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[ンガムラ。そう名乗られて、頷く。次の言葉には、ゆるりと一度首を横に振った。笑みはなくも視線を少し泳がせて、はにかむように]
? ……
[それから、お願い、と言い出されれば首を傾げ]
……
[受け取った名刺を見つつ、続けて頷いた。頼まれ事を頭の中で復唱し、杜氏、ダンケの姿を思い浮かべ。歩き出す姿を、見送った]
こんばんは。
マシロもなかなかどうして、堂に入っているよ。
[子供らから分けられた綿菓子――幸い割り箸付きを持ったまま、マシロに懐く子供らを見る]
そうだな。
ケンはしっかり者だから、みんなを心配させるような勝手はしないだろう。
[ゆるりとかぶりを振り、自分の手を見て、わずかな思案]
マシロは、あの言い伝えが本当だとして、願い事、あるか?
どこに、か。
[自分の手を見て、思うのは。
「どこに」と問われても思い描けないその場所のこと]
……。
「あの世」だよ。
[自分が、そう呼ぶ場所。
この世ではない場所。
ただそれだけの意味しか持たない呼称]
いや。
僕が慣れてない分、この子達が聞き分けてくれてるだけだよ。
…うん。
ケン君もアンも、皆に心配かけて平気な訳ないし…え?
僕の願い事、かい?
…いなくなってしまった皆を、戻して欲しい。
ケン君も、アンも、きっと屋台のお姉さんも。
自分でいなくなった訳じゃないだろうから。
……ねぇ、兄さん。
去年の祭りの晩、祠の裏に行ってたって本当?
本当なら、言い伝えの花の場所──…教えて貰えないか?**
[神輿の準備をしている場所で、モミジに向かって手を振る人物が居る]
あら。
カエデ、お父さんよ。
[左肘を持ち上げ、娘の顔が夫に向くように動した。
手を振る人物が父とはっきり認識しているのかは分からないが、娘は嬉しそうに手足をばたつかせている]
お父さん忙しいみたいだから、また後でね。
[モミジも手を振り返せば、夫はまた準備へと戻った。
腕の中の娘を宥めると、再びモミジは境内を歩き出す]
その願いの代償が、他人の存在だとしても。
[君は、願うだろうか。
噂がどういうものか、何が起こるのか]
いや、説明はいけないか。
[願うものがいれば、
自分はまた、代償を送る、それだけだ]
[瞬きを、ひとつ、ふたつ。
動き始めた口を一度とじ合わせると、かすかに頷いた]
わかった。
俺には見えないけれど、場所は、わかる。
案内するよ。
……引率が終わったら。
[職務放棄はできないし? と、首をかしげて笑う。
視線を向ける先は、綿菓子を頬張る子ら]
ねぇ、少し出掛けて来ても良い?
[出番を待つ身としては賑やかな屋台の雰囲気は魅力的なもので。
鼻腔を擽るソースの匂いに思わず立ち上がる。]
わかっているわ、青のりが気になるから、終わってから食べるし。
[マネージャーの声。背に受けて。]
夏の一夜に咲く花や
願い叶えし祭の夜
開く常世の参り道
招く御手は何処へと
[我が子をあやしながら口ずさむのは、最近書き始めた神隠しについての物語の一節。
世に出す作品と言うよりは、あった出来事を書き記した手記に近い]
祠の裏?
そんな話をしていたわね。
[嘯いて訪れるは祠の裏。
願いが叶う、一夜限りの花が咲くという。]
でも、その花は、特別な人にしか見えないのだろうかね。
[見渡す限りの刈られた雑草の、
すっきりした面影に。
噂に聞くかの花は見つけられず。]
そうと決まればやり残しなく、だな。
[首を巡らす。
ひとつの屋台に目をとめた]
酒まんじゅうひとつ。
……え、むっつ買ったらひとつサービス? それ、俺にもなのか?
[思わず同じ店名の刻まれた自分の着物ををみつつ]
ああ、いいよ。むっつで。あとで誰かにあげよう。
あれ、シンヤか?
……未成年に酒まんじゅうは、すすめてもいいものだったかな。
[焼きそば屋の傍らに見えたワイシャツ姿と、まんじゅうを見比べた*]
それは特別な花だから。
簡単には見つけられない。
[謳うように、紡ぐ言葉は今年も目を覚まし。]
「この世」ではないから…
[ふと、噤む。]
さすが作家さん。
[モミジの口から紡がれる、心地よいリズム]
ええ、御元気になったみたいなんですが、もう年だからひとりでは無理とボタンさんに言われまして。
また来年、お会いできたらいいですね。
[赤ん坊のやわらかい髪が風にそよぐ様を見て、小さく頷いた]
[出番との呼び名が掛かるのならば。
踵を返し、衣装を翻し舞台袖に立つ。
てのひらに収まる小さな夢の小瓶を握りしめたのなら、シャラリと音を立て。]
今年も皆さんとお会いできて嬉しいです。では聞いてください。
[今年も歌姫の伸びやかな声は、村に響く。
今夜の空に、*何処までも*]
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