情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了
あらあらあらあら。
[降り出した雨粒を避け、集会場の畳敷きへあがった。
少女が子猫を抱きあげるのをうらやましそうにみている。]
[にーにーと、子猫の鳴き声。
ネギヤの姿をきょとんと見送り。]
さあ……。
[木刀を手にした少年には肩を竦め、
周囲へと視線を巡らせた。]
[少し目を離した間に、
ネギヤの姿は消えている。]
[そして不思議なことに、目の前、
畳に転がったこんぺいとうの欠片が、みるまに溶け消えていった。]
まあ。まさか、
ほんとうに、神隠し……?
[集会場内のざわめきが高まってきたように感じる。]
ネギヤさん……。
まるで「こっちへおいで」って、
あの紙の言葉が切欠で、いってしまったみたいねぇ。
安子ちゃん、だいじょうぶ?
[安子の肩を軽くさすった。]
あ、気がつかれたんですね。よかったわぁ。
[グリタに声をかけ]
たったいま、ネギヤさんが、
こう…マジックみたいにぱっと消えちゃったらしくてえ、
祟りじゃ祟りじゃって、みんな大騒ぎ。
[こんぺいとうや怪文書の件含め、要領を得ない説明を一通り。]
誘拐なら、駐在さんに任せるのがよさそうだし…
神隠しなら…どうしたらいいのかしらねえ。
よく、年寄りから脅されましたねえ。子供のころ。
神様の怒りに触れると神隠しにあうぞって。
[グリタに同意を示す。]
……写真屋さん?その窓に何か?
[只事ならぬ写真屋の様を訝み、窓辺に寄ってみても、
そこには降りしきる雨粒ばかり。振り向く。]
……なにかが、笑っ…て?
あたしもねえ、グリタさんと同じで、
これはあくまで戒めのために作られた話だと思うわ〜。
だから事実かどうかはわからないわねえ。
わ〜……。誰と戦うのぉ。
[素振りする少年に、間延びした声をあげた。
続く言葉には]
面倒……ね。やさしいのね。
[思わずといった眼差しで、空彦をみた。
しかし、彼の言う通りだと考え、実行に移す。]
[戸口の辺りで、
水滴を滴らせながら立っている二人の少女に、戸棚からタオルを取り出して渡した。]
傘、もってないかしらね。急に降ってきたものねえ。
ここで雨宿りしていったら?
帰るなら、誰かの傘に入れてもらうといいわ。
[それに気を取られて動きをとめ、
一瞬だけ咲子を見つめた後、]
うーん。
…まあ、ほんとうに神隠しらしくみえるわねえ。
[などと消えたネギヤについて問われるならば知っていることを答えた。
それから集会場の奥へと戻ったため、
雨の中へ出て行く姿には気付かなかった。**]
―回想―
[医者と写真屋に別れをのべ、]
あ、大丈夫?
[しばらくして男の目覚めを認める。
その様子を伺い、単独で帰宅できそうか判断した。]
ん〜〜……おびょうきなのねぇ。
おだいじに、ね。
[片手を頬に添え思案顔]
―翌日・蛍川の川べり―
[蛍川の川縁まで足を運ぶ。
みれば、昨日の雨によって水かさがましたようだ。
川面すれすれに飛ぶ、鳥影を瞳に映す。
写真屋とともに神社で見た翼を連想する。]
[蛍川の、恋人たちの話。
神社へ通う道のどこか、あるいは夢のなかで聞いたか、霞がかったその内容の、輪郭は定まらない。
ただ、昔むかしの話とだけ知っている。]
結末は…どうだったかしら。
[思い出せない。]
神様の御使いの鳥が、二匹の蛍を翼にのせて、
天まで運んでお星様にしてあげた……?
それとも……それとも……
[おもむろに足を運ぶ。]
もぉ…もっと、こういう、
面白いこと、わかればいいのにね。
[何かに向かって不満を向けた。]
[川ぞいに写真屋へと向かう。
買い物がてら、頼んでいたものを受け取りに行くつもりだった。
昨日はそれどころではなく、すっかり失念してしまった。]
あ。
[昨日集会場にいた人物が立っている。
学生たちよりは年かさで、自分よりは年下くらいにみえた。]
どういたしまして。
体冷やして風邪ひいたりしてない?
[傘を所持していたけど、彼女は濡れていたような記憶がある。
立ち止まって、ほほ笑んだ。]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了