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["庇ってくれたカウコに申し訳が立たん"
トゥーリッキの其の言葉に、
雪に投げ出されるレイヨに、
――こぼれたものは小さな舌打ちで。]
結局、俺は――……
[飲み込み、代わりに吐いたものは深い息。
名を呼ばわるレイヨにひととき意識預けて]
お前は――……死ぬな。
[かける言葉はいつかの*繰り返し*]
お前の答えの通り ……違わず、殺せ。
[深く被り直す帽子で表情がどこまで隠せるか――
否、そんなことをせずとも生者には見えない。]
嗚呼――……
ままならねーな。
[苦い――苦い苦い、*笑み*]
[為される事に、けれど視線は逸らさず。
ただ、帽子をぎゅっと深く。]
見えずも見えるその景色。
松明が、火矢が、そこかしこに見えようか。]
見届けるまでは、死んでも死にきれねーわな。
[もう、何も出来ない体。見ることしか出来ぬ。
それでも――]
今も俺は、無力だとは想ってない。
[ドロテアには聞こえようと聞こえまいと、呟き。]
[ウルスラの声に、ちょっと間考えて]
――どうだろうな。
あのバカが、何もかも隠したままじゃ――
変わらなかったかもしれんし、変わったのかもしれん。
[ふ、と小さく息吐いて]
もしこうだったら、なんて、
……なってみなきゃわからんもんだ。
ま――そうとも云うな。
[タラレバについては肩竦めて告げて]
そうだな――だから多分、ばかなんだよ。
俺に言われちゃ世話ねーだろーがな。
[知己の想いの全てを汲み取れるわけではないけれど、少なからず抱いた感想はやはり、その一言で。]
[知己を眺めやる目は敵意でも慈愛でもない。]
お前の死を望むわけでも、狼の滅びを望むわけでもない。
ただ――この村と、
俺のつまらん意地で、レイヨを生かしたいだけだ。
[そうして、牙に引かれる使者には目を細め]
お前も、んなとこで、死ぬな。
やることがあるはずだ――……、まだ。
[小屋の外の状況と、小屋の中の状況と――
きっとどちらの時間も、あまり*ない*]
酷でも、生きなきゃ――話にならんだろ。
次を考えるのは生き残ってからでいい。
[それも我が侭だと知っていながら。]
それに、当事者が生き残らないと、
――……。
[続く言葉は飲み込まれたけれど、やはり酷なこと。]
なかったことにしないために、生きるんだよ。
死んだ俺が言うのもおこがましいけどな。
[深い息ひとつ、落として。その先に見る*結末は*]
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