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[辺りを見回すと見慣れない場所に立っていた]
『あら、遂にここまで来ちゃったみたいですね。ルリ』
[声のする方を見遣る。
どこかで見たような感じのする女性の姿があった。]
…あなたは、だれ?
…ここは、どこ?
[首を傾げ、目の前の女性に問う]
『…ふふ、
私は貴女。貴女は私。
―そして、ここは川。あちらとこちらを分ける、川。』
[そう簡単な説明をすると、女性はふわりとした笑みを浮かべつつ、懐から白銀に光るものを取り出す。
それはいつも自分が肌身離さず持っているものと同じもの。
いつから所有していたのか分からないが、とても大切なもの。]
…ルリのと――?
…じゃあ、あなたは――
[自分のものと比べるかのように、両方の鍵を並べてみる]
『そうよ。貴女のと、同じ―――』
[とそこで言葉を切ると女性は目を閉じる。
その行動に反応するかのように双方の鍵の水晶が一瞬にして砕け散った。]
………。
…石、割れちゃった、よ?
[心配そうに首を傾ぐと女性は微笑む]
『――良いんですよ。
もう、使う必要は無くなりましたから。
…あら、』
[そろそろですね。と呟き握りしめている方の左手を指す。]
『…それを大事になさい。取りあえず言いたい事はそれだけです。
後はここで好きになさい。』
[それだけ言い残すと女性は霧になり掻き消えた]
…分かったわ――ルリ。
…ちゃんと言われた事は、守るから。
[いつの間にか握りしめていた冥銭を*見遣った*]
[川のほとりに座り、水の中に手を入れる]
…冷たい、のよ。
…でも、不思議な感じがするの。
[手からこぼれ落ちた雫は、ぴちゃ、と小気味良い音を響かせる]
…でも、ルリはいつまで――、
…みんな――、
(ルリは、少し寂しい―、)
[届けばいいなという思いを馳せながら、そう*呟いた*]
…だれかいるの?
[自分の後ろからの聞き慣れた声達に振り返る。
でも、姿形はその目で捉える事は出来ず]
…みんな、いないの?
…声は、聞こえてる、のに。
[そう静かに呟き終えた時、視界の端に自分に向かって手を差し伸べているホズミの姿が映る]
…あ――、
…ホズミ、姉様。
[無意識のうちに自分の濡れている手を差し伸ばす。
その冷えきった小さな手はホズミに*届いただろうか*]
[ホズミが手に触れたかと思えばその情景はすぐに霧になり掻き消えた。]
…ホズミ、ねえ、さま?
[不安げに辺りを見回す。しかし先程の場所から一歩も動いていない。
目の前には向こう岸が見えるか見えないかくらいの大きな川。
その間も後ろ側からは色々な声が聞こえるばかりで。]
…ああ、ルリは――、
[自分の置かれている状況を確認すると、どこか全てを悟ったような表情になり、その表情のまま左手に握られていた冥銭を見つめる]
(ルリは――もう、戻れない。)
(ルリは――ここに、居なきゃ。)
[背後から自分を呼ぶ声が聞こえても振り向くことはなく。
決意したかのようにぎゅ、と再び冥銭を*握りしめた*]
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