マタギが森や山に入るのは当たり前のことだ。
それを人狼の容疑とは恐れ入る。
「自警団の奴ら、まるでわかっちゃいねえし」
大体、だ。人狼が本当だとすれば、容疑者を一所に集めようが被害が収まる訳がない。毎日容疑者を一人ずつ……などと、この中に人狼がいるというのなら、今、この時に全て殺すのが村を守る上では――
「そう、正しい」
バクは、ため息をつく。
「まあ、そう言う意味では自警団は優しかったっていうわけか」
彼らがどんな思いで容疑者をこの場に集め、逃げ出すアンの後ろ姿にどんな言葉を漏らしたのか、バクは知らない。
「だからって、ぶん殴るのは止めないけどな」
ぱし、と拳と掌を打ち合わせる。
それこそ生きてここを出られたらの話だが、と、頭をよぎった言葉は口にしないまま。
あら、ざんねん。
どんな殿方かしらと思ってましたのに。
[笑い声に、いたずらっぽい響きが混じる。
後を追うように廊下を歩きながら、その着物に手を触れて、
少し驚いたように、囁いた。]
とんだ災難ですわ。
わたくし、人の世を見ていたいだけですのに…。
[言葉とは裏腹な、興奮したような、熱っぽさを帯びた囁き。**]
宿屋の若女将 江夏 ゲッカは、ここまで読んだ。[栞]
せや、ユーレイなんて……、あらしまへん。
[からりと揚がった天婦羅を噛みながら、己に言い聞かせるように独りごちた。
全部、気のせいだ。
被害者が死んだ頃から、耳鳴りが続いているのも。
「人狼」と繰り返す怨嗟の声に聞こえるのも。
普通でない家の子だと言われたことがあるのも。
花柳界にも関わる以上、験を担ぐことは少なくない。
目に見えぬ力がたしかに「ある」ことは解っていた。
それでも。]
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ツキハナちゃんにも反応したい、が……喉が致命的に少ない!
十年前に村を出たっきりで憧れられるなんて光栄すぎるものの、何があったんやろねぇ、とぼちぼち考えつつ。
・十年前に妹のように可愛がってた
・村に帰ってきてから化粧してあげたりした(本編でやりたいけどどう考えても無理)
宿屋の若女将 江夏 ゲッカは、ここまで読んだ。[栞]
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なんだか予想外に縁故が結ばれていくけど、
がんばるみなしごチカノ!
ゲッカが騙りに出て占い師を亡き者にして、
その代わりチカノ吊られる。みたいな感じでいいのかな?