒヒヒ、フフフフ、
ヒャハハハハハハ
[彼の抵抗が人間の急所たる場所に及ばない限り、その大きな手は、司祭の遺体の横で、邪淫の慰みを始めるだろう。彼自身を慰めながら、長い指を容赦なく、もうきっと何日も糞の出ていない場所へつきたたて。]
別に、その肉を屠ったことなど、どうでもいいよ。食いたいなら、食えばいい。
[喘ぐはじめるならば、悪戯にその口に、また死肉を押し込むのも、また遊びの一つ。]
[処刑は酸鼻をきわめた。
台へと据えられる首を、ひとつずつ落とす。
罪の首魁――当主夫妻へ見せつけるように、
血の薄い者から読み上げられる順に従って。
未だ癒えぬ傷は、包帯ごと分厚い制服の下。]
[囚われなかった長子の名は…呼ばれない。
血河が観衆の足元を縫って流れ出すころ、
やがて呼ばれるのは、友人の下の息子の名。
捕吏の情けか、緩んだ縄から逃れ
処刑台から駆け出そうとする彼を
表情動かぬ処刑人の斧が、
かがり火はあかあかとつめたく燃えて、]
安らかに
[引き上げられた安らかではない眠りの表情の石女にかけた白々しい声
親しき死臭が漂う]
鳥はいませんが、何とか致しましょう。
死の儀を取り仕切り、器は大地に、魂を空に還すは、私の役目。
全ての死は私の手で――
[それは絶望しかないこの地で何かを成そうとする男の執着が表れる矛盾に満ちた思考]
魔物。
[語尾を上げての一言。それは不快の表れ]
訳の分からないモノに、死を支配されてなるものか。
死の儀を取り仕切るのは我
[人の死の主導権を得たい欲求を表情露わにする]
死の主導権を奪うモノは、蜘蛛の糸による粛清で、導きましょうか
[閉塞感が狂気の歯車を回す]
その先ごとに、ひとつずつ。
[調査予告直後に起こった、自殺未遂。
一族の不正疑惑を確信へ決定付けた一件。]
思いつく限り、
辱めて、
[告発を経て後かの一族が連座となり
公開処刑場へと引き据えられたとき、
斧を携え佇んでいたのは――この男。]
最期は肉を。
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