情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了
[1] [2] [3] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
………?
[声が、聞こえた]
マティ?
[喉を通さずに発せられたのは、とうの昔に失ったはずの、自分の声]
そこに、いるんですか?
[しかし、返ってきたのは肯定ではなく]
“生き続けてくれ”
[そう強く願う、亡き親友の声だった]
“大事な、友だから”
“こんなことで失われないでくれ”
[以前の彼であったら、嫌だと駄々をこねていただろう。傍に行くと]
[だが、今は――穏やかに微笑み、言った]
マティに出会えていなければ、僕は、死に急ぐことばかりを考えていたでしょう。
病を患ったあの日から、僕の人生に色はなく、灰色に淀んでいました。
だけど、マティのおかげで、毎日が新しい事ばかりで、とても充実していて――
少しづつ、少しづつ、色が戻ってきたのです。
マティと友達になれて、良かった。
ありがとう。
僕は、生きます。
君の分まで。
――――。
[居間で眠る彼の頬に、涙が音も無く伝って落ちた]
[青年たちが屋敷の中を検分する間に血に汚れた身を清め、ニルスは屋敷の外へと踏み出す。
そこにいたのはたかだか数日のことだ。
しかし、随分と長い時間のように感じられた。靴底で踏む地面がやけに柔らかいような心地がする。
屋敷で眠る幾つもの死体や、恐らくはどれだけ磨いても取れないであろう血の跡をどうするのかは、ニルスの知るところではない。
ただ、手にしていた首飾りだけは自らの荷物であると嘘をつき、そのまま屋敷の外へと持ち出した。
ニルスは、首飾りの玉を通して青年たちを見る。当然、くすんだ玉は何を映し出すこともない。
少し向こうの通りに、色とりどりに飾られた町並みが見えている。それは、非日常から日常へと自分が帰ってきたことへの証だった。
しかし、非日常を経た自分は、日常にいた自分とは異なる。目には見えずとも、随分と背負うものが多くなってしまった。
自分にやや遅れて、屋敷から連れ出されるクレストに苦笑のようなものを浮かべ、ニルスは歩き出す。
向かう先は、数日ぶりに帰る自らの住処だった。]
[それからニルスは祭りに出ることも無く、白紙の冊子とペンを手に机へと向かった
合間に簡単な食事を摂り、時折眠る以外は他のことに手をつけず、ただ一心不乱にペンを動かし続けていた。
その傍らにあったのは……表紙の次から数頁が無理矢理破かれたように欠落し、古ぼけて紙が黄ばんでしまっている、一冊の書物だった。]
[それは、ニルスの生家に百年ほど前から遺されていたものだ。
ニルスの曽祖父が人狼騒動に関わった際に遺されたものだと、ニルスは祖父から聞かされていた。
書かれているのは、百年前の人狼騒動の一部始終である。しかし、その結末は今回と異なる。
人狼は生き延びたのだ。
ただ、村を犠牲にするより早く、この村を出たというだけで。
書物から破かれ抜け落ちているのは、長老の星詠みによって人狼に目覚める可能性がある者が集められたくだり。
何故、書物の最初だけが破かれていたのか。
何故、人狼騒動に関わった曽祖父が、大事な資料になるであろう書物を家から出さないように遺していたのか。ニルスが考え得る理由は、一つだけだ。
―――― つまり、生き残った人狼は、 ]
[そうして数日を費やし、ニルスは一冊の資料を書き上げる。今回の人狼騒動を顛末を記したものだ。
書き上がったばかりの資料を机の上に残し、ニルスは村から忽然と姿を消した。
それは冬が来る、少し前のこと。**]
[アイノの声を聞く間、彼は何も言わなかった。
夢なんて、初めからどこにも、
その言葉に、声はなく、笑って]
そうだね、今更だ。
誰を殺しても、……君が殺され、僕が死んで、他にも沢山が命を摘み取られても、
現実は夢にならないね。
――僕のせいにしちゃえばいいのに。
[思い込んだだけという言葉に、面白そうに、そう呟き返して]
君はまだ信じたいの。
僕は嘘つきだよ。
だから、信じて良いかっていうのには、答えられないな。
――代わりにこういってあげるよ。
[差し伸べた手はそのままに、言葉を続ける]
僕は、君をまた騙すけど。
信じるのも、信じないのも、君が決めればいい。
この手を取ったら、そうだなぁ。
一つ下の階に、君と一緒には行ってあげる。
"終わり"を見に、行こう。
[嘘吐き言葉の最後には、彼女への誘いの言葉が続いた。
差し伸べた手は、いまだ引っ込められることはない]
そうかも知れないわ。
私は、…いいえ。私たちは。
[マティアスの言葉>>5:+58にこくと頷く。
桔梗色の狼が立ち去れば、残るは静寂。
そうして視線の先に見つめるものは、恐らく彼も同じだろう>>1]
死んでしまいたいほどに辛くて、でも死ねなくて…。
死んで良かったとは、言えないけれど。
けど…、ならば少しだけ。
せめて少しだけ、辛さが癒されれば良いのに、ね。
[想像と知りながら口にした。
真の望みなど、当人より他に知ることなどないと知るけれど]
…、クレスト。
[ぐったりと目を閉ざす彼に、囁きかける。
当然彼の耳に、この声が届くことはないだろう。
彼に見えることもない。
…──だから、そっと手を伸ばした。
触れたことの無かった、彼の額へと]
私…、…気づいていたの。
いいえ。もしかしたらと思っていたの。
…少しだけ。違うかも知れなかったから。
あなたは、とても優しいひとだから。
だから足の悪い私にも、優しいのだわって。
[女の手指が、滑るように男の頬へと降りる]
逃げていたのよ、ずっと。
ヴァルテリが人狼だと思ったわけじゃ、ないわ。
ただ誰かを……、
貴方たち以外の誰かを死なせられれば、それで良かった。
きっとそういうことだったんだわ。
酷い女でしょう?
もう、ばれてしまったかも知れないけど。
[ぽつと零して、手を離した。
その手を自らを抱くように、己の肩へとまわす。
あの時、安心をくれた手の温もり>>3:124を思い出すように]
自分を責めないで。
たとえ誰が何を言ったとしても、
私はあなたの強さと優しさを知っているわ。
ありがとう、クレスト。
…───大好きよ。
[眠る男に囁きかけて、ふわりと微笑む。
やがて女は、差し込む朝日にきらめくようにして掻き消えた*]
[友の意思を耳にして]
[泣き出しそうな顔で祈りを唱える表情が、壊れる]
[友が最後に抱く男の顔は、血にぬれた傷に抉れて亜ものではなく、泣き笑いの表情だろう]
[広間へと優しい陽光が差し込まれ――閉鎖空間は消失する]
[人ならざる化物も、死してなお未練を残すものも、ともに、日常への回帰とともに消えた**]
[1] [2] [3] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了