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─ 公園傍の道 ─
確か、あの店10年前に建て替えてて…。
………俺夢見てんのかな………。
でもさっきまでちゃんと起きてて…。
[瞳を閉じ、空いた手で顔半分を覆って考え込む。寝ていないなら夢を見るはずは無い。あーでもないこーでもないと思考を頭に巡らせ、ふと兎の言葉を思い出した]
…『元の時間』に、戻れない…?
いやでもそんなはずは。
……けどそう考えると合致はする、なぁ……。
[あれこれ考えて、しばらく、うーんうーん、と唸っていた]
祐樹もそう思うか?
あの雑貨屋、確かに10年前に建て替えたんだよなぁ。
今じゃもう汚れも目立ってて、当時の面影皆無だけど。
それが真新しいままって……。
………………………。
[聞こえて来た聞き慣れた声に、考え込んだまま声を返す。傍に居なかったはずの相手の声。電話を繋いだ記憶も無い。しばし長い沈黙が訪れた]
……あれ、祐樹、いつの間に来たんだ?
[ようやくそのことに気付き、疑問を投げかける]
マジかよ。
[祐樹の居場所を聞いて、声に驚きの色が載った]
兎、兎………あ。
そーいや何か、力をあげるとか何とか……。
……もしかして俺ら、変なことに巻き込まれた?
[周囲の景色が変わっているだけでも異常だと言うのに、離れた相手の声まで聞こえるなど常識の範疇から外れている。兎が言い残していったことを思い出して口にすると、声に訝しげな色が載った]
あー……なんか同じことな気がする……。
[祐樹も兎に言われたと聞いて、項垂れそうな声を返した]
てことは、あの兎が言ってることは本当、なんだろうな。
こんな風にお前と会話出来るって異常な状況を考えると。
何だっけ、ワスレモノを探せとか言ってなかったか?
ワスレモノって何だよ…。
しかも時計が直らないと元の時間に戻れねーとか。
俺らにどうしろと。
─ 公園傍の道 ─
え、お前さんも見たのか。
そうそう、ワスレモノとか、時計が壊れたとか、何か色々捲くし立ててた。
[一応最初から聞いていたから、思い出すようにしながら言って。タイムスリップの言葉には、眉根を寄せ、片眉を上げた]
信じらんねぇけど、そう言うことになるんじゃねぇかな。
兎の話が本当なら、ワスレモノを見つけなきゃならんらしい。
それが何なのかまでは分かんねぇけど…。
[言って、眉根を寄せたまま、また後頭部を掻いた]
んなもんどこに埋めたかも忘れたぞ。
[そして何を入れたかも勿論忘れている。ただ、それを見つけたところで変化は起きないような気がした]
俺、兎に力をあげるってしか言われてねーんだが。
祐樹の方で何か言われなかったか?
[問いかけの後、相手からの問いを聞いて]
ああ、なんか中学生くらいの男子なら今傍に居るぞ。
あと公園にも何人か見える。
[何事か声も聞こえていたから、それは間違いない。ただ、何人居る、とまでは把握し切れていなかったが]
あの良く分かんねぇ兎の言う通りにしなきゃならんのは癪だが、状況を見る限り言われた通りにするしか無さそうだな。
[言いながら、大きな溜息が零れた]
俺、家行ってみるわ。
親父達まで巻き込まれてるかもしんねぇし。
[行き先を祐樹に伝え、家へ向かおうと。力について話を聞けたなら、実行してみようとしたりするかも*しれない*]
『仕事』、ねぇ…。
とにかく、力を使おうと意識すりゃ良いってことなんかな。
強い念とか良く分かんねぇし。
[その使い方すら良く分からないのではあるが、そんなことを言って。祐樹の傍に居る人物についてを聞くと、「へー」と一言返した]
同じ状況に放り込まれたのが少なからず居るってのは確定だな。
りょーかい、何か分かったら教えてくれ。
[非常識ではあるが便利な力があるのだからと、通話の力は遠慮なく使うつもりらしい]
[少年と別れて自宅へ向かうべく、駅前公園を離れ道路をひた歩く。薬草等を自家栽培するのもあって、潮風に当たらない内陸側に家と店はあった。家へ向かうためには住宅街を抜けなければいけないため、まずはそちらへと進んで行く]
道路荒れてんなぁ。
歩きにくいったらねぇよ。
[10年前の舗装し直されていない道路はところどころ凹凸が目立ち、ともすれば足を引っ掛けてしまいそうになってしまう。ひょい、と跳ねるようにして凹凸を避けながら先へと進み、住宅街へと足を踏み入れた辺りで、女性の声>>69が上がるのが聞こえた]
へっ?
おい、何かあったのか!?
[一瞬きょとんとしてしまったが、何か異変でも起きたかと慌てて声のした方へと駆ける]
[辿り着いた先に居たのは、焦燥したかのような若い女性。自分が子供の頃から見た目が変わらない人だったのだが、とりあえず若いと称しておく]
──穂積さん?
ちょ、落ち着いてくださいっ。
何があったんです?
[母親や妹が世話になっている美容院の主の名を呼び、ひとまず落ち着かせようとする。その際に携帯のことを言われれば、ポケットから自分の携帯を取り出して状態を確認した]
圏外……ではないけど…。
[穂積とは違う形態のものであるためか、彼女のように圏外にはなっていない。使わせて欲しいと言われるなら貸すことになるが、結局は繋がらないと言う結果になった]
…繋がらなくても当然、かもなぁ。
[その結果にぽつりと言葉を漏らす。それについて問われたなら、困ったように後頭部を掻きながら説明することになる]
その、どうも俺らは変な兎のせいでタイムスリップしちまったみたいで。
信じられないかもしれないですが、ここ、10年前なんですよ。
[その言葉に相手の反応はどうだっただろうか。理解が及ばないようなら出来うる限りの説明はするも、自分も全てを把握出来ているわけではないため、どこまで理解してもらえたかは定かではない]
[携帯を返してもらって、メールは届いていないかを確認。ここに飛ばされる前に妹とやり取りしていた分以外は届いていないようだった]
…電話繋がらないんだったらメールも無理だよな。
[更に妹にメールしてみようかと思ったが、どうも繋がるような気がしなくて。試すことも無く携帯はポケットに仕舞われた]
ええと。穂積さん、大丈夫ですか?
[ショックを受けては居ないかと、様子を窺う]
俺、家に行ってみるつもりなんで、そろそろ行くっすけど…。
[もし穂積も彼女の自宅へ向かおうとするなら、彼女の様子によってはついて行こうと]
おー?
って、チカとロッカもだってぇ?
街に居る奴らだから当然と言えば当然だが、何ゆえこんなに顔見知りが多いかね。
こっちは穂積さんが居たぞ。
覚えてっか? 美容院経営してる人。
[祐樹が溜息混じりに伝えることに対し、こちらは呆れの色を載せて応える]
あと携帯繋がんねぇ。
俺のは圏外になってねーんだが、穂積さんのは圏外になってた。
[ここに居ない相手に対してしか確かめていないが、そんな報告も伝えた]
そりゃそうだけどよ。
[肩を竦めるような雰囲気で短く返してから、今まで確認出来た人数を数えてみる]
俺と祐樹、チカとロッカ、それに穂積さん。
他に確認出来てるのは、公園に居た3人とさっきの男子くれぇか?
あ、お前が会った女の子も居たか。
これで10人だな。
まだ居るのかね。
[もう1人彷徨っている女子が居ることは、まだ目にしていないために数には入らず。携帯については「おぅ」と返事をした]
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