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ひとつ曲がり角〜 ひとつ間違えて〜
[軽快な歌声を車内に響かせながら、
握るハンドルを右に切る。
カッチ カッチ
方向指示器の音がリズムを奏でる。]
迷い道く〜ねくね〜
はー、やっと着いた。
誰よ、「子どもでも解る地図だから」って書いたの。
子どもの描いた地図以下じゃないのよ…。
[エアコンを効かせた車内から降りた手には、
よれた紙切れが一枚。]
ところで。
この肝心な盆踊り会場って、一体どこよ。
[そして途方にくれた眼差しが一対。]
こんな田舎――
[立ちつくす。
安い化粧道具、安い衣装、希望なんか入っちゃいない大きなトランクが足下に倒れた]
……。
なんていうか。
むしろよくこんな所の営業とれたというか。
[つばの広い帽子を被り直す。
文句を言う相手は、ここには来ない]
[遠くに一台の車。涼しげに走る姿が恨めしい]
あと何キロだ。
[印刷した地図の指の部分が滲む。
口の中で悪態をついて汗を拭った]
[長閑な田舎の一本道。
途中、悪態を吐く勤労学生(なのかは定かではない)を
過ごしてきたことなど知りはしない。]
あっつー…
[手入れが施された指先は、懐から扇子をつまみ出し涼を扇ぐ。
足許爪先に施された金魚の絵が、
ぱしゃんと音を立てて跳ねた。]
[停留所。バスが走り去った後に立つ男が一人。
辺りを見渡して呟く]
…えれぇ田舎だな。
[手には、地図と旅館への紹介状。
小さな旅館だとは聞いていたが、予想以上になりそうだ。
ひとまず、荷物を持って地図を見ながら歩き出す]
[暫く行くと、遠くに神社らしき建物と林が見え、道沿いに張り巡らされた提灯が幾つも下がっているのが目に入って立ち止まる。
夏祭りか。
そういや盆だ。
胸内で呟いた後、地図に目を戻し再び歩き出した]
……。
[唇の端が引きつる]
バス停……
[ここからでは見えないバス停を振り返る。
戻る道のりを考えただけで、目眩がした]
戻ったって、仕事があるわけじゃないしね。
[少々、語尾はきつく。
諦めたように地面に倒れた荷物を拾う]
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