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[ぱりん。
白い貝殻が、砕けた]
ロッカ!
[駆け寄る。抱き留めるには間に合うはずもないけれど]
おい、しっかりしろ。
[ひた、と頬を叩いても反応が無いのは、ケンの時の繰り返しのようで]
― 診療所 ―
[待合室のソファで寝ていると、ドウゼンにぴしゃりと額を叩かれた]
……大丈夫だ、馬鹿は風邪ひかないっていうし。
[もそもそ頭を掻く。
肩をすくめるドウゼンに、苦笑を返した]
此処にこうしてあり続けることに意味があり。
[右の掌を見て]
何かが足りないから雷神さまが怒っている。
[左の掌を見る]
両方同時に成り立つんかね、ロッカ。
[答える少女は、もう居ない]
[待合室に姿を現したヘイケに、小さく右手を挙げて挨拶して。
次いで診療所を訪れたホズミに左の手を挙げる。
ワカバの顛末を聞いて言葉を失うホズミに、自分も押し黙った]
[ヘイケの言葉に、瞬きして。
もう一度、苦笑して見せた]
人と海と柿か。なるほど。
[ホズミの言葉の問いかけるような言葉に、眼鏡を拭きながら答える]
しかし人が足りないっていうならこの有様は……ん? なんか言ったか?
[ホズミの方から、ホズミのものではない、声]
イタコ!? そんな馬鹿な!?
[しっぽをぶんぶかしているウミに、触れて良いもんか逃げるべきかやや近寄りつつ]
うわわわっ 猫が女子更衣室覗いた!? じゃなくて喋ってる!
[ふしゃーっと全身の毛を逆立てたウミに、びしりと指を指した]
というか、なんだかイタコというよりは、ウミそのものが、喋ってるような。
[ウミの仕草に、自分の周りを見回してみたり。なにも見えたりはしないんだけれど]
つか、間違いなく喋ってんな……
[ぼーぜんと。
ホズミに喋りかけるウミを見ていた]
わかるというか、わからん意味がわからん。理屈はさっぱりわからんが。
[ぽり、と頭を掻いて]
もし、ウミが伝えてくれたことが本当のことなら、みんな苦しんだりはしてない、んだな。
[なんとなく、ほっとした、声が出た]
今までの事と、というか。
[ヘイケの言葉に、うあーと思案しつつ]
まあ、夢なら醒めるまで、突っ走るしかないのかもしれませんね。
負けないように。あなた、仕方がない、抗えないとは思いたくないって言ったでしょう。オレも、そう思うし。
[なんとなく、ヘイケの肩をぽむりとした]
ウミ。
ロッカ、何か言ってるのか?
[聞いてから、一度、かぶりを振る]
いや、みんなは、この騒動が終わる方法、知ってるのか。
[人の男は大まじめに、猫に聞いた]
あの人?
――お前、誰だ?
[あの人は誰かとホズミが問う。目をすがめた]
かえる? 鍵……道しるべ?
[ふと思い出すのは、蔵にあった古びた箱]
こうなったら片っ端から探してみるか?
[かえることが必要なのか、そう問うホズミと]
……?
[ヘイケの肩に置いたままの手、撫でられて。頷くのが見えれば、同じように頷き返して]
……え?
[唐突に、ころりと。何かが転がり出てきたように。瞬きして、ヘイケの顔を見直す]
わかるって、なんで……
[今まで黙っていたのか、とも。
なんでわかるのか、とも。
けれど猫がこうして喋っている現実があって、今更問うのも、意味がない気がした]
――ウミ。
その、「何かを探している人」に、見つかるまでつきあうって、伝えてくれるか。
[誰だかも知らない、誰かに向かって。先ず、言って]
泡……か。
[くたりとするウミは、あれだけ喋っていたのが嘘のよう。
最後に伝えた言葉は、ロッカの口調。
記憶の中の声で、再生されて聞こえた]
まるで――
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