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ん…、あれ?
はーーい。
[ぱたぱたと音のする方へと向かい裏の戸を開く。]
マシロちゃん。
…どうかした?
[年頃の女性の訪問は色々と気を使う部分がありやや真顔のまま彼女を見上げた。]
[ワカバの表情に気付かず]
あ、ワカバ先生。
今日うちのばーちゃん見ませんでした?
てっきりこっちにいると思ったんですけど…。
森の方に何か採りに行ったのかな…。
[マシロの言葉に瞳を瞬いてから]
…今日はまだ来てないみたいだね。
診察室は相変わらずの様子だけど、…
あ。
急ぎの用なら来た時に伝えておこうか?
[老人たちの昔話は、こちらを放りっぱなしのまま続いている]
……僕は一旦抜けますね。
それじゃ。おにぎり、ご馳走様でした。
[差し入れへの礼を言うと、話の邪魔をしないようにこっそりとその場を抜け出した]
……はあ。
[小さく溜息をつくと、次の仕事を探して歩き始める]
[村の片隅。木陰にある岩に腰掛け、疎らな人通りを眺めていた。話しかけられれば挨拶を返し、時には世間話をしつつ、時を過ごす。平時、男の仕事は少ない。欠損を持つが故にだろう、子供を望まれる事も、同年代の者と比べれば多くない]
……
[ただ静かに、流れる雲を仰いでいて]
[お腹が減ったから探しているとは言えず、目を泳がせて]
いや、急ぎの用ってわけじゃなくて…うん…。
ま、そのうち帰ってくると思います。
それじゃ、失礼しますね。
――少年宅――
はい、出来上がり。
さっぱりしたね。
[坊主頭になった少年の上半身を覆っていた布をバサリと取り去って、起立を促す]
はい、次は誰だ?
[挙手した子供を呼び寄せ、鏡台の前に座らせる。
シャキン、という音と共に、髪の毛がはらはらと落ちた]
ありゃ、そうなの?
わざわざ探しに来たのに…
ん、うん。
それじゃ、おばあちゃんに宜しくね。
[ほにゃっとした笑みを向けた。]
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