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そうだね、今日は妙に蒸し暑いから。
カキ氷…アイスキャンディーでもいいな、冷たいものを食べたいね。
うん?あっち?…あぁ、本当だ。
ダンケ兄さんに…化粧師の、お兄さん。
……ううん、ごめん。
やっぱりまだ駄目みたいで…少しあちらの長椅子で休んでるよ。
すぐ戻ってくるから、皆この辺りで遊んでいてくれるかい?
…ふぅ。
──…おや?
シンヤ君じゃないか。
久しぶりだね、卒業式以来かな?
…と、ごめん。
少し暑さにやられたみたいでね。
隣、座らせてもらうよ。
…シンヤ君。
君は今年のこの祭り、楽しみだったかい?
僕はね、嫌だった。
アンもいない、ケン君もいない、知っている人も知らない人も、いなくなってしまった人がいるのに、何でって。
また今年も誰かいなくなるんじゃないかって、怖くて。
あの言い伝えに縋ろうと思ったけど、結局駄目だった。
兄さんが案内してくれるって言ったのに、僕は、怖くて逃げてしまった。
皆を返して欲しいと願いたかったのに、その代わりに誰かが死なせるなんて嫌で。
皆返して欲しいんだ。
でも、また誰かがいなくなるのも、もう嫌なんだ。
僕はただ、皆がいる日常を取り戻したいだけなのに。
なんで、それを叶える術が見つからないんだろう**
[かたり、とラムネの瓶を置く。と、かけられた声、現れた姿、知った姿に、こくりと頷いた]
……、
[隣から、尋ねられれば首を縦にも横にも振らず]
……
[ただ黙って、マシロの話すのを聞いていた]
……、……
[それからふと、肩から提げた鞄、財布やカメラの関連品が入れられたそれのチャックを開き。ごそりと中を漁り、数枚の写真を取り出した。
そして、差し出す。それらに映り込んでいるのは、アンに、ロッカに、ケンに、モミジに、ザクロに、 消えていった、人々の姿]
……
人を犠牲にして、叶えたい願いなんて。
俺には、ないよ。
きっと誰かには、あるんだろうけど……
俺は、それなら、消えたっていいよ。
[写真をマシロに渡しつつ、空を仰ぎ]
でも、俺は、消えてないし。
……消える事なんて、ないのかな。
俺はただ、写真を撮る事しか出来ないんだ。
皆。
写真の中では、いつまでも、笑っているのにね。……
神様の尻尾、か。
[なるほど、と一度自分の両手を見下ろして]
俺は、願えないよ。叶いもしない。
[相手を見直して、微笑んで、小さく頷く]
そうか。神様の尻尾、掴みたいと願ってみるのもいいのかもな。やってみる? ンガムラさん。他の願いでもいい、あるならば。
去年、みんなが帰ってきますようにって、マシロは願ったよ。
……優しいな、あの子は。
[うらやましい。と、音なく唇は動く]
こちらへ越してきてから、この村における神隠しについてだいぶ調べました。
私は優しくないので、違うことを願いますよ。
[ダンケの顔を見つめる目元が少し細くなる]
今年は、あなたが消えますように。
それを神様に頼むのか。
[ぱちくりと瞬きを一度]
まあ、調べたというのなら、説明は今更だな。
案内はいる?
いらないといっても、俺もいくんだけどね。
[緊張の糸が途切れ、箸が転がったかのように笑い出した]
いります、案内。
むしろ、していただけるとは思いませんでした。
[笑いをこらえきれないままに後をついていく]
そんなにおかしかった?
[自分も、一度吹き出してしまえば笑いは止まらず]
調べたんだよね、神隠しのこと。
よければ俺に教えてくれないかな。
[少し足をゆるめてみる。叶うならば、化粧師の隣に並んで*]
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