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[雪積もるベンチに何かを見つけて近づいた]
ねぇねぇ、おもちゃがあるなら、どこかに食べ物もないかな。
[飛行機のような何かが雪に埋もれている。
焚き火の方を振り向いたがマシロが見当たらない]
あれ?
[左右を見渡しても居ない。
そして、おもちゃもいつの間にか消えていた]
[焚き火に近づいて、紙袋を拾い上げる。
遊具の近くのフユキとモミジを呆然とした顔で見つめて考え込んだ]
……あれ。
もしかして、私、いない方がよかったりしません?
[焼き芋が入った紙袋を握り締めたまま、そそくさと公園を*出て行った*]
帽子屋さん、大変大変。
マシロさんがアンさんみたいに消えちゃった!
[二人が消えた、その違いなんてわからない。
気持ちは走っているけれど、雪道は慣れていないので牛歩だ。
ここがどこに繋がる道なのかも*わからない*]
[モミジの具合が悪化しているとは露知らず、ドラッグストアでもないかなと街を歩いていく。
どの建物の扉も開かなかったが、どれほど歩いてからなのか、とあるガラス戸だけは違った]
開いた……
おじゃまします?
[足を踏み入れたそこは、かび臭い骨董品屋だった]
[鍵がかかった陳列ケースを割ることも考えたが、中にあるのはやたらレトロな風合いの人形ばかりで、役に立ちそうなものは見当たらない]
冷たくなっちゃったな。
[思わず拾ってきた焼き芋の袋が、鞄の中から覗く。
外に降る雪のひとつひとつが大きくなっている気がしてため息をついてしまった]
そっか、そういう考え方もあるね。
[きついという言葉に目から鱗を落とした]
私は、なんかもう、ここにずっと居てもいいんじゃないかという気がしてきたよ。
[結局何も手に入れることは出来ずに骨董品屋から外に出る。
見上げた空から落ちてくる雪はとどまることを知らない。
すうと息を吸い込んで、おなかから声を出した]
ズイハラさーん!
マシロさんも消えちゃいました!
[何か知るところはないかと、当ても無く男の名を叫んでみた]
[「いとこ」と聞いて、幼い頃に思い巡らせるが、相変わらず誰が誰だったかすら思い出せない。
宝くじ売り場のことを考えて、あっけらかんと笑った]
書き入れ時だけど、ひとり減ったくらいならどうにかなるよ。
世の中って結構、丈夫に出来てるもんだから。
[ふらふらと雪道を歩きながら、恨み言を呟く]
今ここに天使が現れて、『この箱の中には、あなたのたからものが入っています』なんて言って来たら、その中にはほかほかのおでんが入っているに違いない。
[冷えた芋を焚き火であたためる手に考えが行き着かないのは、空腹と眠気のせいか]
偉い役職の人ががいなくなったらそれなりに困るだろうけどね。
私、単なる一販売員だから。
だからまぁ、素行なんぞは気にしないで兎さんとっ捕まえるつもりで歩いているんだけど、保護色って言葉の意味を考えたりしてしまうわ。
[それほど歩いたわけでもないのに、疲れてきた。
親兄弟のことは気にならないわけでもないけれど、思い残したことがあるかというと恐らく、ない]
[ズイハラの姿が見えない。
公園がどこだったかもよくわからなくなっていて、遭難という言葉が脳を過ぎる]
マシロさんのいとこさんー!
ズイハラさんー!
公園のお二人ー!
[いつの間にか、テレビの天気予報だったら雪だるまがゆらゆら揺れるマークが出そうな風が吹いている]
[慣れない雪道に足を取られる。
朦朧としてきて歩くのも嫌になった。
人影らしきものが見えたのなら、へたりこんで*言うだろう*]
マシロさんも、目の前で消えちゃったんです。
もう、何したらいいのかわからない。
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