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―集会所―
[儀式の日が近いせいか、普段は人気のない集会所も、この時ばかりは頻繁に人が出入りしていた]
こんにちは……。
え、ポルテさんが?
[小さな村だけに噂の回りも早い。
大事はないという事を確認し安堵する]
良かった。ポルテさんの料理が食べられないのは困りますからね。
[差し入れの握り飯などを期待して来たのだが、まだ時間が早かったらしい。
ここまで来て何もしない訳にも行かないので、しばし練習をする事にした。
祭具の置かれた蔵から、儀式に使う笛を取り出す。
長い間受け継がれて来たのだろう、年季の入った色合いだ]
――――
[軽く息を吸い、音を確かめるように吹き込む。
空気を震わせ高い音が響いた]
よい… しょっとぉ。
[鞄を手に村の道を歩く。
回診は問題なく終り、空いた腹が音を小さく立てた。]
――――― あ
[遠くから聞こえる笛特有の高い音。]
もう少しだもんなぁ。
― 診療所 ―
[結局その足で帰って来た。
昼も過ぎていたので家にあった漬物をつまんで飢えを凌ぐことにしたのだった。
回診中の看板を取り、診療所の中へと戻ればカルテに必要事項を書き込んでから暦をもう一度見た。]
……うん。
[一曲分吹き終えて、それなりに満足がいった顔で笛を下ろした。
集会所に来ていた顔役の老人が寄って来て、細かな指示や注文を付ける。
素直に頷いていると、中年の女性がお盆を手に入って来た]
『はいはい、休憩休憩!』
[お盆の上には期待通りのものが載っていて、思わず顔を綻ばせた**]
[明日の回診の準備と同時に、別の準備を始める。]
…、…
[ここ数年何度となく繰り返されてきたこと。]
『 ただいま。 』
[小さな声と共に帰宅を告げる娘の声。]
おかえりー。
ばーちゃーん。
ばーーちゃーーーん。
[呼びかけながら立ち上がると、数学の問題が目に入ったので、ぱたりと閉じる。
台所や厠など祖母が居そうな場所を探してみるが、見つからず]
…こりゃ、またワカバ先生のところにでも行ったかな。
[祖母は診療所に集まる皆と世間話をするのが楽しいらしい。その場に居合わせると何かと言われるので苦手だったが]
…しかたない。散歩ついでに寄ってみるか。
今日はダンちゃんも来るから
一緒にご飯食べようね。
[こくんと頷いてから奥の部屋へと向かう双葉を見送った。
診療所の待合室は日課のようにお年寄りでにぎわう声が聞こえてきていた。]
[塩味と梅干の握り飯を一つずつ頂いた所に、若いのだからとおまけでもう一つ。
若者は、この小さな村では貴重であった]
『セイジくんは、そろそろ子供の一人や二人こさえたかね?』
[そんな無遠慮な、といってもこの村ではさして恥ずかしがる事でもない質問も飛んで来る]
え、いや、僕は……
[口籠もっていると、老人らから大声で笑われた]
『最近の若い子らは奥手じゃのう!』
『ワシらの若い頃は……』
[そんな昔話が始まって]
……まだ何も言ってないのに。
[つい、目を逸らして小声でぼやいた]
―清治自宅付近―
ごちそうさまでした。
僕はもうちょっと回ってポルテさんの事を皆に知らせてきます。
[村人に会釈を返して、その場を離れると、その後もしばらくはポルテの容態を知らせて村の中を回る]
さて、この大体の場所は回ったかな。野菜を届ける用事もあるし、一度畑に戻ろうかな。
[一通り、村の中を回れば、一度畑に戻る]
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