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…そうそう、
お前さんのことは、
なんて呼べばいい?
[白い帽子の男が全うな応えをしようと
その名で呼ばず――緩い頷きを返す。]
じゃあね、「よき隣人」
あんまり真面目に生きてちゃだめだよ
[尋ねられたことへの見返りは求めず、
気怠そうに夜陰へと*駆けていった*]
[地面に這いつくばり、
脇目も振らずに無心に血を舐める姿は見えない。
石炭を摂取し内側からゆるり温まり始めた、ベルンハードの身体の熱と血臭と音と気配を感じる。]
「炉」を、起こして
[拳を握れば、
其れの内側で、ぽっ、と熱が弾ける。
暖かく、柔らかく、周囲を圧するものになる]
[――――事は、なく。]
[絶叫が辺りを支配する。]
―――――…(くすくす)…―――――
[拳を更に強く握れば、
一段と火花散らし内腑を灼く。]
[人間からすれば、厭な焦げ臭い匂いが周囲に漂い、
脂肪分をたっぷりと含む身体は、開いた口から屠殺される家畜のような鳴き声をあげ続けたか。其れとも、呻く侭で夢の刻、幸福の時間に縋りながら息絶えたか。
ベルンハード―――実験体0551号であった、
少年の心の裡を察する事までは誰にも出来ない。]
[金属片が寄せ集まり、歪な銛が形成された。]
[ふっ―――――]
[無造作に手が振り下ろされれば、
其れはベルンハードの頭へと突き降ろされる。]
[乾いた音と共に硬い頭蓋骨が割れ、
瓦礫に毀れ落ちるのは、灰色の脳味噌。
銛の先端は、顔の前面を貫いている事だろう。*]
―庭園の在ったビル―
[――己が身の裡に起こったことは、
軽業師の男が誰よりよく覚えている。
そして、苦痛に関するデータの採取を
つとめていた、研究施設での経験は
ベルンハードの身に起こることを
呆れるほど正確に察知して――
現実へトレースされるさまを見ることになった]
……
[過日――自分の「炉」にあった熱源と
その触媒は――…思い出したくもない]
[足首に傷を追った軽業師が飛び退った距離は、
さほど遠くはなく。間近で見下ろす爆裂、断末魔。
沸騰した脂肪が泡立たせた生皮が、
黄色くふやけたように浮いている。
弾けた腸管が、詰まった内容物ごと
裏返っては襞に沿って焼け縮れていく。
わざわざ噛み砕かれたコークスは、
ベルンハードの口腔や食道にも
へばりついてどす黒く煤煙を上げた。
鼻梁を潰すように打ち下ろされた槍が
とどめとなったかどうかは…甚だ疑問。]
[それから、再び無造作に、
ベルンハードの頭を貫いた物を引き抜く。
先端付近に、脳の一部や血液が付着している。
鼻を近づけ匂いを嗅いだ後、ぺろりと舐めとり、嚥下。]
[カラン、と銛を放り投げる。]
[屍体の頭付近に膝をついて屈み込み、割れた頭蓋骨の中から、脳味噌を掬い取り、口に運んだ。プディングのように震え、喉奥に送り込まれてゆく。暫しそうやって喰べた後、顔をあげた。]
[――かつん、
アイノの翼を染めたのと同じ瀝青(れきせい)が
足首の傷を妙な方向へ固めてしまわぬように、
軽業師は尖った靴の底を床へ軽く叩きつける。
視線は、穿った銛持つ旧友の手から…面持ちへ。
――そのとき目にした口元の仕草に、
思わず言葉をなくし暫く黙って彼を見ていた。]
[わらいかける表情を、しらない]
…おい
[大股で歩を寄せる。]
[彼の頬へ手を伸ばす]
[旧友の肌を灼くほどに手が熱いことも忘れ。
軽業師の男は急いた手話を其処へ綴り送る。]
( ― マティウス ― )
( ― いるのか、いないのか ― )
( ― 其処に ― )
[膨大な熱量の接近。
灼け跡を残しながら綴られる手話。]
いるよ。
[綴り終えた手を掴む。]
ここに。
[掌が焼け爛れながら、答える。]
その為に造られたのに……、
何処にも、
もう、行く場所なんて、
ないのかな
[残る片手をそっと添える。
手を両手で包み込むようにして項垂れた。
明瞭な意識の侭、話しかける。]
/*
いらっしゃい*2
昨日は私も落とされた事に甘んじて寝てしまってね……。折角なのに何も用意しておけなくてすまないね。
あと霊能者にも地上発言は見えるのか。
霊能者にも申し訳ないことをしたな。
という訳で、生存表明代わりに最初で最後のPL発言予定だ。
*/
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