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[問いかけと神の答えと耳にしながら、
球体の表面に移る己の世界を見つめた。
変わらず続く争いと疲弊した人々、
滅びぬというだけでやはり争うことは変わらないのか。
――不在の柱を一つずつ見やる。
それぞに美しいものがあったのだろう、
あの朝焼けの時と同じように、失われた世界を思った。]
……時を戻すのであれば、
世界は滅びに向かってる最中だろ。
それを救うのに、また力がいるんじゃないか……。
[視線は5の柱へ向かった、
戦いなど本当に無縁そうだった男。
こんな争いに巻き込まれたのは不運だった、とも思うが。
そう感じることが適切なのかどうか、それすらわからないほどに、彼と彼の世界のことは知らない]
死んだ世界を蘇らせる
というのは不自然なことだ。
時を戻すというのも、また。
………、
[視線は次に8の柱へ、
死んだ人はモンスターの糧となり、
モンスターは人に狩られるという世界。
命は循環する、それこそが自然の法則だろう]
……、
[壊れたものは戻らない]
[2ndの声に、今度は2の柱へと視線が向いた。
それは、とても感情の篭った声に聞こえたからだ]
[不在の5の柱を見やる。
たぶん、彼の世界もとても平和なもの、
だったのだろう。]
争いなんてものと無縁で、
とても大事な友達とかがいて、
名前も知らない綺麗な花が咲いてて……、
ちゃんと家族と一緒に暮らせて、
敬意をもって命が循環して……、
その世界の人が、
世界を愛せるような世界を作りたい……。
[不在の柱をぐるりと視線は一巡りする]
[>>68 仰いで息つく様子には、つまり1stの意志は3rdの結果に関係ないといいたいのか、とじぃっと湿った見たが。>>69 問われた言葉にゆるく視線を伏せた]
兵士は心に正しさがなければ、戦えない。
だから、守るためだとか、敵だからとか、理由をつける。戦うには、大儀が必要だ。そういうことでしょ……。
僕は彼女の大儀――理由に納得できなかった。
だって他人の世界よりも、お前の感情を優先するってことだし……
[そうだろ?と確かめるように1stに首を傾けたが]
もしかして、お前もそうなの?
[小さく問いを返して、それから>>70
続いた言葉にゆると5の柱を見やった]
死ななければ、終わらない。
……死ぬのは、僕でもよかった。でもお前はそれを選ばなかった。
[彼の途切れる声、その手に取りこぼしたものを思ってか。5thが自分の代わりに犠牲になった、とでもいうようなそんな想いもふと過ぎる。]
1stもさ……、
あまり神様むいてないね……
[それからは黙って周囲のやりとりを聞いていた。問いを向けるのは、ひとひらの沈黙が落ちた後]
それで、もし世界とその女と、
どちらかを選ばなくちゃいけない時がきたら、
お前はどうするの。
[今代の神が、一人の少女への恋情に、
道を違えて寿命を縮めたことなどしらないけれど。
両方なんて選べない選択肢は、きっとある]
両方を選ぶというのは、選ばないことと同じだ。
そして、選ぶことよりも、もっとずっと残酷なことだ。
お前は結局、選ばない。
お前に必要なものはそれだけだと、もう明言しているのに。
僕は世界が好きだ。
神にこそ、世界を――そこに住む多くの人々を、
唯一に何より大切に、想って欲しい……。
僕は、お前たちとはいられないし、
お前たちが神となる世界にはいたくない。
[今、ここにある者たちの柱を見やる。
それは少し名残惜しそうに、視線を留めて、
そして中央の球体に目を映した]
[その姿は一度、消えたようにも見えただろう。
猫科の獣、ラッテンフェンガーに化身した身は、
獣のしなやかさで、その中央の球体へと駆けて跳躍する。
零れ落ちようとする神の一欠けらを、その牙は剥ぎ咥えた。輝く一欠けらを飲み込めば、黒く艶やかな毛並みが波打った。
――前脚はひたと、宙に着く。
神の一欠けらを得た獣は、ゆるりと太い尾をうねらせる。
その場にある生ける者――2ndと9thとに首を向け、最後に4thへとひたと視線を合わせた。それは別れの挨拶のように]
[世界の環の外へ――。
何があるのかは知らない。
ただ願ったのはその場所だ。
ゆるやかに死に向かい、それに抗いながら、死と再生のゲームを繰り返す世界を、循環する世界を環の外から見続けること。
――もしも、万が一。
この世界が自分が作りたいと願ったような世界になった時には獣の失望は購われるから、その時には戻ってくるかも、しれない]
[世界の外へ、獣が消えた後――、
4thの手にそれはいつの間にか握られていただろう。
獣の首にチェーンで下がっていた、
既に割れていた認識票。
己の世界から唯一身につけていたもの、
この世界に存在のあったというその証]
―争いの世界―
――……ん、
[少年兵は小さく呻きながら目を覚ました。
夜は既に終わっていた
けたたましい鳥の鳴き声と、湿った緑の匂い。
生い茂った林の隙間から眩しい陽光が目に刺さる。
――生きていた。]
っ、……、
[生きていた]
[じわりと目に涙が滲む、泥に塗れた手が草ごと地面を柔らかな泥土を抉る。覚えている赤く開いた口蓋、もう死ぬのだと思った絶望と――引いた引き金を]
[泥まみれの少年の指が、何かを硬いものを捉えた。
汚れたそれを軍服の袖で拭う、きらりと光る――割れた認識票。
あの獣人のものだ、それを捨ててしまおうとして気付く]
同じ名前だ……。
[その少年兵の名前もSEIJI――清慈だ。年齢も同じ。
ふいに血痕が気になって目で追う、それは水辺で途切れていた。――そして思い出す、何故だか留まったその牙を。
捨てようとしたそれを、ポケットに押し込んだ。
けれど、味方の元へ帰還すればまた、
終わらぬ争いの中に身を投じることになるだろう*]
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