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[まだ血の臭いが残る毛皮と、継ぎ接ぎだらけの褪せたコートをを身につけた男が、冷たい海に両の脚を浸し、佇んで居る。]
水音の……中身は無く。
この大仰な帽子──だけ。
[利き腕らしき左手で何度か沖へ網を投げ、帽子の持ち主の体が沈んでいない事に、険しい表情を浮かべた。]
ッチ!
死体 どころか、死んだ魚も掛からん。
また、濡れ損だ……。
……俺は、もう。
何日も何日も何日も、このままッ……。
……──夜回りの服を剥ぎ。
夜警の振りをして。
家畜を追う為の犬を盗み食ったのが、最後の飯か……。
[毛皮の襟元に顎を埋め、この毛皮の獣を食べた時の事を思い出す。
まだ新しい、惨めな記憶。
今も、この立派な帽子の主ならば多少の路銀、金は無くとも食糧か酒を持ち歩いて居るやもとの算段で、海に入った。]
あれは……とても。
そう、だ。かつて無く──美味い、肉……だった。
[空腹に込み上げる嘔吐感。口元を抑えた所で、眩暈で目の前がくらくなるのを感じた*。]
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