-法廷-
[服のポケットを叩くユノラフ>>5に笑い、煙草を差し出す。彼が受け取るのなら、火も貸しただろう。]
…あの黒い女には何も聞かなかった。
お袋が泣いてしまってね。それを宥めるのに大変だったものだから。
…魔女を探すって言ったって…どうするんだか。
裁判官の奴ら、特殊な力を持っている奴らを見抜く手段であるのか…。
[噂に聞く魔女裁判を思い出し、眉を顰める。]
[法廷から出ようとした時に、こちらへ入ってくる男>>7が見えた。]
…クレスト?
お前も連れて来られたのか?
[イルマも一緒ならば、そちらへも視線を向けて、驚いたように。]
…俺たちの中に魔女なんていないって分かって貰えれば、出して貰える、って話なら助かるんだがね。
[クレスト>>8に言う。続く言葉には、苦笑交じりだが幾分明るい笑みを。]
腹減ったってな。
牢はまだ見てないが、台所なんて無いだろう。
あるなら何か作ってやるがね。
牢屋、見てくる。
[今度こそ、法廷を出た。]**
どうだろうな。
少なくとも、対外的に魔女がいたと喧伝できるくらいの方法は持っているんだろう。
[でなければ、裁判官がこれほど地位をもつわけもない。
ふと、ドロテアの去り際の言葉を思い出す。
煙草を噛んだ]
― 中庭 ―
ロクなもんじゃねえなァ。
ああいう場所には処刑道具でも仕舞ってあると相場が決まってんだ。
[庭の隅に佇む小さな小屋――蔵のような建物に舌打ちひとつ。]
ロクなもんじゃ、ねえ。
[噛み締めるように二度言った。
脳裏に過ぎるのは、かつてこの場所に連れ去られ、帰らぬ者の顔。]
[視線を逸らせば、嫌でも目に入る高い壁。
目を細め首を上向け、片眉を上げる。]
……ふん。
[よじ登る気は毛頭無い。
この外壁が並大抵のことでは越えられぬこと、修復に携わった自分は知っている。
「崩れないアリ地獄」との老親方の評を耳にしたのも、そう昔の事ではない。]
まー、出られねんじゃ楽しくはならねえな。
[戻るか、と一人ごちて踵を返す。
とはいえ行く先は限られているのだが。]
-廊下-
あぁ、どうも。
[見覚えのある男>>17からの挨拶に普段のように言葉を返す。]
修繕作業で来てるって訳じゃないよな?
…エリッキまでも、か。
どういう基準で選んでるのかね、此処は。
向こうで、ユノラフたちに会った。
[顎で法廷側を示す。クレストとイルマの名前も伝えただろう。]
―法廷―
牢の中は、台所どころか何もなかったよ。
兄さんのご飯をまた食べるには、
此処から生きて出るしかなさそうだ。
[間延びした様子で呟くが、それが難しいこと位は十分に理解している]
[出ていくミハイルを見送ってから、もう一人の男へと]
んー。今読んでるのは街で流行っている小説。
ユノラフさんもどう?
女の子に声をかけるとき、話の種にはなると思うよ。
[ポケットを探る姿をじっと見つめていたが、クッキーが出てくれば表情を緩めた]
食べる!
[遠慮は全くなかった]
仕事じゃねえさ。生憎今は閑散期でな……毎日お前さんトコに飲みにいく暇があるのもそれでだよ。
そっちこそ、魔女裁判に掛けられた囚人に酒を振舞う仕事ってんでもないんだろ?ミハエル。
……
[ミハイルだったか、と、一瞬迷う。
人の顔はともかく、名を覚えるのが苦手だ。
酒場の、で、いいかと思い直して肩を竦めた。]