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[雪が止んで、少しして。
ぽてり。
空から落ちてきたのは、時計を持ったましろの兎]
『やあやあ、どーやら見つかったみたいだね、『たからもの』』
[例によって悪びれた所、全くなしの様子で言いながら。
兎は懐中時計を懐に押し込み、くるり、その場で回転した]
[ぴょい、と差し上げられるふわっふわの手。
そこに幾つかの光の珠が舞い降りる]
『……んー、とりあえず、『時計』の修復はできそう、かなぁ?
よし、それじゃー』
[光の舞い降りた手をぱん、と重ねて、ひょ、と離す。
そこに現れるのは、虹色の『鍵』と空色の『螺子』。
虚空に向けて突き出された『鍵』がくるり、と回ってかちり、と音を立て。
続けて出された『螺子』がくるくるかちかち、何かを巻いて、そして。
──時計の鐘が、12回、ゆっくりと鳴り響いた]
『……ねぇ、知ってた?』
[鐘の音が鳴り響いた後、兎は手にした『鍵』と『螺子』を器用に投げ上げ、一回転させて受け止めた]
『雪って、つめたいけど。
……でも、凄く、あったかいんだよ』
『でも、やっぱり、つめたいから』
『ずっとそこにいたら、『時計』も凍り付いて、時間が『眠っちゃう』んだ』
『だから、ちゃんとし起こしてあげないと、なんだよねー』
[キミはわかったみたいだけどね、と。
兎はくすり、笑ってその場で一回転]
『さてさて、これでぼくのお仕事一段落』
『この場の『時計』は直ったから、後は、キミたちが望んだ時に、望んだ場所へ戻る事ができるはずだよ』
『……うん、多分、ね!』
[何やら無責任な事を呟いた後、兎は『鍵』と『螺子』を空へと投げ上げる。
虹色と空色の光が散り、直後に、かしゃん、と何かが砕け散るよなおとが響いて。
──柔らかい陽射しがふわり、空から射し込んできた。**]
[上手くピントが合わないから、中の塩ビ人形が何を模しているのかわからない。
だからこそ浮かぶのは、記憶に残る最後のクリスマスプレゼント。
従兄弟の真似をしてモデルガンが欲しいと言ったのに、女の子なんだからと人形を贈られた]
サンタさんって、ちょっと勝手だよね。
[友達の持つリカちゃんともジェニーちゃんともバービーちゃんとも縮尺が合わなかった人形は、ちっとも嬉しくなかった。
その後父は亡くなり、結果的にそれが最後のプレゼントとなった。
祖父母宅へ行くこともなくなったし、親戚の話が上ることもないまま大人になった]
あー、あれ、聴きたいな。
[仕事帰りに時折駅前で見かけた演奏のことが思い出されて、この街の古ぼけた駅へ向かってみることに*した*]
……、「たからもの」…が、仕舞っている記憶なら…、
無理に取り出そうとするのって、辛いよね…
[そう息も絶え絶えに告げるのは、同情でも気遣いでもなく、嘘偽りのない素直な気持ち。
自分が見たあの夢は、探そうとして見つけたのではない。
仕舞っていたのはきっと、思い出して支えにするには生きていくには苦しかったから。
夜の海に映る月が、どんなに手を伸ばしても掴むことが出来ないように。
もう二度と、得られないものだから。]
『モミジちゃん....!』
[なぜ、胸の奥。
水面に拡がる波紋。
夢だと、幻だと、仕舞おうとした記憶が何かに共鳴するように。
心の雪を溶かして、響く。**]
[溜めていた心の内を吐き出すかのような叫び。
八つ当たりも多分に含まれていたようだが…兎に同情する余地は無く。
男は黙って事の成り行きを見詰めた]
─────
[やがて、風が緩やかな動きを辿り止み、灰色の空が凍れる涙を止めた]
[その空から白が一つ落ちてくる]
……兎。
[雪のようにふわふわなそれは器用に着地し、最初と同じく軽い調子で声をかけてきた。
ただ見るだけならば愛らしいとも思える動き。
それを何の感慨も抱かずに眺め、兎の手の中に『鍵』と『螺子』が現れるのを見た。
兎の手で『鍵』と『螺子』が動き、時計の鐘が鳴り響く]
──…12
[正しい数の音。
どうやら、兎の言う『時計』が直ったらしい]
[兎が誰かに語る声はただ聞くに留まった。
男に向けた言葉では無いと理解したために。
ただ、その言葉は男の意識にもしっかりと滑り込んできた]
…終いか。
最後まで適当だな。
[多分、と曖昧なことを言う兎に小さく紡ぎ、僅かばかり口端を持ち上げる。
虹色と空色の光に包まれた何かが砕けるおと。
雲間から差し込む柔らかい日差しが男の身にも降り注いだ。
空間の狭間は、もう、無い*]
[空から降ってきた何かが白兎の声で喋る。
相変わらず一方的で、機械仕掛けなんじゃないかとすら思える]
もっとゆっくり喋ってよー。
ニンジンでも食べる?
[距離がある兎の仕草は認識出来ず、ただ何かが壊れる音が聞こえた]
いらないよっ!
[自分で、キラッとした声音で言う。
足元を見ながらたどたどしく歩いていく道が、いつもの世界に戻ったことを認識するのは、喧騒に*包まれたとき*]
[いつの間にか、狭間に居る人数の方が多くなっている。
結果、取り残された形のバクが、拳を握りしめて空に向かって怒鳴った]
[その意味は、やっぱり半分以上掴めなかったけれど]
もしかして…彼が最後の、鍵、かな?
[なんだかそんな気がして、息を呑むように成り行きを見守る]
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