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テンマは夢の中にいた。
レンはミナツの絵に捕まった。
ミナツの夢にバクが捕まった。
ユウキは手向けられた。
[静かに一本調子に続ける]
プレーチェは、ここに。
[右手をそっと心臓の上に置く]
アンはここに。
[左手をお腹の上に置く]
[白い上着に付いていたのは、赤い染み。――まるで、血のような]
夢……絵、……手向けられて……
ペケレの中に?
……待って、くれたまえ。
わからない。何も……
[語るペケレに、右手で顔の半分を覆うように押さえ。何かを説明しようとするカナメの声を聞くまいとするよう、一度、強く目を瞑り]
……ペケレ。
君は……何、なのだね?
[一言だけ発した問いかけは掠れた]
ペケレ…と、ライデン…
[低く呟いて感覚を研ぎ澄ませれる。
やや遠くかほど近くか、彷徨う影たちの気配も感知して]
[みつめる先は、獏の上着の、赤を]
カナメに聞きました。
手向けられるのは…ひとり、のはずです。
[ユウキの墓標を一瞥してから、
ペケレの動作を見、ことばを黙して聞く]
ペケレ…わかりま、せん…わかりません…
[俯いて抑揚のない声がくりかえす]
ライデンは覚えてないのね。写真を撮ったときに、会ったのに。寂しいわ。
[笑みはだんだん引いていく]
カナメは教えてくれなかったのかしら?
ここには、ひとをくらうものが眠っているって。
私は──博士たちの言葉を借りるなら『恐ろしい失敗作』 。ひとをくらって生きるもの。
私は……
[ペケレの言葉に下ろした手を握り締め]
ひとを、くらうもの。
[抑揚の薄い復唱は、暗に聞いていなかったという事を伝えるようで。
カナメはただ、生き延びるために手向けろというルールを。そして役目とを伝えた]
「人を喰らう失敗作」……
そんな……君がそれだと、言うのかね?
バクもそうだったのかね……?
赤ずきんちゃん。
そんなにわからないと言わないで。
人の脳は──忘れない。
思い出すきっかけを失っているだけ。
カナメの部分は決して消えない。
カナメ。
私の役目は、何だった?
本当の私の役目は……何だ?
君は誰で、私は誰なんだ?
[口からは問いばかりが零れる。空気はひんやりとしているというのに、肌が汗ばみ]
そう。
私は、にんげんを、食べる。
[赤い花が手向けられた墓碑を見やる]
[バクの名前を聞くと、表情が悲しげに揺らぐ]
バクは、人の夢を食べるのよ。記憶を食べる。
ひとを、くらっていきる――
[不思議な、ふしぎその響きが、
身体をはしりぬける]
『プレーチェは、ここに。』
『アンはここに。』
[その、意味する所はしれるだろう]
[頬をたどるペケレの指は、
すこし目を細めて受け入れた]
カナメ――?
――うるさい。
[カナメの声を振り払う]
[その行為は哀切を含んでいて]
[いや増してくるのは、影たちの声]
獏が…。
獏は…自分の夢を取り戻そうとしていた。
食べるのは…その、ため?
君はひとを食べるもの。
バクはひとの夢を食べるもの。
二人は……
[乾いた口内。空気だけを飲み込み]
私は、
[言いかけて頭を押さえた。
俯き、何かに耐えるように]
[影の方へ耳を澄ませる]
…。
レン、だいじょうぶです。
ペケレなら、ライデンなら。怖くはない、です。
それにライデンとは、起きる前に…眠る前に…ともだちだったのかもしれない。
[あの写真]
結びつきは――
[言いかけて口を閉ざし]
[眠たそうに、目をこする]
ふぁー。
おなか一杯になると、眠くなるのは……もう。
[腰掛けると、墓碑に背を預ける]
あ。そうそう。言い忘れていたわ。
ルリちゃん、ライデンさん。
──私に食べられてくれないかしら。
[初めて会った時のような、明るい*笑顔*]
歌が……
彼女が、倒れて……
救えなかった、……
[「思い出さなくていい」と囁くカナメの声が、遠い]
私は……
「貴方は」
――狂った「怪人」、だ。
[思い出す。舞台に立っていた時の事を。仮面を付け、歌っていた自分の事を。目の前で倒れた、彼女の姿を。自分が、誰だったのか――
頭が割れるように痛い]
……う……嗚呼、……
痛い、……
カナメ、私は……そして君は、
ライデン、だ。
[呟きは低く。ゆっくりと瞬いてから、ペケレの声に改めて其方を見る。笑顔が見えた]
ペケレ…
ほんとうに。プレーチェたちを…。
[伝えられたその事を
にわかには信じられなかった風で]
[しかし。
『食べられてくれないかしら』
その一言は、決定的にした]
どうして。
それが、必要だったのですか?
お腹が、すくからですか?
食べたいのかね?
ルリと、私を。
[聞き返す声は平坦に]
私なら構いはしないさ。……思い出したから、ね。
私が誰かも、知り合いの顔も。
彼女の事も……
全てを、思い出した。
元々死のうとしていた事、だって。
私は、狂っていた。
[淡々と言葉を重ね、笑う。自嘲するように、寂しそうに、――愉しそうに]
Ten little Injuns standing in a line.
最後の一人は……
幸せだったか、不幸せだったか?
[謎かけのよう。左の掌を天に向けて掲げ、目を細める。そしてまた、低くも高らかな笑い声を*響かせて*]
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