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[ポルテの身体が落とされるのを目で追った。静かな空間でよく響く、水面に雫が落ちるような音。鼓動が、と言われて胸元を軽く片手で押さえ]
心臓が動いているの……聞こえるかい?
わたしはこうしてようやく自分の鼓動を認識できるよ。
でも、フユキ君には聞こえているのかな。
[なんだか不思議だなぁ、などと、どこか楽しそうに。胸に当てた手をそっと下ろし]
なんだ、知ってたんだ。
[わざとらしく残念そうな表情を作ってみせ]
必要がないのは……
まー、そうなんだけど。
考えられないのもそれはそれで寂しいかなぁ。
[どうしようか、と悩むような素振りをしてから、相手の微笑に微笑を返した]
[ゼンジのすぐ傍らに立ち、直前まで彼自身の手が置かれていた場所に、朱に濡れた右手を添える。
爪を変じれば、間違いなく、この響きは止まるのだろう]
―――…色々と知ってはいますけれど。
幾ら真似ようとも未だに…、ぜん兄の本心は理解できませんね。
[一瞬の躊躇い。
真似を止めて、真剣な…少し苦しげな表情で見据える]
本当に、これで良いんですね?
[尋ねるのは、きっとこれが最後]
[添えられた右手を中心にして、薄い青色の着物にじわりと紅い色が滲む。
一たび、目を細め]
本心が理解できない、か。
わたしが芸術家ででもあったら、芸術は理解されないものだ、とでも言えたんだろうけど。
飴屋だとどう言い様もないなぁ。
[その口調は尚変わる事がなく。一瞬の間。程近い、曇ったような相手の表情を見つめ返し]
――いいよ。
[短い沈黙と同様、短い返事を口にして]
君がしたくないわけでないのなら、ね。
猫が煮干しの頭を食べ残すのに似てる。
[フユキに一部喰われ放られた自分の身体を、中空から眺める。
テレビを見ているかのように*他人事*]
―個室・皆が地下へ向かう頃―
[ベッドから上半身を起こす。
辺りを見回してから、こめかみに指を当て、苦笑。]
……寝すぎましたか。
ベッドで寝るのも、考え物ですねえ。
よいしょ、っと。
[部屋を出、廊下へ。]
―バクの寝る部屋―
此処でしたか。
[赤色のバクを一瞥し、部屋の竈へと向かう。
枝を組み、上着の内ポケットからマッチ箱を取り出した。]
[シュッ]
[竈が鳴いた。
その黒い息は、煙突の中へと吸い込まれていく。
一礼の後、バクへと振り返った。]
…おや。
今日はお世話、してくれなかったんですかねえ。
[丸まっていたフェイスタオルで、
バクの顔に残る赤を拭う。]
[バクの寝る部屋を出る。
そしてビセの居た部屋の前を、
何も無かったかのように、しかし少しだけ目を瞑って、
通り過ぎた。]
…よく、聞こえていますよ。
[何かを確かめるように、ぽつりと独り言。]
よく……
そうだよ。
[肯定にはどのような意味が込められていたか]
礼を言う必要なんてないよ。
全てはわたしがしたいと思ってした事、なんだから。
……そうだなぁ。
手紙で呼びつけられた時から予感はしていたんだ。
それでもこうしてきたのだし。
[ぽつりぽつりと、考えながらのようにゆっくり語る。少しだけ、間があって]
フユキ君は、窯神様が嫌いだと言ったねー。
……わたしも、嫌いだったんだよ。
かみさまも、儀式も、父さんも、みんな……
でも。
「人狼」だけは、嫌いじゃなかった。
[伝えたかったのか、ただなんとなく言葉が出ただけか。独り言のように零した。
おやすみなさい、というフユキの声が落ち]
……あ、
[一瞬、僅かに目を見開く。漏れる微かな声。貫かれる心臓]
……、
[口を何度か小さく開閉させるが、そこからは掠れたような空気の音しか漏れず。少し眉を下げてから、言葉の代わりとするように仄かな笑みを浮かべ]
……
[青に赤が広がるのと比例し、体から力が抜けていく。
瞳から光が失われる。
着物から飴が幾つか床に落ち]
―死者の世界―
捧げよ。
[煙突が黒い煙を吐く様子を見ながら、頬にかかる髪の毛を人差し指に絡めて弄ぶ]
お父さんは人狼だったのかな。
[自分の髪と瞳が、遺伝的にありえないと知ったのは高校生のとき。
父方は代々日本人の家系だった]
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