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呼んだ?さぁ?
だが、この村の者、いや、この世界?
誰もが弱すぎるね。
[襤褸のスーツの学者に狂人は語りはじめる。
そうふらりと入った村、その日から、人を犯し食い続けたことを、ニタリ。]
そう、魔物、あれは圧倒的に強かった。
ひゃハハハハは
[声は陶酔めいた響きを持ち…。**]
[斧の男の要求>>3:16を、
相手――エリッキはどう解釈したろうか。
鳥葬の僧は瀕死ながらまだ生きている。
直ぐには差し出されない要求品を待つように、
男は狂喜する男や学者らのほうへ歩き出す。]
…それは随分、
退屈に倦んでいたと見える。
[長柄の先から血は滴るが、斧は下がる侭。]
[轡の隙間から漏る耳触り悪い声は、
陶酔に上擦り幾らか聞き取れもして。
そう口を挟む折、
物狂いの哄笑が響き渡る折に、
――離れた背後で異変は起こる。]
[無為に日々過ごす男・エリッキが、
突然 総身をがくりとのけぞらせた。
声はない。
震える爪先立ち。
片足が頻りと砂を蹴りつける。
腕は天へ差し上げられ空しく宙を掻く。]
[不意に、若者が吐き出す大量の水。
浜辺にあって香る、濃い潮の匂い。
苦しげに開閉する口元からは続いて、
破れていない内臓がもろもろとせり上がり…
攣れて身悶える彼の腹部は
深海魚の如くに潰れ、平たくなっていく。
壮年の男は斜に振り向き、光景を見つめていて*]
……退屈、か。
生憎と私は飽いてはいないので、
終焉をもたらされるは大いに迷惑だ。
[気狂いと処刑人と交わす言葉を見比べて、
視線は一度虚空を見遣る、
死に至ったがゆえの穏やかなる眼差し]
君のようにはならんよ。
まだ満たしたことのない欲も、あるのでね。
……悪霊、
[聞こえる笑い声は、その言葉は、
生者のものか死者のものか、境界線は曖昧だ]
[血塗れた僧と此方へ歩み寄る処刑人と、
そしてその背後で深海から釣り上げられた魚のように、圧に押し潰されていく若者の体]
は、っ 、……確かに悪霊か。
何故殺す、やはり殺すは愉悦かね?
処刑人。
[重石にかけた手。常は引き摺るだけの金属の柄に、巻きつく鎖がじゃらり解かれる。びっしりと甲殻類の張りついたハンマー。ふるりと震える指先の、昂揚]
ほうほうほう!
[見えるのは、若者の身体から曲芸のように吹き出る海水。その後、ありきたりではない死が彼に訪れた。]
人に人でない死。
これこそ、世界の確変ですな。
[そして、飛び上がり、一回転したのち、また地面に沈むと、残り彼らを見上げる体制。]
貴方の仮説をうかがいたくもあるな、
学者殿…
裏おもては ないほうだ。
[悪霊と呼ばれることに拒否感は示さない。
解き露わにされる重石の全貌に目を細めると
余計な世話を申し出なくてよかったと呟いた]
面白味のないことで、すまんね。
…
迷惑だ、で斟酌もなかろうが…
[ふと額締めに片手かけ、胸元まで引き下ろす。
目開きの覆面姿も束の間に帽子を戻すと
男は細い茶褐色の 薬瓶 を咥えていた。
軽業見せる仮面男と学者を双方見遣り、
海霧巻く勢いで鋭く斧の天地を入替える。]
ひとり、儘に連れゆくことは
できると言っておこうか?
[小瓶を手の中へ落としながら、
軽くなった帽子の房を揺らし*疾駆した*]
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