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待って。わたしも行くわ。
[食堂を出て行くライデンの後ろ姿に声を掛ける。
断られなければ共に、でなければひとりでドウゼンを捜しに。
しかし次に女が捜し人の姿を見たのは、自身にしか見えない姿での*こと*]
[ライデンの後を追うように、たどり着いた二階の一室。
横たわる姿と対照的な微笑を見留め、片手で顔を覆う。]
もう、生きては居ないわ。
それと、もう…ひとり――新たに。
[それだけを呟き、小瓶を眺める。
女が洩らした言葉の意味を、同行を許した男は理解できただろうか。]
そうね。ひとりでは大変でしょう? 手伝うわ。
[ドウゼンを休ませる為に、ヒールを脱ぎ手を貸す。
安置した身に祈りの言葉を捧げては、]
――では、あなたも何か…過ちがあって?
[答えを求めないままライデンに問いかけを重ねた。
見える世界、聞こえる声は穏やかそのもので、その事実だけが女の心を少しだけ軽くする。
せめて、死した後は苦しまないで。
願いを込めて。]
もし、死が…安らぎを与えるのなら。
生を貫き苦しむのがきっと、わたしへの罰ね。
[呟き、階段を下りた。
耳を掠める声に、少しだけ困惑したような、顔で*]
誰でも生きている限り過ちは犯すわ。
過ちが去って過去になる。
――ただ、その過ちを赦せない者が居ることも確か、ね。
[下る階段。ヒールの音は深い絨毯に沈む。
白老の男に礼を述べられると、少し照れたように俯き首を横に振る。]
わたしはただ、自分の出来ることをしただけよ? ドウゼンさん。
[耳に木魂するのは、先去れし者の、穏やかなひととき。]
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