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世界を股にかけてるんだ タケシおじちゃん
すごいなあ
[何事もなかったように渡した地球儀をまわす
ズイハラ氏の仕草に、少年はそう合点する――]
…全部 しらない
[「剛速球」も「T社」も「アンテナ」も全部。]
だまされたなら
――おじちゃんも イケニエ
[――と、耳の奥へノイズ音――]
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[ 赤い湖面を視ている 赤い湖面を
さざなみ 辿る 同心円状の…波紋?]
[ 湖水を赤く湛える
祟り神を赤く讃える
水面から突き出た異相、枯れ木の如き]
[――水音をかき消す雑音 遠のく――]
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[ …… ]
駐在さん 御湯治場にいっちゃった
[ぽつり
呟いた幽霊がふと集会所の方角を見遣る。
更け行く夜空には「教誨の火」が目映い。
幽霊は上がる火の手を見詰め…*掻き消えた*]
御湯治場?
[その前に聞こえたやけに不穏な言葉に顔を引きつらせつつ]
あ、待て! ギンスイ!
[少年の様子を思い出し、視線の先を追う。赤い炎が白々と、黒い空を照らしていた]
……イケニエか、冗談じゃない。
[ようやく立ち上がって、尻の泥をはたく**]
[手を、伸ばす。眩い光のようで居て。
遥か彼方明るい色。ひさかたの。]
*[帽子のつばに手をかけ、空を見上げる。]*
[幽霊は「教誨の火」に燃やされる自分を――
否、燃やす人を―ヘイケ女史の横顔を見ている]
…
イケニエを燃やす火で
俺を焼いてるこのヒトは、
どうして、イケニエにするための子を産んだ
俺のかあさんに 似てるんだろう
[何者かに切り離された魂が呟く。
捧げられしは不完全な*イケニエ*]
[キチ...チキチキチキ......]
[気付けば、胸の痛みは消えていた。]
[ノギの身体は膝半ばまで御湯治場に浸かっている。]
[――…一度だけ…手を振る姿…格子窓から…――]
[――…その時自分はどんな表情を浮かべて、どんな行動をとっただろう…――]
[因習に囚われぬ部外者だった乃木は]
[―――…‥ぃ‥――ぁ――は…‥‥られ‥――…し、‥――の…‥仔‥……―――]
[赤い海から還って来る者は永遠の命を捥いで還って来る。半端な半屍人から人間から完全に変貌を遂げた屍人へと。くるくる廻る幾らも廻る。何度も何度も何度も何度もやり直してやり直してやり直してやり直して誰も憶えてなんか居ない。]
ああ、…‥…だな…。
[時間も空間も捩れて攀じれて。壊れ果ててはいない。唯、大いなる何かに支配されているだけ。]
[赤い海によって断絶された内側の異界は何度も何度も何度も何度も繰り返す。罪が償われるまで。罪が贖われるまで。地球儀のように廻り廻り続ける。]
[赤い川を渡る橋の上に、ラジオが落ちていた]
……。
[流れっぱなしのラジオ。ノイズがひどいが聞けないこともない。放送をだだ漏らしながら御湯治場を探す]
>tuning... DJ botann.
暗い放送室台本らしきものが机に広げられマイクがひとつ目線はラジオから流れる言葉と同じ文字を追っている傷を負った神は地に堕ちその血は赤き川となり人の仔らは神に与えるための体を作ろうと女にページをめくる指が神の名を隠している四つの辻の中心に
>tuning... end.
[驚きで、視界が戻ってしまう。だってそこに、自分の会社の名前が見えたから]
ああ! 肝心な所が!
[ラジオを両手でつかんで振り回す。音が遠くなるだけだ]
ぐぬぬ。こんな宗教じみた放送、じっと聞いてたらかぶれちまう。
[それでもラジオは捨てずに。
ちらりと教誨所を振り返る]
あの『手』の持ち主……いったい何をしようとしてたんだ。
[赤い川をさかのぼる。
遠目で下る向きに進むヘイケの姿が見えた]
[道を、あがる。
鉱山の跡地は封鎖された跡はあれど]
通り放題だな。
おーい、ノギさーん!
[朽ちたバリケードを踏みつけて、とりあえず、叫ぶ。何のために叫ぶのか気づかぬままに。
かすかな銃声が耳に届いた。振り返った視界にノイズが走る**]
>tuning... ... ...
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