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[彼女にとってこれは幾度目になる挑戦だろうか。
もうその数を数え切れない程になろうとも、
彼女は諦めきれずにこの地に足を踏み入れた。
かつかつと廊下をゆっくり歩きながら小さな声で]
あえいうえおあお…
あえいうえおあお、あえいうえおあお…
あうえ、
[噛んだ。緊張を和らげる手段も功を奏さない。]
――。
[もう年齢的にも後は無いと云うのに、
事此処に至っても相変わらずっぷりに]
ふぅ
[溜息をつき、緩く首を振る。]
[ふと視線をあげると子供が此方へ手を振っている。]
あら
[誰にだろうと見回すも辺りに人は居らず。
向き直り、笑顔と共に]
こんにちわ
[手を振り返す]
[相対しながらも頭の中は台本で一杯だった。
[白い白馬の背中]からむわっと湧き出た[告げ人 アン]の心境を、如実に表すような演技が求められる。しかも[10年前]という時間限定であるし、それはそれで良いとしても、彼女にとっては[犬 ゴロウマル]が[天袋]で[ピチピチになった。]…という演技の方が得意だった。それならば受かる自身があるのに、と…]
[悶々。]
えっ、ええ。
そうなの、オーディションを受けに来たのよ。
貴方もオーディションを受けにきたのね?
[にこにこと笑みを繕い、問うも]
ま、またそれは随分と背伸びした役柄ね…
[その役柄に驚いて、ぱちぱちと瞳を瞬かせた]
[大量の飲み物を抱えて入る少女に向き]
あら…貴方もオーディションを?
[問い掛けるも。差し入れ、と聞けば]
いいのかしら?
…それじゃあ
[普段なら遠慮をする所だが。
緊張から喉が乾いているのに気付き、
気を紛らわすためにも、と{5}に手を伸ばす]
[ぷしゅり、とプルタブを引き、一口含んだ。
屈託の無い笑みで問い掛けてくる少女に]
ん?
…別に悩んでなんていないわよ?
[笑って誤魔化しながらも。
流石に子供に詮索されるのはプライドが許さない様子で、それでも少女の笑みには]
――。
[何かよからぬ事を考えているのでは、と思案する。
例えば、[台所]から飛来した[崖っぷち ヒナ]が、実は[100年前]から[100年前]まで私は地球を監視する役目を、などと。]
[そんな事を、と思うも。まさか、と首を振る。]
[それでも、ライバルなどと言われれば。
にっこり笑い]
そうね、お互い頑張りましょう。
[小さく頷いた。しかし、問い掛けには]
卵を産んだ役?…そんなの有ったかしら?
[眉を少し持ち上げ、首を傾げる。]
私はゴロウマルが天袋で
ピチピチになる演技がしたいの。
[真顔で返答]
うん、いいわよ。
[大人の味、と交換を求める少女に。
自身のジュースを手渡し、交換を済ませるか]
おみくじ?
[云われ、見れば確かに。
缶底にぺたり、と小さなおみくじが張り付いていて]
あらあら
[ぺりり、と剥がし見てみれば]
[中吉]ね…
[ふむ、と頷き]
なぁにこれ
[中吉、などと書いてあるにも関わらず]
探し物……出ず。
待ち人……来ず。
健康……無理をしなければ吉。
金運……下降気味。
生活……其れなり。
[読み上げ、わなわなと震えている]
[おみくじから逃げるように視線を外し、
微笑むルリへ向けば]
有難う。お姉さんは大丈夫だから。
貴方が合格出来る様に祈ってるわ。
[にこ、と微笑み。
だがしかし、心の奥底では畜生、と思っている。
子供ばかりだというのが恥ずかしくも、悔しい。
こんな子供なんて、[夢の国]で安物のドレス衣装を纏った[衣装係志望 ビセ]の役でもしながら、幼稚園のお遊戯程度の満足度で終わってくっればいいのに。そして、[せつなさの名手になった。]…なんていうオチが有る様な、そんな子供向けで十分なのに、と。]
頑張りましょう。
[にこにこ、と。]
[問われれば、思考を巡らす。
無かった、と思うものの、絶対とは云えず]
――、どうだったかしら。
ここの台本、話の筋がちらかりすぎてて、
覚えるのに一苦労なのよね。
[ふ、と思わず零れる本音]
だいたい、カカシの隣で宇宙の秘密を知ってしまった状態になりながらも、衣装係志望 ビセとしてしりとりでしか会話が出来なくなった、なんてどういう状況よ…
[小さな声でぼそぼそと暗い瞳は、愚痴を零す]
[おみくじに負けるな等と言われれば。
手の中のおみくじをぐしゃりと力一杯握り]
大丈夫よ。
占いなんて信じない主義なの。
[くす、と放つ言葉は大嘘。
今朝も血液型占い選手権で、
どん底気分を味わったばかりであった。]
道は自分の手で切り拓かなくちゃ。
[出来る女の様に微笑む]
[ワカバからリラックスといわれると、
其方に向き]
大丈夫よ。全然緊張なんてしてないわ。
[変わらずに目一杯、おみくじの紙を握りつぶし。
手をふるふると震わせながら返答した。]
そう…良い味だしてる憎いこん畜生、ね。
[言葉を聞き、思案。納得した様に頷くも、
それでも夢は矢張り、主演女優である。]
[饅頭を頬張る彼を見遣り。
言葉には小さな頷きで返す。
みた所、自分より上かと思えれば一安心。]
宜しく御願いします
[ようやくに自然に微笑むか。
そのあたり、ありありと黒さが滲み出る。]
私もオーディションはあまり…
[苦笑いで饅頭の彼に続き。]
[ワカバの声にゆっくりと首を縦に振り]
案外……
無茶振りでのアドリブ力を見るテストかもね。
だとしたら、きちんとした台本が他にあるのかしら。
実は大きな舞台で、何万人も入るような…
[少し遠い目で夢を追いかけ出す。]
[夢を追いかけて数千里。
其の先には夢しかない事にようやく気付き、
ここが貧乏劇団だという事実に着地する。]
――、ある訳、ないか。
[ぽつり呟くも。バッグから台本を取り出し]
ごめんなさい、まだ台本読みをしたいの。
少しだけ集中させてもらうわね。
[告げて、部屋の端へと*移動する*]
[回りの会話など何処吹く風]
片栗粉に塗れた[役者 ソラ]は
いかがわしい物品が保管された[温泉]にて、
奇声を上げながら[サービスシーンを命じられた。]
[ふむむ、と台本に線を引き]
ここ、重要ね
[一人、オーディションに向かい勉強中]
[線を引いた部分は厭にエロチシズム漂う場面だな、等と小さな感想を浮かべながらも]
このシーンも良いには良いけれど。
個人的には、どうせエロチシズムを狙うなら
下着を頭部に身に着けた[子役 ルリ]は、
入念に下調べした[手術室]に潜入する。
しかし、そこには先客の[衣装係志望 ビセ]が、
「ここは、あちしの縄張りだ!」
…と、甲高い声で[丁寧語でしか話せなくなった。]
…なんていうぐらいで良いと思うんだけど。
[ぶつぶつぶつ]
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