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そうです。
[男性の言葉にひとつ頷いた。と、上げかけた視線が警棒を捉えて、緩みかけていた表情がふっと沈む]
そんなもの、人間には効いても、あいつらには効きません。
何せ“殺しても死なない”って…………あ。
[小さく、不安げな声を漏らす。
女にとっては知ってて当たり前のことが、他人にとってもそうとは限らない。
「あの化け物」についての知識があることで、かえって怪しまれたりしないだろうか。
「この女もまた、あの化け物の仲間ではないか」と]
[そんないらぬ心配が、次なる言葉を生んだ]
……どこかの雑誌にそう書いてあったような。
[あとは顔を俯けて、長年踏みしめられてきた土の道を見るともなく見るばかり**]
そうか。君も、村の人ではなさそうだな。
お互い災難な事だ。
[警棒へ視線を向けられれば、肩を竦め]
倒せなくとも、一時凌ぎくらいにはなるだろう。
まあ、ないよりはまし、というやつだ。
雑誌に?
……そうなら畢竟、後手だったという事になるな。
あるいは不手際というべきか。
[首を傾げつつも、追求はせずただ頷き]
殺しても死なない化け物。
やはりゾンビのようなものなのか、……う。
[不意に眉を寄せ、目を閉じて頭を押さえた]
[己のものではない視界が映る。赤みがかった視界。小さな地球儀が、愉しげな少女が、映し出される。其処に音はない。だが心臓の鼓動が、呼吸が、荒れた感情が、伝わってくるようだった。こわい。おねえちゃん。火。そんな単語が頭を過ぎった。これは化け物の視界ではない、と思う。これは――
あの少年のものだと、何故だか直感した]
……奇妙な視界についても……
何か知っているのかい?
[ふ、と目を開く。ぽつりと、*尋ねかけ*]
[通りを抜けて、集会場とは別の場所に向かう。
村の宗教施設『教誨所』だ。皆出払っているのか人は居ない。]
アンちゃん…、来て。
[抑えた声で手招きし、ドアに手をかけ…地面に見覚えのあるネクタイを発見した。]
これ、ズイハラさんの?
[泥に汚れ、然し本当に彼の物か判別は付かず。]
【ミッション:日記を発見し、村の謎に迫れ。】
赤い空に赤い水に赤い涙…。
謎が多すぎる。
[ふと、説教台に何か置かれているように見えた。アンもそれに気付いたか。一歩踏み出そうとし、]
なっ…
[昏倒する程強く殴った筈なのに、倒した相手に足首を掴まれた。振り解こうともがき、やがては揉み合いになる。]
くっ…
[相手が一度怯んだ隙に、ノギは何とか突き飛ばす。思わず手に取ったのは念の為>>0:66身につけていた拳銃。セーフティを外し、両眼から赤い涙を流す、相手の額目掛けて撃つ。]
はぁ、はぁ…
[人を撃った事で呼吸が乱れた。撃たれた相手は「明らかに死ぬ傷」なのに、身を縮め蹲った。今は、動きはない。ノギは胸元に手をやる。**]
―― →御湯治場方面 ――
[ネクタイはバッドの柄に結びつけた。
月明かりと、家屋から零れる灯りを頼りに歩いていく]
温泉マークだと思うんです。
[地図にはほとんど目印が描かれていなかった。
十字、温泉、それから、赤い線で描かれた曲線。
川沿いは目立つので、それと並行する獣道を進んでいた]
の、ノギさん、あたし一度家に戻るので、先に行っててもらえますか……?
[ゆっくりと、間合いを取る]
[教会と呼ばれる扉を開いたのは、
小一時間も前だろうか。
ひとの気配すらしない、がらんとした空間。
踏み躙られ続けた地面は、思ったより綺麗だった。]
教会を教誨と、ねぇ。
[誰かの視界。
同音語での訂正が文字として示される。
その後、その視界の持ち主がどうなったかは。
知る由もない。]
灯りくらい、欲しいね。
[薄暗く、日に暮れて行く世界。
幾ら赤い色彩に覆われようとも、
闇は辺りを覆いつくすもので。]
――これは、使えるだろうかね?
[教誨内に灯される炎。
それは、文字通り明るさを保つものか、
それとも別のものか。]
まあ、最悪何か有った時の為に。
持ち歩いて悪いものでもなかろうに。
[やや物騒ではあるが、
炎を拝借し、持ち出すことにした。
根強い信仰の象徴なら、
この炎を楯に、ひとつ賽を投げる事も可能だろうと。]
誰かの視界にも別の地図があったの。
教誨所と湯治場、二宮尊徳像と火の見櫓。
[日記帳と誰かの巻物、それぞれに描かれていた場所を宙に打つ]
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