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[桟橋の先で行われる非道。
止め立てする者はいないか、あるいは間に合わない。
其れを詰る生贄の声が響くのはしばらく先のことだが、
…日ごとに薪を配る男は、恥じる様子もなく村を歩く。]
罪は穢れ、なのかね…
[今は領主の代わった西の街、かつてただひとり
公開処刑の折に 覆面をしない死刑執行人がいた。
目開きの覆面は、今も逆さに折り返された*ままで*]
[聞き慣れた金属とまた音程の違う似たそれ
気安い言葉に 向ける細い目は更に細められてから
こくりと 重い喉鳴りは想いを落とす]
「も」、?
あぁ、確かに。
「も」ですね…
甘いもの ですか。
[煮えたぎるように?
神経質そうな仕草に微かな優雅を盗み見て
眩し懐かしむように じっと見遣った]
……──夜回りの服を剥ぎ。
夜警の振りをして。
家畜を追う為の犬を盗み食ったのが、最後の飯か……。
[毛皮の襟元に顎を埋め、この毛皮の獣を食べた時の事を思い出す。
まだ新しい、惨めな記憶。
今も、この立派な帽子の主ならば多少の路銀、金は無くとも食糧か酒を持ち歩いて居るやもとの算段で、海に入った。]
あれは……とても。
そう、だ。かつて無く──美味い、肉……だった。
[空腹に込み上げる嘔吐感。口元を抑えた所で、眩暈で目の前がくらくなるのを感じた*。]
さて、あれが何に、
……どのように召されるのか。
[同意はあれど、その意が同じかは知れず。
ひび割れた眼鏡の奥の瞳には、陶酔の名残の揺らぎがある]
ああ、案外甘いと私は思ったよ。
……女の血肉というのはね。
[見遣る視線に、返す声音はかすれるような笑み交じり]
[高い位置の眉を 強く顰める
眼鏡の奥のいろに そのままの顔を向けて
黒い手袋着けた手を ひらと振った]
…女、に、限らないでしょう。
いのち、です。
[じゃり と硬質な音のあと
声に乗せるのは、露な嫌悪の色。]
[長い上着の裾揺らし硬い砂を踏んで]
生きるため喰らういのちは。
[男へと背を向け歩き出した。
手首に嵌る鉄の輪には、
西の街の地下牢のしるしと数字が掠れ並ぶ*]
……どうやら君は、
空腹ゆえにアレを見ているわけでは、
なかったかな。
[擦れた笑みは喉に張り付くようなそれ。嫌悪の色に、くつりと鳴った]
それもまた、神聖なる儀式だったのだよ。
しかし、女に限らないというのであれば――…、
[硬質な、己の引き摺るものとは異なる音、ちらと一度その音の行方を盗み見る]
役職希望ー!
忘れてた、忘れてた。やばかった。
まぁ、おまかせだったから、大丈夫と思うけど。
ああ、焦った。そして明日から頑張ります!
血肉を己が物とすることで、
その者の力をも己に取り込む。
私は実戦を旨とする探求者であってね。
[そして男は呪いに触れたが、一向に懲りてなどいない。背を向ける赤毛の青年をよそに檻へとまなざしを戻す]
……食いカスが出るのなら、
ご相伴いただくに不都合はないだろう。
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