[1] 絞り込み / 発言欄へ
[少女は目を覚ます。
そこへ駆けてくるペケレに、寝ぼけたように声を掛けた。]
…おはよう。で、イマリは?
[確かおっさんに襲いかかろうとした途端、ぶちまけられたインクと瓶が目の前に飛んできて。記憶はそこで途切れていた。痛むおでこをなぜると生乾きのインクが顔に広がっていく。リアルタイムで無惨な姿になりながら、やがてイマリも姿をあらわしただろうか。幾つか言葉を交わすうちに、少女はようやく自分が人狼ゲームに参加していたことを理解するのだった。]
重大発表!!
[突然、右手を高く挙げて叫んだ。正座もしていたかもしれない]
人狼ゲームご苦労。
宴も酣ではあるが…これから宝探しゲームを開催する。
[そう宣って、
少女はおっさんの遺言(独り言)を説明するのだった。]
ゆえに警察を呼ぶ前に、まずネギヤを脅迫して、それから…**
ダイイングメッセージとはおっさんも洒落たではないか。
だが、生け贄がかくもおっさんとは、私は寡聞にして聞かぬな。
[鍵を取り出すおっさんを片目に、
すたすたと倒れたバクの元に歩み寄って跪くと、
そのほおを、ぱしんと思い切りひっぱたいた。]
イサクは少年であるべきだろう?
…まあ、それはそれ。それはボンレスハムでもよいではないか。
日本史の…今にも歴史になりそうな教師が言っていた。
武士は腹切りをしてもそうは簡単に死ねないのだそうだ。
少年…。対価を得て帰ろうか。
[囁くような声。
やがて呻き声をあげた少年を見て、少女は微笑む。**]
痛い。イマリ痛い…。
[23発くらいは耐えて見せたものの、
残りの数発は思わず身体がのけぞってしまう。手刀一発。]
だが痛みも生きていてこそとは、このことではないか。
[抱きしめ返そうとして手がインクまみれなのに気が付く。
イマリのほおをなぜるふりして、さりげなく無惨な姿にしてやった。]
のっぽ。
おまえもか。
おっさんは詰めが甘いな。
どれ。どこをやられたのだ。私に診せてみろ。
[その男もまた呻くような声を挙げた。
歩み寄ってのっぽの身体を跨ぎ、仁王立ちすると。
身体を屈めてその服をひんむきはじめた。]
ははは。のっぽ!
ナイフが幅広だったのを悪魔に感謝するといい。
傷口は…
おまえの二本の肋が受けとめたようだ。
肺は傷ついていまい。それだけ喋れるならな。
…運の良いのっぽだ。
[ひんむいたのっぽの胸から夥しい血が流れ落ちている。
しかしそれは、まるで少女の表情のように明るく軽く、それが静脈からの出血だと知らせていた。少女は両手わきわきさせて言う。]
さあ。他に傷がないか調べてやろう。
…おまえは守りすぎなのだ。
逃げる?ばかな奴め。のっぽ…
その傷の対価を得ねば、一生祟らるぞ?
[1] 絞り込み / 発言欄へ