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[――不意に、ひゅ、と。
濡れタオルの端と共に、水滴が宙を奔る。
ベルンハードの背後からペッカが振るった其れは、
幼馴染たる彼の、顔の下半分へべちゃり張りつく。
軽い遠心力で1回転半した端が、びちと頬を打つ。]
死にたかねンだろ。ビー。
[他方の端をぐいと引いて、半ば抱き寄せる。]
…俺も 死なせたかねェ。
[人狼…らしき彼を羽交い絞めにするでもなく、
ペッカは、両の手のひらをベルンハードの顔の前で
重ねる。…その手と濡れタオルとで呼気を、奪い]
いっしょに 逃げてやれる。
いっしょに 生きてやれる。
けど、うン。アイノを殺させたり、
ウルスラ姐が疑われンのァ…駄目だなぃ。
お前ェが落とし前つけらンねェのも――
[交わした詫びは、一度ずつ。
これで相子、とは果たしてしたかされたか――
ペッカは、ベルンハードの顎を緩く上げさせて
幼い頃から見慣れたその顔を、覗き込む。]
… 『土砂崩れさえ、なければ』。
アア、 そンでも。
漕がにゃ 進まん、凪もあらァ な
[幼馴染みの後頭部を、己の肩口へ凭せかけて。
相手の鼻と口を塞ぎながら、微か語尾を震わせた。]
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