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[高らかな笑いに反応なく、有翼人の遠慮ない視線にも、緊張する様子はないようだ。]
おちて、何しに、来た?
[何時か聞いた言葉の記憶を、
指先でなぞるように、たどたどしく問いかける。]
『堕ちた有翼人は学術的上興味深い。』
[>>65何時かの言葉の記憶と違う?と問うように小さく首を傾げた。
翼で起こされた風により、大きく粉塵が舞い上がる。有翼人はその粉塵に触れえぬ高さだろうか。]
[そのまま。]
――――……
[有翼人の言う「浄化」は行われぬまま、相手は去ってしまった。]
[ざわめき…遠く、近く、曖昧、明瞭、塊としての熱さ・生き物の発する熱、酷く乾いた匂いをベースにした都市の匂い。
身体に絡みつく糸が簡単に断ち切れるように、つぷつぷと種々の感覚は身体に纏いついては消えてゆく。
安全な路を、―心地良い感覚を辿る事によって―歩いてゆく。]
[巨大な熱の移動。香る、人工的な臭い。
ナイトウォーカー《みみず》のように地を這い歩いていたが、巨大な熱の接近に一歩早く足を止め、驚愕する態の軽業師を小首傾げるようにして感覚する。]
暖かい。
[まるで、目の前に見えない壁があるのを表現するパントマイムのように、大気に放出された熱を感じ取ろうとしているのか、目の前の空気に手を触れさせる。]
押し潰す圧……
[右手を、人差し指と中指と薬指の三本を、操り人形のように前方へ差し出す。親指と小指は重力に任せるまま垂れさせて。軽業師の事をそう評する。]
[掌に一文字ずつ書かれてゆく文字。]
( ― "それ"は、
[全ては綯い交ぜで判然としない。]
だれだった? ― )
( ― マティウス ― )
…っ
[ビクリ、と手が想定外のものに触れたように跳ね上がった。或いは、灼け融けた鉄に触れたように。]
あ……あぁ、
ぁ
[長い間呼吸する事を忘れていたように、ひゅっと喉が鳴る。綯い交ぜになったものが、曖昧模糊として容を取らずに居たものが、恐るべき構築力を持って、整然とした情報として組みあがり]
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
[両腕で頭を抱え込み、絶叫した。]
[空中を飛ぶ間、髪の毛が舞い上がり、布で一部隠れていたが、額に赤い徴――研究施設で使われていた――が顕となった。
頭上からコンクリート片が零れ落ち、瓦礫に背を預けた男の頭にぱらぱらと乗る。]
ちが……違う、俺は、マティウス、なんか、じゃな………い
「こんな街」……は、知ら……ない。
俺……俺は……、
[筋肉の痙攣だろうか、無意識に肩が跳ねた。]
『檻』……
[地面に置いた右手を、
砂を握るようにゆるく握り締める。
自分に軽業師の影が落ちているのを感じる。
クレオソートの臭いが濃くなる。]
[犬歯の白さが幻視出来るようだった。
弾力のない肌にえがかれる「名前」
文字が綴られる度に、気付かぬ程微かに頭部が揺れる。]
レ……、レーメ、フ、ト。
[軽業師の耳元に囁き返すように、音が漏れ出る。]
[一度は整然と組み上げられた情報は砂上の楼閣のように、容が直ぐに崩れている。それでも尚、元の容の輪郭を僅かなりと留めてはいる。]
[ぽつり]
[艶やかな光沢を持つ黒の液体が、
頬に印を付けるように落ちた。]
[黒い雨、――曇天の空から零れる雨と蒸気、芯熱の開放――]
………?
ぐっ…う……
[気管が圧迫され、摑まれた皮膚が白くなる。軽業師の指へ、脈拍がダイレクトに伝わるだろう。「容易く」首を掻っ切る事も出来る程に、抵抗はない。]
かっ……
[押し潰した呼気が漏れる。ぐじゅと湿った音と痛みの次には、零れ落ちる自らの熱い液体。血が、軽業師の指を濡らし、男の胸元へ、つぅと流れ落ちてゆく。]
覚え…っ……てな、い……
…がはっ……
[思考の明滅、ー喰らい昏いクライくらい暗い―]
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