[1] [2] [3] [4] [5] 絞り込み / 発言欄へ
[ネギヤは黙って、開かれた屋敷の扉を指さす。
いつもの話好きな彼とは様子が違い、一向に喋り出す素振りはない。
玄関の奥は真っ暗で、人の気配はなかった。
──「ライデン先輩?」
女の声に、呼ばれた気がする]
……小鳥川?
[思わず屋敷に向かって、一歩踏み出した*]
─ 祠 ─
[店には「お出かけ中」の看板をかけてきた。まあ鍵はかかっていない、いつものことだ]
光に中てられる、ねえ。
[流れ星が落ちてきたあの日のこと]
アタシ、よく覚えてないのよねえ。
[困る、という感情はない。そんな感情、忘れてしまった]
[壊れてしまった腕時計に視線を落とす。
肩をすくめた]
……んまあ。
[風雨にさらされた、立ち入り禁止の看板。あらかじめ用意してきた軍手をはめて、看板をどける]
……。
[草むらにうずもれるようにある、動物とも、人間ともとれない形の道祖神に、立ち入り禁止の看板を持たせるように立てかけた]
[小姐は、歩きながら裏山を見遣る。]
[裏山が何の「裏」かは、ふだん語られないが
村での暮らしが長い者なら誰でも知っている。
――旧家である餅肌屋敷の「裏」だ。
当主のネギヤはいなくなったままで、
見つかったという話はやはりなかった。]
[順繰りの連想。
彼が見たという流れ星の軌跡へ思いを馳せて…
小姐は、夕焼けの薄れゆく村の空を見上げる。]
きっと もう 帰れる場所なんてないのに。
どうして、こんなに…
…――――――――
[折に、滑る視線が通り過ぎゆく裏山の中腹には
立入禁止のほこらがあるが――雇い主たる男が
草むらに足を踏み入れているなど知る由も*なく*]
アリエナイ! アリエナイわ!
[真っ白いハンカチで鼻と口とを押さえる。酷い草いきれと虫と多分見えないだろうけれど足下もドロで酷い有様だ。なるたけ想像しないようにする]
おねぎさんったら、なーにが「ちょっと草むしりすれば」よお! こんなの業者呼ばなきゃ無理! むりむりむり!
[かつては人の行き来できるよう砂利がしかれていた道も、今は見る影もなく。男はがちがち歯をならしながら祠を探す]
ああ、先輩よかったぁ。
[肖像画の隣で背伸びをした格好で、ライデン>>34に視線を向けた]
届かないんです。
こう、こういう感じで線引いてもらえませんか?
[身体いっぱい使って、頭上に横線を引っ張る。
青いパステルを渡し、ためらう背中をぐいぐい押した]
小さい頃、ネギヤさんはあたしに毎日お話を聞かせてくれるって約束してくれたんです。
絵本のストーリーも、してくれたお話の一つ。
[鈍色の鍵を壁に押し込む。
隙間からは『昼』の光が差し込んでいる。
あとはどうぞとばかりに微笑んで、ライデンに指し示した*]
このドアの向こうは、どこへ繋がっているのでしょう?
[2人と別れて自宅に戻り、
母に頼まれた洋菓子を渡して、再び家を出る]
あそこに行かなきゃ。
[そう言って向かう先は立ち入りを禁じられた祠]
[祠には案の定、立ち入り禁止の看板。
ご丁寧に道祖神に持たせているとは思わなかったが]
あそこに行けば、元通りになる……。
[更に奥へと進み、目的の場所を目指す]
……何してんの?
[実際に少女が何をしているのかは一目瞭然なのだが、「人様の家壁に全く悪びれることなく落書きする姿」を前に、しばらく思考が止まった。ゆっくりと瞬く]
…ん、…あ?
描く?線を?
[判断能力が鈍っているうちに青いパステルを握らされ、言われるままに横一線をひいた]
[描きあがったのは青いドア。
パステルの、タッチもなにもないそっけない線で構成されたそれは、「ドアの絵」と言えるかどうかも怪しい]
……俺、また視力が落ちたか。
[単なる平面であったはずの壁に、いつの間にかドアが出現している。
先ほど二人で描きあげたドアではなく、本物の扉が、ノブが。
眉間を押しても、目元を擦っても、見えるものは変わらなかった。
ドアと少女を代わる代わる見比べて、ままよと眼前の扉を開けば──溢れてきたのは眩い光。
昼間の光に見紛うほどの、祠にはえた光苔だった。]
誰よ、こんな所に祠建てたのは。
もう、もう、殺しちゃっても、いいんじゃない?
[ううう、と唸る声。
通常であれば、もう祠を建てた人間はとうに死んでるだろう、だからこそ遠慮もない文句。
自分ではない者が同じく祠を目指しているなど思いも寄らない、大きな独り言を言いながら行く]
[>>49光苔のまばゆさに顔をしかめて、くすくすくすと笑う]
ライデン先輩、さっきどっちの手で線を引きました?
いま、どっちの手で、ドアを開けました?
[後ろずさって、祠から一歩二歩と距離を置いた]
さよーなら。
[しばらく進むと前を行くンガムラの姿に気づいた。
いつも通りに「あの人は女性」と自分に暗示をかけながら言う]
こんなところで、何やってるんですか?
[目を眩ませる光に瞬きが増える]
……は?
描いたのは左で、ドアは……って。
さっきから小鳥川、お前が何を言っているやら全く理解できん!
説明をしろ、説明を。……ちょ、
[振り向けば、後ずさってゆく後輩の少女。引き留めるべく腕を伸ばす」
[1] [2] [3] [4] [5] 絞り込み / 発言欄へ